竹中平蔵「派遣の拡大は、厚労省がやったこと」

文春オンラインによると

「これもう100回ぐらい、そうじゃないって説明したんですけど、みんなもう面白おかしく言ってるだけです」

 元パソナ会長の竹中平蔵氏が辟易する「ワイドショー的な議論」とはいったい? 100万人超え登録YouTubeチャンネル「日経テレ東大学」(※2023年5月末で動画視聴終了)の人気トーク番組を書籍化した『なんで会社辞めたんですか?』(編著:高橋弘樹、日経テレ東大学/発行:東京ニュース通信社/発売:講談社)より一部抜粋してお届けする。

(略)

「派遣の拡大は、厚労省がやったこと」

高橋 竹中さんがされてきた派遣の拡大とかですね。

竹中 いえ、そこが間違ってるんですよ。厚生労働省がやったんです。私は1990年くらいからずっとやってるし、小泉(純一郎)内閣の10年以上前からやっているし、現実にそういう働き方をしたいという人が多い。ついでに言うと、派遣は全労働者のわずか2%です。

 ワイドショー的な議論だと、「派遣は悪いことである、それをやったのが竹中である」みたいなことを平気で言いますけども。これもう100回ぐらい、そうじゃないって説明したんですけど、みんなもう面白おかしく言ってるだけです。

 もう一つ、やはり地方創生はすごく重要なテーマになってきています。ご存じのように、パソナは2020年9月から本社機能の一部を淡路島に置いていますけれど、そうした地方創生の基本的な方向について意見を言っていました。

会長を辞めたのは企業の新陳代謝を促すため

高橋 そこで番組のテーマですけれど、どうしてパソナを辞められたんですか?

竹中 タイミング的に最初は5年だけと言ってたんです。でも、5年やったときに、もうちょっと頑張って10年やろうかと。それで10年やって68歳でしたから、じゃあキリのいいところで70歳まであと2年ということで12年になり、それが13年になって、ようやく区切りがつけられたということです。

 理由としては、企業も新陳代謝が大事ですから、次の若い人が育ってきてほしいというのが一つあります。私のように外から入る人間は、やはり新陳代謝しなければいけないと思っています。たとえば社外取締役の場合、一定期間長くいると独立した社外取締役と認められなくなってきます。だから、新陳代謝することに意味があって、他の取締役と入れ替わって初めてその企業の活力が出てくると思うんです。

今回、コロナ禍の中でようやく業績も回復してきて、それなりに足腰も強くなった。だから若い人たちに引き継げると思って踏み切りました。

高橋 普通の人は、一度会長をやると辞めたくなくなるじゃないですか? なのにサクッと辞められたから、すごいなと思いました。

竹中 私はね、若い頃からたくさんの老害を見てきたんですよ。老害って本人は分かってないと思うんですけれどね。人間は年齢とともにいろいろと経験値が上がって、どんどん能力が備わってきます。でも、その一方で硬直性も出てきて、別の意味で能力が下がってくるところがありますよね。自分ではそれは気づきにくいんですよ。

[全文は引用元へ…]

以下,Xより

NewsSharingさんの投稿】

引用元 https://bunshun.jp/articles/-/64145?utm_source=twitter.com&utm_medium=social&utm_campaign=socialLink

みんなのコメント

  • 派遣労働の拡大を厚労省の責任にするのは無理がある。政策の方向性を決めたのは政権であり、竹中自身が深く関与していたのは明白だ。
  • 小泉政権時代に派遣労働が大幅に緩和されたのは事実。その時の経済政策を主導したのが竹中だったのに、今さら責任逃れするのは見苦しい。
  • 派遣労働が増えたのは厚労省の独断ではない。むしろ、当時の政権が進めた「規制緩和」の一環であり、その中心に竹中がいたことは誰もが知っている。
  • 「働き方の多様化」なんてきれいごとを言うが、結局は企業の都合に合わせた労働環境を作り、正社員を減らす口実になっただけだろう。
  • ワイドショー的な議論ではなく、実際に派遣労働の拡大がどんな影響を及ぼしたのかを冷静に分析するべき。責任逃れの発言ばかりでは何も解決しない。
  • 「派遣は全労働者の2%」と言うが、その影響は単純な割合では測れない。派遣労働の拡大で労働市場全体が不安定になったことを直視するべき。
  • 企業にとっては人件費を抑える都合のいい仕組みだったかもしれないが、働く側にとっては雇用の安定を奪うものだった。その結果、将来設計が困難になった人も多い。
  • 竹中がパソナ会長だったことを考えれば、派遣労働が拡大することで誰が得をしたのかは明らかだろう。こうした仕組みを作った責任を問われるのは当然だ。
  • そもそも、派遣労働の規制を緩和しなければ、こんなに非正規雇用が増えることはなかった。厚労省に全責任を押し付けるのは無理がある。
  • 派遣という制度が完全に悪いわけではないが、企業がそれを利用して正社員の雇用を減らす方向に動いたのが問題だった。規制の仕方が根本的に間違っていた。
  • 働き方の自由を増やすどころか、企業にとって都合のいい労働環境を作っただけ。結果として低賃金と不安定な雇用が広がった。
  • 竹中の言う「働き方を選べる人が多い」という話は、実際には選択肢が限られた人が仕方なく派遣になった現実とはかけ離れている。
  • 規制緩和の結果、正社員の待遇は悪化し、非正規雇用が増えた。雇用の安定を壊した張本人が、今さら「自分のせいではない」と言うのは通らない。
  • 「100回説明した」と言うが、説明すればするほど矛盾が増えているのが現実。政策の影響を無視して、自分を正当化するのは無理がある。
  • 派遣労働が企業にとってどれだけ都合のいい仕組みだったかを考えれば、誰が得をして誰が苦しんだのかは明白だ。結局は国民が犠牲になっただけ。
  • 正社員の割合が減り、社会全体の雇用が不安定になったのは、派遣の拡大が大きく関与している。今さらそれを否定しても説得力がない。
  • 厚労省が主導したというなら、なぜその方針が決定されたのかを考えるべき。経済界の圧力や政権の意向があったのは明らかだろう。
  • 雇用の流動化という言葉でごまかしているが、実際には労働者にとって不利な環境を作っただけ。誰のための政策だったのかを考えるべき。
  • 派遣労働を拡大した結果、日本の経済は本当に良くなったのか。格差が拡大し、労働者の負担が増えただけだったのではないか。
  • 竹中の発言はいつも「自分は悪くない」というスタンスだが、その政策の影響を考えれば、責任逃れにしか聞こえない。結果に対する説明をするべき。

