北京市でアステラス製薬の日本人男性社員がスパイ容疑で拘束されてから今月で1年となった。中国当局は起訴の可否を判断する審査に入っており、日本側が求める早期解放がさらに難しくなる可能性が高まっている。外資企業は警戒を強め、対中投資の意欲低下につながっているが、中国当局は「国家安全」を重視する姿勢を崩していない。
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拘束は昨年3月25日に表面化した。男性は駐在期間を終え、同20日に北京の空港から帰国予定だった。同日、空港に向かうため北京中心部のホテルを車で離れたのを最後に消息不明となり、北京市国家安全局に拘束されたとみられている。
男性は取り調べのため当局が指定した場所に留め置く「居住監視」措置を経て、昨年10月に正式に逮捕された。中国当局は今月18日、男性を起訴するかどうかの審査を始めたと日本政府に通知した。中国では原則1カ月以内、最長でも6カ月半以内に起訴の可否を判断する。起訴されて公判手続きに入れば、男性の解放は難しさを増す。
在中国日本大使館は男性と11回の領事面会を実施。昨年11月に垂秀夫(たるみ・ひでお)駐中国大使(当時)、今年1月には金杉憲治(かなすぎ・けんじ)駐中国大使がそれぞれ男性と領事面会した。
男性の拘束は中国でビジネスを行う日系企業関係者らに衝撃を与えた。男性は、中国に進出する日系企業の団体「中国日本商会」の幹部を務めたこともある現地ではよく知られたベテラン駐在員だったからだ。
中国側は拘束理由を「刑法と反スパイ法に違反した疑い」などとしたが、拘束の経緯や具体的な容疑事実を明らかにしておらず、日系企業の駐在員は「何が問題で、何に気をつければいいか分からない」と懸念する。安全面から中国出張を中止する日本企業幹部も出ている。中国国家外貨管理局によると、2023年の外資企業の中国への直接投資は前年比8割減り、30年ぶりの低水準だった。
北京の日系企業関係者は「中国市場の悪化と安全リスクの高まりが重なり、日本の本社が中国事業の優先度を下げるようになっている」と指摘する。
学術面でも影響が出ている。北京大国際関係学院の賈慶国(か・けいこく)教授は3月上旬、改正反スパイ法が留学生減少の一因になっていると中国の交流サイト(SNS)に投稿した。投稿によると、10年前のピーク時に約1万5千人だった米国からの留学生は昨年には約350人にまで落ち込んだという。
中国当局は、国内外からの懸念に正面から向き合おうとしていない。昨年7月にスパイ行為の定義を拡大した改正反スパイ法を施行し、今年2月には国家秘密の保護に関して中国共産党の指導堅持を明文化した国家秘密保護法の改正案を可決した。中国外務省の林剣(りん・けん)報道官は今月20日の記者会見で、男性の拘束を巡り日本側に対して「中国の法律を順守し、中国で違法犯罪活動に従事しないよう、自国民に教育や指導をするよう望む」と主張した。(中国総局 三塚聖平)
引用元 https://www.sankei.com/article/20240324-J2HJVNKDWJMYVOGQC6BCKIQHDI/
みんなのコメント
- 香港も同様の事案が発生しそうですね!
- 恐ろしい。
- キンペーの悪口言ったら パー券岸田は 引き渡すかもね
- 外務省は仕事しとるんだろうか?
- もし順当に正社員になって共産主義を信じるアホ役員の業務命令で中国に飛ばされていたら、 同様に逮捕されて日本には帰ってこれなかったかも。
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