兵庫県尼崎市で行われた講演。会場の壇上には2人の人が座っていました。いずれも事件で最愛の家族を亡くした遺族です。その中にいたある男性。男性の名は稲田雄介さんです。
【写真を見る】亡くなった稲田真優子さん (稲田雄介さん)「亡くなった後に見せてもらった最期の顔は何年たっても色あせないです。『絶対に加害者に、復讐、仕返しをしよう』と、かすむ目を何とかしてぬぐいながら、その写真をまじまじと見て考えていました」 2021年6月、大阪市北区でカラオケパブ「ごまちゃん」を経営していた稲田真優子さん(当時25)は店の常連客だった宮本浩志受刑者(58)に首や胸などを刃物で何度も突き刺され殺害されました。 突然起きた悲惨な事件。当時妹を失った悲しみに暮れる一方、裁判期間中の宮本受刑者の言動に苦しめられていました。1審で宮本受刑者は「被害者遺族の意図をくむなら、ぜひとも死刑を下していただきたい」などと身勝手な主張を展開しました。下された判決は懲役20年でした。 心を踏みにじられた雄介さんら家族。雄介さんは宮本受刑者に対して「損害賠償命令制度」でやり場のない怒りへの償いを求めます。この制度は刑事裁判の有罪判決後に、手続きに関与した裁判官のもとで審理が行われるものです。裁判所は宮本受刑者に約2980万円の賠償を命じました。
妹の最期は『顔が腫れあがり…髪の毛むしり取られたような状態』
18日、講演に立った雄介さん。事件で亡くなった後の妹の様子について話しました。 (稲田雄介さん)「最初は、遺体と会うにしても顔は布で覆われていて、中は包帯で巻いている状態。自分は亡くなった認識を持たないと前に進めないなと思って、1枚でもいいから亡くなった時の写真を見せてほしいと話をした。ただ刺されて亡くなっただけではなく、顔にも複数の暴行の跡があって腫れあがり、髪の毛もむしられている状態でした。刺されただけじゃなく、顎も刃物で皮膚をえぐり取られているような、カラスが猫の死体をついばんだような、そんな最期でした」
加害者に命じられるも賠償は全額支払われず
加害者に対して「許せない」。そんな思いを抱く中、受刑者に命じられた賠償金も全額、支払われていないと言います。 (稲田雄介さん)「損害賠償は2980万円と大きな金額をもらえた判決だったが、実際に判決が出てから約2年弱経つのですが、実際に払われているのは600万円のみでした」 賠償命令制度は刑事裁判の有罪判決確定後でないと実施できない制度です。そのため、遺族自身が相手の資力や資産などを調べるにもすぐには動けない現状についても話が及びました。 (稲田雄介さん)「まずはすぐに動けない、殺人事件の場合ですと裁判まで1年以上期間を要しますし、事実認定を要するまでに1年半はかかってしまう。いくら相手を恨めしい、憎いと思っても事実認定をされたあとでなければ、責任や賠償を求めることができない。相手に時間を与えてしまうということです」 『損害賠償で何とか少しでも償いをしてもらいたい』そう思っていた稲田さんが相手の資力などを調べると、口座にはわずかな金額しか残っていなかったということです。 (稲田雄介さん)「相手は持ち家がありましたが、1年半という期間があくと、その間に家を手放し、配偶者への財産分与もなされていた状態でした。そして口座には931円しか残っていませんでした。その931円が償いなのかなと。分相応ではないのかなと、憎みたくない人間でも憎んでしまうんですよね、今の制度ではどうしても」
「故人に思いはせる余力のある生活を送らせてもらいたい」
稲田さんは相手からの賠償金の未払い問題と向き合いながら、それ以上に事件で大切な人を失い、精神的にも辛い現状を次のように話しました。 (稲田雄介さん)「人の命を電卓ではじくことは僕はナンセンスだと思います。包括的に支えることが、この立場に立って思うのは必要だなと感じます。一番嫌だったのは、恨みつらみで目が曇ってしまって、故人との思い出が生活に忙殺されたり忙しくなって、薄れてしまうことなんです。せめて生活の立て直しができる、故人に思いをはせる、悲しめる余力のある生活を送らせてもらいたいなとこの立場に立って思います」
加害者の大半は賠償金を“踏み倒し”
日本弁護士連合会が2018年に行った調査では、加害者に賠償を求めたケースで、裁判などで認められた賠償額のうち実際に被害者に支払われた金額は、殺人事件で13.3%、強盗殺人事件で1.2%などとほとんど支払われていないのが現状です。 さらに判決から10年が経つと時効を迎えてしまうため、加害者側からの支払い義務がなくなってしまいます。そのため被害者は、加害者の逃げ得を阻止するためにも、再び裁判を行う必要があります。 稲田さんが所属する「犯罪被害補償を求める会」では国に対して賠償金の立て替え制度の創設を国に求めています。
