「梅毒トレポネーマ」と呼ばれる細菌に感染して起こる性感染症「梅毒」。かつてはめったに診断することがない“幽霊病”とも呼ばれていましたが、今は感染者数が過去最多を更新しています。専門家は、風俗で働いている方に限らず、いろんなところで感染が起きてしまう状況で「いい加減止めないと大変なことになる」と警鐘を鳴らしています。しかも女性がこの10年間に23倍にも増えているのです。組織を破壊し、最悪、鼻が欠けてしまうこともあるという恐ろしい梅毒の実態とは…。
続きを読む梅毒は抗菌薬「ペニシリン」によって戦後激減。 日本では1990年代以降の患者数は年間1000人を下回っていましたが、2013年の患者数は1200人を超え、その後、年々増加しています。 国立感染症研究所のまとめによりますと、全国から報告された梅毒の感染者数は、2023年1年間速報値で1万4906人と過去最多となりました。 ■“風俗関係”だけではない、身近な病気に… 2013年から2023年までの10年間で男性はおよそ10倍、女性はおよそ23倍を記録し、特に20代の女性や20代から50代の男性で感染者数の増加が目立っています。 これについて産婦人科医の鮫島梓(さめじま・あずさ)医師は…/ 女性クリニック We!Toyama 鮫島梓医師: 「出会いの形がSNSやアプリなど変わってきていることが影響かもしれないですし、東京とか大きい大都市での風俗関係で働いてる方が地方に広がったというのもあって、そこからは今やもう風俗で働いてる方ではなく、いろんなところで感染が起きてきてしまってる状況です。身近な病気になっていますね」 国立感染症研究所によりますと、梅毒の感染者のうち、性風俗産業を利用したことのある男性はおよそ4割、性風俗産業に従事したことのある女性がおよそ4割を占めていますが、性風俗産業の利用歴や従事歴のない人の感染も多く見られます。 また東京や大阪といった大都市だけの問題ではなく、富山県内でも2011年以降増加傾向が続いていて、2021年には過去最多の48例が報告されました。
■性交渉で口や性器などの粘膜や皮膚から感染 これについて富山県衛生研究所の大石和徳所長は…。 富山県衛生研究所 大石和徳所長: 「富山県内でも症例は着実に増えてきて、以前から県のホームページでも注意喚起をおこなってきました。昭和の時代には臨床の場でもほとんど見なかったので、医療機関も梅毒を疑うことがなかなかぱっと浮かばない場合もあるわけですよ。セーフセックスという、コンドームを正しく着用したり清潔な性交渉をしたりなど、簡単なことができてない人たちが一定数いて、それで広がっているということだと思うんですね。2022年には全国で1万人を超えて、今年はもっと1万4000人を超えて、いい加減止めないと、大変なことになるという危機意識を持っていないといけないです」 鮫島医師のクリニックでもこれまではなかった梅毒患者数がここ数年で年間5件ほどに増えました。 女性クリニック We!Toyama 鮫島梓医師: 「梅毒は誰かがなる感染症と、他人事と思っている人がほとんどなので、診断された患者さんは“まさか自分が”と、驚きとショックを受けられます。また自分がその感染によってどう見られるかということを気にされている様子です」 梅毒は「梅毒トレポネーマ」という病原体によって引き起こされる感染症で、主に性交渉などの性的接触により口や性器など粘膜や皮膚から感染します。 ■症状出ても痛みを感じず、無症状も多い… 薬で治療できますが放置すると深刻な症状が出る場合があります。感染から1年以内の「早期梅毒」と呼ばれる時期は、原因となる細菌が入り込んだ場所を中心に、3ミリから3センチほどの腫れやしこりが現れることが多いとされます。その後 、手や足など全身に赤い発疹、バラの花のようにみえる「バラ疹」が出たり、発熱やけん怠感が出たり、さまざまな症状が出ることがあります。 しかし、症状が出ても痛みを感じることは少なく、気が付かないこともあるほか、無症状のことも多いと鮫島医師は指摘します。