japannewsnavi編集部Aの見解

竹中平蔵氏が「派遣の拡大は厚労省がやったこと」と発言し、自身が批判されることに対して不満を示しているというニュースを見て、改めて派遣労働の問題について考えさせられた。確かに、派遣労働は今や社会に浸透している働き方の一つとなっているが、その功罪については議論が尽きない。竹中氏の発言をどう受け止めるべきなのか、慎重に考えてみたい。

まず、竹中氏が主張しているように、派遣労働の制度が彼個人の判断で決まったものではないというのは事実だろう。制度の変更は、厚生労働省をはじめとする官僚機構や、最終的には国会での議論を経て決定されるものであり、一人の人物だけの影響で実現されるものではない。しかし、竹中氏が小泉政権時代に進めた「規制緩和」の中で、派遣労働の拡大が大きな柱の一つであったこともまた事実である。派遣労働が増えた背景には、政府の方針が関与していたのは間違いない。

竹中氏は「派遣の拡大は厚労省がやった」と発言しているが、その厚労省の動きに大きな影響を与えたのが、当時の政権における経済政策だったことも考慮する必要がある。小泉政権下で進められた規制緩和によって、労働市場の柔軟性が高まり、企業は正社員ではなく、より安価な労働力として派遣社員を活用する流れが加速した。結果として、多くの企業が人件費削減のために派遣労働者を増やし、それが今日の労働環境にも影響を与えている。

確かに、派遣労働が全て悪いわけではない。竹中氏の指摘のように、派遣という働き方を望む人が一定数いるのも事実だ。短期間の仕事を転々としたい人や、特定のプロジェクトごとに働きたい専門職の人にとって、派遣労働は選択肢の一つになり得る。しかし、問題はそうした「自由な働き方」を望んでいる人だけでなく、正社員として働きたくても職を得られず、派遣労働を選ばざるを得ない人が増えたという点だ。

また、竹中氏は「派遣は全労働者のわずか2%」と発言しているが、これは統計の取り方による。確かに、全労働者の中での派遣の割合はそこまで高くはないかもしれないが、非正規雇用全体の中での割合や、特定の業種・業界における派遣の比率を考えると、その影響は決して小さくない。特に、若年層や女性の雇用においては、派遣や契約社員といった不安定な雇用形態が増えていることが指摘されている。

この問題の本質は、単に「派遣労働の割合が増えたかどうか」ではなく、日本の労働環境がどのように変化したかという点にある。正社員と派遣社員の待遇格差が広がり、安定した雇用を得ることが難しくなっているのは事実だ。派遣労働は企業にとってはコスト削減の手段となる一方で、労働者側にとっては賃金が低く、雇用の安定性に欠けるというデメリットがある。

さらに、派遣労働の拡大によって、日本の社会全体にも影響が及んでいる。例えば、派遣労働者は正社員と比べて収入が低くなる傾向があり、それが消費の低迷を招く要因にもなっている。また、長期的なキャリア形成が難しくなることで、将来の生活設計が立てにくくなり、結婚や子育てを躊躇する人が増えるという問題もある。

竹中氏は「ワイドショー的な議論」として、世間の批判を一蹴しているが、派遣労働の拡大が多くの国民に影響を与えている以上、この問題が批判されるのは当然のことだろう。経済政策の結果として、格差が拡大し、雇用の安定性が失われたことに対する国民の不満は、決して軽視できるものではない。

もちろん、すべての責任を竹中氏個人に押し付けるのはフェアではない。派遣労働の拡大は、世界的な労働市場の流れの一部でもあり、日本だけの問題ではない。しかし、それを推進してきた政治家や経済学者の影響が大きかったのもまた事実だ。政策の結果に対して責任を持つのは当然であり、それを「厚労省がやった」と責任転嫁するのは適切とは言えない。

これからの日本がどうするべきかを考えたとき、派遣労働をただ否定するのではなく、労働者の待遇改善を真剣に検討する必要がある。例えば、同一労働同一賃金の徹底や、派遣労働から正社員への登用を増やす制度の強化など、派遣労働者の生活の安定を支える施策が求められる。また、企業側も短期的なコスト削減だけを考えるのではなく、長期的な視点で労働環境を整備するべきではないか。

竹中氏の発言は、確かに彼個人に対する過剰なバッシングを避ける意図があるのかもしれない。しかし、日本の労働環境が大きく変わったことは事実であり、その影響を受けているのは国民一人ひとりだ。派遣労働の拡大が生み出した問題に目を背けるのではなく、今後どう改善していくかを真剣に議論することこそが求められているのではないか。

執筆:編集部A

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