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/b7fc7d5c1116045eb230b849c45ca67969e86702?page=1
みんなのコメント
- 女子高生コンクリート事件でも未成年だった犯人たちは遠に刑務所から出て家庭を持ってるらしい。 当時犯人たちは未成年だったためその親が賠償金を払う約束だったが、一部しか払われ無いとの記事があった。 再度犯罪を犯した犯人もいる。 これでは、殺された人間は余りに浮かばれない。 賠償金を払わなくてもお咎めが無いのもおかしな話
- 弁護士は依頼者のために働くのは十分理解しているが、時として自分のやっていることが恥ずかしくないのか、と思ってしまうことがある。この記事の例も、頼まれてもいないのにしゃしゃり出て「今のうちに資産を処分しておいた方が良いですよ」と余計な助言を行い、相応の手数料を取ったのではないか、と勘繰ってしまう。全ては被害者・遺族のために!刑法及び慰謝料制度はそうあるべきだと思う。手元資産が無ければ懲役刑を再考慮し、金額を刑期年数換算して無期懲役に持って行けるような柔軟な制度で対応すべき。
- いつも思うけど、何故法は犯罪者に甘いのか 少年犯罪含めて見直してもらいたい そもそも極悪犯罪行為犯して賠償もできない、何年かしたら社会復帰とかあり得ない 少なくとも2度と世の中に出てきて欲しくない あと、このような犯罪を防ぐのが警察の役割と思うが、だい犯罪が起きてからでないと動かない 犯罪犯しそうなやつを早めに摘むのも警察の仕事と思う
- 加害者の財産は逮捕された時点で凍結した方がいいんじゃないか。一家の大黒柱ってこともあるだろうから、家族の生活費程度はともかく、財産を隠したり移動したりという時間を与えるべきではないと思う。遺族への支払い逃れとかも強制徴収できるようにした方がいい。未成年者の犯罪も関係者に限るなどして公開すべきでは。更生のためという建前はわかるが、被害者は氏名も公表されているのに加害者ばかり匿われているような感じがしてしまう
- 財産を離婚した妻に渡したんだっけ?妻としても被害者ではあるが、何というかやりきれないね。判決が出るまでは凍結でいいと思うし、加害者が逃げたもん勝ちなのはどうにかならないのかね。加害者は裁判でも遺族の神経を逆撫でする言動を繰り返していたし どうでもいいことばかりが早く決まるけど、こういう対策こそ国は進めてほしい
- 全額支払われるまで強制労働でいいと思う 殺人としての犯罪は刑期で償ったとしても遺族に対しての償いはされていない お金で解決というのはあまり良い気はしないが だからといって亡くなってしまった遺族は戻ることはない 遺族に対して何かしら正当な償いは必要だと思う
- 逃げ得や刑期を終えたらリセットみたいなところがあると犯罪の抑止力になってない。紙の時代は時効や人の追跡に限界があったがデジタル化により銀行、給与、年金、生活保護など全てマイナカードでひも付けして一生償う仕組みを作ることを政府は検討してほしい。
- 加害者に対する損害賠償が民事になってる段階でおかしい 被害者への賠償については刑事罰の延長上に置いて、今残金が有れば強制執行の対象にして、無ければ自己破産を認めない加害者の債務として、何年かかろうと贖罪の証として、払わせ続ける必要がある 所が、法律を変える力を持つ国会議員さんたちは、利権が絡む放送法の改悪などは瞬時に行うけど、明らかに理不尽な法律の見直しや、自分たちの贅沢が狭まる法律の改定には、ほんとに興味を示さない 皆さんはこれでも、次の選挙で投票しないを選びますか? 投票しないという行為は、現政権に有利に働くから、なし崩し的に現政権を肯定してると同じなのですよ
- いっそのこと刑務所とは別に強制労働施設でも作れば良いと思う。刑務所を出たあと被害者に賠償金を払えない人は施設に入れていくつかある仕事を自由に選択して働かせる。それによって得た報酬から家賃・光熱費を差し引いた額の9割ほどを賠償金に充てる。きちんと働き続けるなら自由に転職も認める。こんな感じで刑務所よりも自由にしつつもきっちりと賠償金を払わせる施設があってもいいと思う
- 賠償金、慰謝料、養育費など時間がたつと払われなくなり、ちゃんと最後まで払わない方が多いんですよね。国が立て替えろとは言わないが、警察などに専門の窓口を作って、資産の差し押さえとかしてほしい。親兄弟まで責任範囲を広げてほしい。生活補助の申請する時も自分の資産や親兄弟の資産をチェックしたうえで支給するのだから、それぐらいはできると思う。
- こんな理不尽な目に遭った事件被害者遺族の事を考えると、 賠償金を国が立て替え、国が加害者から取り立てる制度が必要だと思う。 加害者が賠償を終えるまで、国がGPSをつけて管理するくらいしないと、 今のままでは加害者の逃げ得がまかり通ってしまう。 是非とも被害者と遺族に寄り添った刑法改正を望む
コメント