【追加給付金】低所得者世帯と年金世帯にも検討へ。厚生年金は「男性でも平均月額約16万円」、女性はいくらか

首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」(2024年6月21日)によれば、岸田総理は「酷暑乗り切り緊急支援」と、年金世帯や低所得者世帯への追加給付金の検討について表明しました。

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

止まらぬ物価高、続く円安、そしてもうすぐ訪れる夏…出費が増える今、生活に苦しみを感じている人は多いでしょう。 今回は酷暑乗り切り緊急支援と追加の給付金、また国民年金と厚生年金の平均額についても確認していきます。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成
出所:厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

「酷暑乗り切り緊急支援」で電気・ガス料金は8~10月分補助

円安等により電気代の値上がりが続いていますが、国は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」として2024年1月~5月使用分まで料金単価から一定額を値引き、負担の軽減を行ってきました。 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」では、物価高から守る「二段構え」のうちの一つに「酷暑乗り切り緊急支援」を掲げ、8~10月分の3か月分の電気・ガス料金補助をおこなうと表明しています。 エアコンの使用のほか、レジャーや帰省などで出費が増えがちな夏ですが、今年は電気とガスの補助がおこなわれることで家計の一部が助かるでしょう。

年金世帯や低所得者世帯に「追加給付金」を検討へ

また、年金世帯や低所得者世帯をへ追加給付金が検討されることになりました。 ほかにも物価高への対策として、学校給食費などの保護者の負担軽減、また飼料高騰などの影響を受ける酪農経営などの農林水産業、中小企業、医療・介護、保育、学校施設、公衆浴場、地域公共交通、そして物流、地域観光業などに対する、幅広い支援も行われるとのことです。 給付金については昨年は住民税非課税世帯や低所得世帯へ、今年度は新たに住民税非課税世帯等となった世帯へ、10万円給付が決定されています。 今回は年金世帯も対象ですが、詳細については今後の政府の発表を確認しましょう。

日本の公的年金の仕組み「2階建て」とは

年金については年々不安が高まっており、少子高齢化の日本においては今後受給額が下がる可能性も考えられます。 日本の年金は「国民年金(基礎年金)と厚生年金」の2階建て。

● 1階部分:国民年金  ・日本に住む20歳から60歳までのすべての人が原則加入  ・保険料は全員一律  ・40年間欠かさず納めれば満額が受け取れる

●2階部分:厚生年金  ・会社員や公務員、またパートで特定適用事業所に働き一定要件を満たした方が、国民年金に上乗せで加入  ・収入に応じた保険料を納める(上限あり)  ・加入期間や納めた保険料で将来の受給額が変わる 基本的に老後は自営業や専業主婦の方が国民年金を、会社員や公務員などが厚生年金を受け取ります。

厚生年金は「男性でも平均約16万円」、女性はいくらか

年金への不安は感じているものの、現代シニアがどれくらい受給しているかは知らない方もいるのではないでしょうか。 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金と国民年金の平均年金月額を確認します。

●【年金一覧表】国民年金の受給額ごとの人数  ・1万円未満:6万5660人  ・1万円以上~2万円未満:27万4330人  ・2万円以上~3万円未満:88万1065人  ・3万円以上~4万円未満:266万1520人  ・4万円以上~5万円未満:465万5774人  ・5万円以上~6万円未満:824万6178人  ・6万円以上~7万円未満:1484万7491人  ・7万円以上~:178万3609人

●国民年金(老齢基礎年金)の平均額 〈全体〉平均年金月額:5万6316円  ・〈男性〉平均年金月額:5万8798円  ・〈女性〉平均年金月額:5万4426円 国民年金をみると、平均的に男女とも5万円台を受給しています。 たとえば国民年金のみの夫婦の場合、受給額は月約11万円ほど。国民年金のみで老後生活するのは難しく、私的年金や貯蓄などが必要でしょう。 では厚生年金はいくらでしょうか。

