韓国のG7(主要7カ国)加入議論が拡散している。G7は中国やロシアをはじめ、北朝鮮・イランなどが急激にブロック化して国連など多くの国際機構が無力化している状況で事実上唯一国際秩序に対する方向性を提示している多国間協議体と評価されている。
米戦略国際問題研究所(CSIS)は12日(現地時間)に公開した報告書で「G7を韓国とオーストラリアを含んだG9に拡大するべき」と提言した。両国を追加したG9体制への拡大を提案した理由は、G7の影響力の弱まりと欧州に偏重された現体制の限界と関連がある。 G7加盟国は米国・英国・ドイツ・フランス・日本・イタリア・カナダなど7カ国だ。1975年にカナダ(1976年加入)を除くG6でスタートしたこれらの国内総生産(GDP)は全世界の60%を占めた。先進国首脳の年次会議は言葉どおり「ゲームのルール」になった。しかしG7のGDP占有率は1992年66.9%にピークを迎えた後、43.4%に減少した。1970年代に3%だった中国のGDP占有率が18%に急増したためだ。 このため中国と競っている米国は未来の経済・安全保障を左右するAI(人工知能)と最先端半導体技術を保有した韓国や台湾などアジアのパートナーが切実になったが、G7は依然と1970年代経済の中心だった欧州に集中している。欧州の強い影響で欧州委員会委員長(1977年)と欧州理事会議長(2010年)まで準会員国として参加し、現在G7の加盟国9カ国中6カ国を欧州が占めている。
CSISはこれに対して「G7でアジアを代表する国はひとつ(日本)だけで開発途上国の声も排除されている」とし「このような構造ではグローバルガバナンスを先導できない」と指摘した。 特に韓国については「新興技術サプライチェーンを保護するために重要な役割を果たしている」とし「一部G7加盟国よりも優秀な成果を示している」と強調した。CSISは引き続き韓国とオーストラリアの新規加盟国加入のために2席を占めるEU関連機構の会員資格を統合するよう提案した。従来の欧州国の一部を排除できないなら、EUが「席」一つを空けろという論理だ。 G7に韓国を追加しようという議論が大統領選挙を控えた米国で超党派的に出てきていることも注目すべき点に挙げられる。韓国のG7加入議論は2020年5月当時トランプ米国大統領が韓国をはじめとするオーストラリア、インド、ロシアなど4カ国を追加したG11体制への転換に言及して始まった。しかし関連議論はバイデン政府に入って事実上中断され、昨年広島サミットを控えて韓国の追加の可能性が提起された時でさえ、国務省は「加盟国の変化に関連する議論は分からない」といって線を引いた。
その後、昨年11月バイデン大統領の最側近ロン・クレイン氏(前大統領首席補佐官)がカーネギー国際平和財団に送った寄稿文で「中国の挑戦を考慮する時、アジア太平洋国家のうち韓国とオーストラリアをG9として追加することが妥当だ」として関連議論を再点火した。トランプ再執権時、大統領補佐官候補に挙げられているエルブリッジ・コルビー氏(前国防総省戦略・戦力開発担当副次官補)も中央日報のインタビューで「アジアが(米国安全保障戦略の)核心なので(欧州加盟国を)アジア国家に変える必要がある」とし「(欧州説得のために)必要な場合、カナダを外して韓国を加盟国に入れることも支持する」と話した。 ある外交消息筋はこの日、「韓国のG7加入は先進国が作った規則に従う『ルールテイカー』から規則を作る『ルールメイカー』に変貌するという意味を持つ」とし「現在すべての加盟国が価値を共有する『類似の立場国』の参加を拡大しなければならないということで共感しているが、自国の利害のために立場が交錯している状態」と伝えた。 現在韓国のG7進出に反対する陣営は加盟国の増加で発言力が弱まることを懸念する欧州国家だ。欧州で韓国のG7加入に賛成しているのはEUを脱退した英国が唯一だ。アジア唯一の加盟国日本も「役割縮小」を懸念して韓国の参加を喜ばない雰囲気だ。このような雰囲気は最近G7首脳会議に韓国大統領を招待したかどうかにそのまま反映されている。
