2024年3月21日(木)、六本木ヒルズアリーナにて「フォーミュラE 東京大会」(3月30日(土)有明にて実施)事前イベントが開催された。特別ゲストとしてイベントに登壇した小池百合子東京都知事は「東京都は、2030年に新車販売で非ガソリン車100%を目指しております」と、従来の主張を改めて明言しました。現実問題としてこの目標達成は可能なのか? 以下、整理してお伝えしたい。
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「東京都は、国に先立って、2030年に新車販売で非ガソリン車100%を目指しております」
電気自動車(BEV)のフォーミュラレース「フォーミュラE」、日本初開催となる東京大会(3月30日15:00~決勝)を目前に控えた事前イベントにて、小池百合子東京都知事は従来と変わらない、東京都独自の環境政策「2030年までに新車販売非ガソリン車100%」を改めて明言した。
都の基準によると「非ガソリン車」はBEVやFCVだけでなく、PHEVやHVも含むいわゆる「電動車」と同じ定義となる。それでも「新車販売で100%」(つまり「純ガソリン車の販売を禁止する」)となると、2024年時点でかなり高いハードル。
2023年1~12月の乗用車販売台数(乗用車、登録車+軽自動車)は399万2727台で、うち電動車は200万9725台(HV…186万8625台+PHEV…5万2143台+BEV…8万8535台+FCV…422台)。電動車比率は50.3%と、暦年ベースで初めて半数を超えたものの、つまりまだ半分は純ガソリン車(と純ディーゼル車)が占める。
これをあと6年で100%に出来るのか。
小池都知事のこの主張は、今から3年半前、2020年12月8日の東京都議会本会議にさかのぼる。この日、都知事は「温室効果ガスを出さないゼロエミッションの取り組みを進めることは、気候変動に立ち向かう世界の大都市共通の責務だ」と述べた。
そのうえで、東京都内で販売される新型車について、「乗用車を2030年までに、二輪車を2035年までに、100%非ガソリン化することを目指し、世界の潮流をけん引していく」と発言。
なお東京都は「2030年に新車販売で非ガソリン車100%」とともに「乗用車の新車販売台数に占めるZEVの割合50%」という目標も掲げており、この「ZEV」というのは都の基準によるとPHEVも含まれるそうだが、それでも「販売台数の半数がPHEV、EV、FCV」というのは、「HVも入れて100%」より厳しいのではないかと思ってしまう(軽自動車が特に厳しいのでは)。
思い起こせば1999年、当時の石原慎太郎都知事がペットボトルに入った真っ黒な煤(スス)を見せながら、「こんなのが1日12万本出ている。みんなこんなものを吸っているんだよ!」と語り、「ディーゼル車NO作戦」を展開。都の条例で規制値をクリアしていないディーゼル車の都内走行を禁じた。
この動きに周辺3県や国(環境省)、日本自動車工業会も追随してディーゼル車の開発促進と規制強化、合わせて石油業界の開発も進んで軽油残留硫黄分が低下し、日本のディーゼル車における排ガスのクリーン化は一気に進むことになった。
小池都知事にはこの「ディーゼル車NO作戦」の成功が見えているのだろうが、しかしそのいっぽうで、自動車界では一時期の「BEV強力推進路線」は沈静化し、「マルチパスウェイ路線」へ移行しつつある。
ざっくり言えば「カーボンニュートラル燃料の開発」や「既存のガソリンエンジンのCNF対応」といった道も見えている。そもそもの話として、軽自動車はHV化するよりも(充分低燃費な)既存のガソリンエンジンをより省燃費化させたほうがCO2削減には有利ではないか、という議論も起こっている。
こういう状況で「新車販売で非ガソリン車100%」という題目だけが先行して、もし「純ガソリン車の販売規制」……なんていう話が出てきたら目も当てられない。
2024年は東京都知事選挙(6月20日告示、7月7日投開票)が控えている。現職の小池百合子知事の動向が注目されるが、おそらく出馬すると言われている。もし当選するとすれば、任期は2028年。
その頃までに、「自動車における脱炭素戦略」に関して、さまざまな可能性に開かれた知識を持つ政策ブレインが都知事の横にいてくれるとありがたいのだが……。
引用元 https://bestcarweb.jp/feature/column/830037
みんなのコメント
- ディーゼル車100%にする気か?
- 昔の記事かと思ったら最新ですか? マジすか…
- 何を言っても誰も信用してくれない人になってしまったね
- 一つも成し遂げていない公約がひとつ増えただけ?
- EUでも 2035年で伸ばして さらに、やっぱり無理だ って、去年諦めたのに 小池は何をしてんの?
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