●【年金一覧表】厚生年金の受給額ごとの人数  ・1万円未満:6万1358人  ・1万円以上~2万円未満:1万5728人  ・2万円以上~3万円未満:5万4921人  ・3万円以上~4万円未満:9万5172人  ・4万円以上~5万円未満:10万2402人  ・5万円以上~6万円未満:15万2773人  ・6万円以上~7万円未満:41万1749人  ・7万円以上~8万円未満:68万7473人  ・8万円以上~9万円未満:92万8511人  ・9万円以上~10万円未満:112万3972人  ・10万円以上~11万円未満:112万7493人  ・11万円以上~12万円未満:103万4254人  ・12万円以上~13万円未満:94万5662人  ・13万円以上~14万円未満:92万5503人  ・14万円以上~15万円未満:95万3156人  ・15万円以上~16万円未満:99万4044人  ・16万円以上~17万円未満:104万730人  ・17万円以上~18万円未満:105万8410人  ・18万円以上~19万円未満:101万554人  ・19万円以上~20万円未満:90万9998人  ・20万円以上~21万円未満:75万9086人  ・21万円以上~22万円未満:56万9206人  ・22万円以上~23万円未満:38万3582人  ・23万円以上~24万円未満:25万3529人  ・24万円以上~25万円未満:16万6281人  ・25万円以上~26万円未満:10万2291人  ・26万円以上~27万円未満:5万9766人  ・27万円以上~28万円未満:3万3463人  ・28万円以上~29万円未満:1万5793人  ・29万円以上~30万円未満:7351人  ・30万円以上~:1万2490人 ※国民年金部分を含む

● 厚生年金の平均年金月額 〈全体〉平均年金月額:14万3973円  ・〈男性〉平均年金月額:16万3875円  ・〈女性〉平均年金月額:10万4878円 ※国民年金部分を含む 厚生年金の全体的な平均額は14万円台でした。 ただし、厚生年金は男女差が大きくひらいています。 男性の平均額は月16万円台ですが、女性は約10万円台まで下がります。 これは女性の方が男性に比べて賃金が低かったり、育児や介護などで働き方をセーブしたりすることが関係しているでしょう。 グラフのボリュームゾーンをみると、男性は「15~20万円」なのに対し、女性は「8~11万円」と低くなっていることがわかります。

老後の生活費は単身世帯で「約3万円」の赤字

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によれば、老後のひとり暮らしの生活費は以下の通り。

 月の収入 収入:12万6905円(うち社会保障給付11万8230円)  月の支出  ・消費支出:14万5430円  ・うち食料:4万103円  ・うち住居:1万2564円  ・うち光熱・水道:1万4436円  ・うち交通・通信:1万5086円  ・うち保健医療:7981円  ・非消費支出:1万2243円など 支出合計15万7673円  月の収支:▲3万768円 上記では年金収入が12万円近くとなっていますが、税金や社会保険料である非消費支出が約1万2000円、また消費支出が約14万5000円となっており、月に約3万円の赤字です。 ちなみに総務省「家計調査 / 家計収支編 単身世帯 詳細結果表2023年」によれば、65歳以上単身世帯の消費支出額の平均は、男性で15万1182円、女性で14万8028円です。消費支出だけでも14~15万円かかり、さらに税金や社会保険料もかかることになります。 年金だけでは生活できない高齢者も多いでしょう。

【年金】2024年度は2.7%増額も物価高に届かず。早くから老後の備えを

物価高が続いていますが、年金額は以下の通り増額されています。

●2024年度の年金額の例(国民年金と厚生年金):月額(前年度比)  

・国民年金(満額):6万8000円(+1750円)昭和31年4月1日以前生まれの方は月額 6万7808 円(+1758 円)  

・厚生年金※:23万483円(+6001円) ※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合、受け取り始める「老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)」。 2024年度は物価高により増額となりましたが、マクロ経済スライドの調整により、実質的には目減りとなりました。 年金の平均的な金額をみてきましたが、厚生労働省「2022年国民生活基礎調査」によれば年金だけで生活している世帯は44.0%となっており、半分以上の世帯は年金だけでなく年金以外の所得とともに生活しています。 長引く物価高のいま、政府の年金世帯や低所得者世帯への追加の給付金の検討は助かる世帯も多いでしょう。 今回のような社会情勢の変化による家計への影響を考えると、早くから老後に向けて貯蓄などを検討したいところです。