韓国はトランプ政府時だった2020年米国G7サミットに続いて2021年英国サミットにも公式招待された。昨年日本も韓国を招待したが、当時は日本の立場とは別に米国がかけた韓米日同盟強化ドライブを無視できなかった状況を勘案する必要がある。反面、2022年主催国のドイツと今年主催国のイタリアなど欧州国家2カ国は並んで韓国を招待対象から排除した。 CSISは「広島サミットの時はAIや経済安全保障など野心に充ちたグローバル議題を提示したが、イタリアは(欧州の議題である)アフリカ移住民問題に議題を転換して連続性を無視してしまった」とし「議題の不連続性は国際社会に混乱と後続措置の不足、公約の履行力に対する限界点を見せることになる」と指摘した。 事実上、AIと経済安保の核心協力国・韓国に対する招待排除を批判した言葉と解釈される。
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/f48ac0fc72e16ee381343b7c6684cfd6bd673653
みんなのコメント
- 政権が変わるたびにコロコロ政策を変えるような国を加えれば混乱するだけだし、かの国の主張は根拠のないことが多い、竹島の問題をきちんとICJで解決してからの議論にしてほしいですね
- もしアジアを代表する国を新たに入れるんなら日本と同じ東アジアの韓国ではなくて中央アジアのインドの方がずっと広範囲の意見を取り入れることができると思うよ
- イタリアサミットに招待を懇願したのに断れただろ。ドイツでもけんもほろろに断られた。イギリスでは女王陛下に挨拶すらさせてもらえなかった。そろそろ夢から覚めた方がいいのでは?カナダの代わりに韓国を入れることにどの国が賛成するんだ?
- G7とは、世界のリーダー国の首相会議なので、少なくとも先進国の要件を満たしていなければ入れる入れない以前の問題である。民主主義、自由主義国でなければならず、一院制の韓国はこの時点で要件を満たしていない。また、特定の国に国家ぐるみで制裁を加えようとするようでは、とても自由主義とは呼べない。
- そんなG7加盟国へのリスペストもなく、カナダは抜けても良いから自分たちを入れろとか言ってる時点でG7の器ではないでしょう。 そもそも政権次第では平気で態度を一変させかねないし、そのうちG7を日本への対抗や反発を直接伝えて、敵対心を煽る場として利用してくることだってあり得る。まずは日韓請求権協定など国家間で結ばれた協定等を忠実に守り、日本の国際司法裁判所への提訴に応じ国家としてのあり方を身に付けてからの話でしょう
- 「G7でアジアを代表する国はひとつ(日本)だけで開発途上国の声も排除されている」 一般的な報道はされていないがサミット前に日本はアジア各国に対して分かりやすく言えば「御用聞き」に出向いている。昔からやってる。それがアジアを代表している日本の立場からの配慮。
- 韓流、K-popや北朝鮮の脅威のおかげで、世界的には韓国という国の存在を知ってもらえてはいる。でも、それを除いたら韓国が世界にアピールできる事ってなんだろう。国策により韓国語学習者を世界的に増やそうとしたりで、ソフトの面、表面的にはG7に匹敵するぐらいの認知度なんだろうけど、独自の文化、技術「だけ」の力で、やってきたことはあるんだろうか、と思う。
- 参加国が増えればそれだけ各国の思惑が絡み合い決まるものも決まらず機能しなくなる。また先進国とはGDPさえ高ければいいというものではない、先進国としての責務を果たして初めてその資格を得る。アメリカとしては自分の影響力のある国の参加を増やしてG7を牛耳ろうと考えているのかもしれないが混乱するだけだと思う。
- 上から目線で敵を作ってでもルールテイカーになろうとする意思、これは日本も学ぶ必要がある。しかし、日本人の心性からはかなり遠い考え方だと思う。また入り込まれようとされる七か国はどう思うのだろう。喜んでどうぞと言うところはいかほどか。どこまで相手の立場も意識しているのだろう。
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