首都圏のビルの解体現場で働く人を見て、「あれっ、どこの国の人かな?」と思ったことはありませんか。川口には、主にトルコから来たクルド人が2000人が暮らし、多くの人が解体現場で働いている。日本人を雇うクルド人経営者もいる一方で、多くは日本で難民申請を却下され、就労は認められず、健康保険証もない「仮放免」という不安定な状況にある人たちもたくさんいる。国会で審議されている入管法の改正案が通れば、国に帰されてしまうかもしれないと不安な日々を過ごしている。
マムト・サグラムさん一家。妻イペックさんと3人の子どもたち=2023年3月、さいたま市の秋ケ瀬公園
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首都圏のビル、家屋解体になくてはならない存在
園芸業者や町工場が点在する川口市の戸塚安行駅から徒歩十数分。通りから奥まった一角に、早朝から大型バンで次々と男性客がやって来る店がある。簡易テントの中で売られているのは、ケバブや酸っぱいオリーブとチーズ入りのパン「ポアチャ」などトルコ料理の軽食だ。
解体現場で働くクルドの男性たちが朝食を食べに来る。「今日は春日部の現場です」。午前7時45分、紅茶を飲んでいたトルコとセネガル出身の男性がさっそうと出発した。
いまや首都圏のビルや家屋の解体作業に、クルドの人たちは欠かせない存在になっている。川口などでクルドの人たちが経営あるいは働く解体業者はおよそ170社あるという。
川口市芝で暮らすマムト・サグラムさん(36)も2016年に会社を立ち上げた。いまは日本人も2人雇っている。
クルドの人たちはトルコ、イラク、シリア、イランなどにまたがる山岳地帯に暮らしてきた。最も多くが暮らすといわれるトルコでは公の場でのクルド語の使用が禁じられた時代もあり、抑圧を感じた人らが国外に移住、日本最大のコミュニティーが川口市にある。
トルコ南部パザルジクで育ったマムトさんは、大学でマーケティングを学んだ。大学でクルド人の歴史について調べたり、発言したりするといじめられたり、差別を感じたりすることもあったという。
2009年、政府に抗議するデモに参加した帰り道、警察に逮捕された。
釈放されたのは7カ月後のこと。「姉やいとこがいるヨーロッパに行こうか。でもビザの審査に数カ月かかる間にまた捕まってしまう」。
ビザなしで渡航できる日本行きを決め、パスポートを取得、釈放から23日後の2010年8月に日本に着いた。親類を頼って川口に来てまもなく13年になるが、以来一度もトルコに帰っていない。
日本クルド文化協会事務局長のワッカス・チョーラクさん(41)によると、クルドの人たちは1990年代に川口周辺に住み始めた。たまたま市内に住んでいたイラン人を頼ってコミュニティーが広がったといい、現在では2000人以上とも言われる。マムトさんも「川口には親類が100人いる」という。
マムトさんは日本で難民認定申請をした。その審査中に始めたのが解体現場でのアルバイトだった。
日本人の親方のもと、東京や横浜の現場に行っては、解体作業をした。言葉がわからず、日本語とクルド語の辞書を持ち歩いた。「右、左がわかれば大丈夫だよ」と親切にしてもらい、機材の使い方も教わった。
3年ほど後に来日したイペックさんと日本で結婚し、2015年に長女、2018年に次女、2022年には長男が生まれた。結局、難民とは認定されなかったが、法務大臣が特別な理由を考慮する「定住者」としての居住が認められた。
川口でずっと暮らしたいと家を新築中だ。川口は高速道路にもすぐ乗れて首都圏一帯の現場に移動しやすく、土地や物価も高すぎず、「便利でちょうどいい所」。
親切な病院もあるし、同胞がいる。イペックさんは「別の場所に行くとガイジンみたい、川口は普通の家みたい」と笑う。
不安定な立場、入管法改正でさらに
ただ、チョーラクさんによるとクルド人の同胞の多くは、難民申請をしても却下され、半数近くが、一時的に身柄の拘束を解かれた「仮放免」の状況におかれている。
仕事をすることは認められず、病気やけがをしても健康保険証もない。
マムトさんの心配は入管法の改正案が国会で審議されていることだ。
3回以上難民申請をしている外国人は迫害の恐れがあっても、国に帰される可能性がある。「クルド人は解体など日本の若い人が就かなくなった仕事に慣れている人も多い。子どもが大学生になった家庭もある。みんながきちんと働いて税金を払えるようにし、追い返すことはしないでほしい」と訴える。
引用元 https://globe.asahi.com/article/14903809
みんなのコメント
- 女子供の写真ばかり使ってかわいそう感を出そうとしてるがそうは行くかよ!
- 追い返すとかどうとかではなくて、難民は受け入れないとならないけどこの人は審査の結果難民ではないって言う結論が出たんだから難民じゃないんだよ。 受け入れる道理はないからお帰り下さいと言うだけの話。 なぜ仮放免とか何回も難民申請が可能とかって制度があるのか理解出来ない。
- 偽装難民です。責任は、政府、経団連にあり。移民受け入れは、私たちの賃金抑制とC国人の流入が狙いです。このままでは、物価は2倍3倍になるけど、賃金はほぼ据え置きとなる。税負担率は、昭和の25%から令和には、50%にまで上昇しています。外務大臣は花咲ババアのように散財しています。
- 事情に関係なく、不法滞在者は強制送還するべきです。法が機能しなければ、きちんと手続きをして滞在している外国人に失礼です。
- 難民とは戦争や迫害など政治的な理由により、着の身着のままで国境を越え逃げて来る者たち。或いは沈みそうな小舟に乗って逃げて来る者たち。日本にも以前、そうやって難民がやって来た。 飛行機に乗って来日しフェラーリを乗り回す、そんな難民はいない。
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