参考資料

 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」  ・厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」  ・日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」  ・首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日  ・経済産業省資源エネルギー庁「電気・ガス価格激変緩和対策事業」  ・総務省「家計調査 / 家計収支編 単身世帯 詳細結果表2023年」  ・厚生労働省「2022年国民生活基礎調査」

◆【写真5枚】国民年金の1万円刻みの受給権者数。2枚目~「厚生年金の1万円刻みのグラフ」と「老後単身世帯の生活費」もチェック

宮野 茉莉子

引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/00514a9f4844b34c4ccefb5d5b0b08a3f3abddec?page=1

みんなのコメント

  • 非課税世帯給付金を調べてみました。 2022年10万円+5万円=15万円 2023年10万円(3万円+7万円) 2024年金額不明(決まれば冬支給) 非課税世帯のみの連続給付は本当に不公平と考えます。 小さな自治体では、所得に関係なく全世帯全員の10万円給付もありました。 この考えが一番公平と思います。 その他、日本に来られた外国人技能実習生(租税条約無)や学生、国内の他市町村へ転出した大学生(扶養無)も同じく給付されています。 日本人の税金が多くの外国人に、生活保護や給付金で流れているには残念です。
  • 義母、遺族年金と個人年金で月20万程度振り込まれます。 亡くなると相続税がギリギリ必要なくらいの資産もあります。 でも、非課税世帯なので給付金などはもれなく貰えます。 義母の友人知人ってそんな人多い。 貰えるんだから文句言う筋合いじゃないけどさ、もっと本当に支援が必要な人に手厚く支援できるようにならないのかな。
  • 昨今経済的弱者に対する支援が止まることなく実施されていることに別段反対するわけではないが、今後しっかりと納税義務を果たしている国民層を蚊帳の外に置き続けるのは非常に不満の出ることになる。納税の義務を果しているとは言え非課税対象者とどれほどの経済的格差があるのか もっと幅広い国民層に実態を聞いてもらいたい。
  • 国民年金と厚生年金を個別に表示したり、厚生年金の受給額分布には 国民年金を含むという文言が*で記載されていたり、ハッキリいって 年金の支給総額が非常に分かり難い。もう少しヒトの思考回路を考慮した 書き方をしてほしい。
  • 批判を受けてから検討する。自ら進んでとか、未来を考えて対策を打つとかできない首相。なのに次期首相選だけは出馬に意欲を燃やす。他国なら遠の昔にデモから暴動が起きて転覆しただろう政権ですが、日本国民は寛大で平和ですよね。
  • 毎回毎回、低所得者とか非課税世帯に支給され、わずかな金額で、支給されない世帯がいる。税金免除してる人が支給され、納めている人達は?支給されない。それだからこそ働いたら損になる。国民全員に支給すべき。
  • 国民を不公平に分断しないでほしい。 基本的に、一律給付で良い。拒否したい人には、受取拒否にチェックしてもらう形にすれば良い。 詐欺や犯罪には、何か新たに対策を考慮すれば良い。 そして給付するなら早急にすべき。
  • 今年の年金の増額は2.7%だったが去年の物価高給与の値上がり 高から見てもかなり低いので どういう計算になっているのか 厚労省にネットで問い合わせをした、少し遅れるが返事をすると書いてあったが4ヶ月経っても 未だに何の返事もない、厚労省の怠慢もいいところだ!
  • 何で普通に頑張っている人をいつも無視するのだろうか。 貧困家庭対策は分かるが、非課税世帯や年金者が貧困とは限らない。 反対にギリギリ頑張っている人が一番苦しんでいるのに、いつも無視される。 国民を分断する施策はいい加減止めて欲しい。

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