女性クリニック We!Toyama 鮫島梓医師: 「痛みがないっていうのが一つ特徴ですね。梅毒は“偽装の達人”とも呼ばれていて、じんましんかなっていうふうに勘違いされてもおかしくはないような、何となく消えてくので自然に治って、大丈夫かなって思われてしまう。その自然になるっていうのは実は治っていなくて、結局そこの状態から放置して感染から1年以上たった「後期梅毒」と呼ばれる時期になると全身で炎症が起こって骨や臓器に「ゴム腫」と呼ばれるゴムのような腫瘍ができて周囲の組織を破壊してしまうこともあります。治療薬が普及していない時代は、大きなできものができたり鼻が欠けたりすることがありました。さらに進行すると、脳や心臓、血管に症状が現れ、まひが起きたり、動脈瘤出たりすることがあります」 ■治療をしないと40%が母子感染する… 梅毒の感染は自然に治ることはなく、知らない間に体内で進行していくのです。また、感染すると、自分自身に深刻な症状が出るおそれがあるだけでなく、パートナーを感染させるおそれがあるほか、妊婦に感染した場合、おなかの子どもに母子感染して「先天梅毒」になる可能性もあります。 子どもが「先天梅毒」になると皮膚の異常や難聴といった症状が出るおそれもあります。 国立感染症研究所序によりますと、先天梅毒として報告された子どもの数は、去年、速報値で37人と、今の方法で統計を取り始めてから最も多くなりました。 女性クリニック We!Toyama 鮫島梓医師: 「妊婦が梅毒に感染していても妊婦健診を受けずに治療をしないと40%が母子感染すると言われています。しかし、ちゃんと薬を飲んでいても14%は母子感染を防げないと言われています。そこが梅毒の怖いところ。妊娠前に必ず梅毒かどうか検査をして、リスクのある性行為があった場合は男女共に検査を受ける必要があります」 ■一般の人の中で感染は起きている状況… 検査は血液検査が一般的で、保健所で無料で受けることができます。梅毒に感染した場合は、筋肉注射やペニシリンという抗生物質で治療を行います。4週間はしっかり飲むことが必要です。
女性クリニック We!Toyama 鮫島梓医師: 「梅毒の原因となる細菌は、非常にゆっくり増殖する菌で、薬は菌が増殖するときに作用することが分かっていて、一定の期間、薬を飲み続けないといけません。自己判断で薬を飲むのをやめず、最後まで飲みきってほしいです」 感染症の中には、一度感染すると免疫がつき、その後は感染しなかったり、感染しにくくなったりするとされる病気もありますが、梅毒は、複数回感染することがあると指摘しています。 感染予防としては性行為の際にコンドームを正しく使用することや不特定多数との性交渉を避けることが基本ですが、鮫島医師は性感染症から身を守るためには正しい知識を身につけることが大事だと話します。 女性クリニック We!Toyama 鮫島梓医師: 「日本ではほとんどの人が、性教育を人生において1回、2回しか受けていないと思います。性の知識をきちんと身につけることで、望まぬ妊娠や性感染症を防ぐことができるので幼いときから継続的に行っていくっていうのは、一つ必要なことかなとは思います。それと、ヨーロッパとかだと新しいパートナーと付き合うときにはお互い検査する人が多いんです。最近は日本もブライダルチェックなど、結婚するときに検査する方も増えていますが、結婚だけではなくて、新しいパートナーと付き合うときに検査するという習慣があれば、安心度が高まるのではないかと思います。富山県内でみても、本当に一般の方の中で感染が起きているような状況なので、誰にでも起こること、感染のリスクは身近になっているという意識をもつことが大事だと思います」 江戸時代に“不治の病”とされた梅毒は決して過去の病気ではありません。現代医療においても放置すれば死にいたる可能性もある病気なのです。 人との出会いや恋愛の形が多様化する中で、自分は大丈夫と決して過信せずに性感染症対策をしていく必要があります。
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/612b0d618b58459340b68151c85cc37357a938df?page=1
みんなのコメント
- やばすぎます
- これもまた 外国人が持ち込んで蔓延したと思う 夜の繁華街は多い
- えーっ、ヤバい気を付けます。
- 昔は死の病だったそうですから 治せるようになって良かったですね
- アメリカで流行ってたシカゾンビと一緒な感じ
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