海を越えて“出稼ぎ”をする性風俗業の日本人女性が出てきている。出稼ぎを選ぶ女性たちを駆り立てるものは何なのか。背景の一つとして、国内性風俗の「低価格化」が進んでいることも関係しているようだ。朝日新書『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』(著:松岡かすみ)から一部を抜粋、再編集して紹介する。 本書では、違法である性風俗業での海外出稼ぎの実体験のみならず、出稼ぎがはらむリスクやそこに至る社会的要因などを多方面から取材。個人の責任如何でなく、現代日本社会全体で考えるべき問題を提起している。
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性の売買がカジュアル化し、低価格化が進んでいる現状だ。性風俗業に従事する女性たちに話を聞くなかで感じたのが、「止むに止まれぬ事情があって、“仕方なく”性風俗の仕事をしている」というよりは、「効率的に稼ぎたいから、“あえて”この仕事を選んでいる」というスタンスである。 実際に女性たちからは、「これだけ融通が利いて、短時間で稼げる仕事は他にない」「朝9時から夕方5時まで机に向かう仕事より、短時間集中型の性風俗の仕事が自分には合っている」「期間限定で目標を持って働くには、悪くない働き方だと思う」など、性風俗の仕事を前向きに捉える声が多く聞かれた。無論、「親や友人には言えないけど」「堂々と人に言える仕事ではないことはわかっているけれど」といった枕詞は付くものの、性風俗の仕事について、無理してポジティブな発言をしているのではなく、率直な意見として、あっけらかんと話しているように見える。
昨今の性風俗業界についてまとめられた『日本の風俗嬢』(2014年、中村淳彦著)でも、「風俗嬢たちは自らの仕事をポジティブなものとして捉えるようになってきた」との記述があり、「どこにでもいる一般女性がポジティブに働いている。高学歴の者もいれば、家族持ちもいる。これが現在の普通の光景である」とある。90年代から性風俗関連の取材を続けてきた中村さんの感覚で言えば、“ブルセラ世代”と呼ばれた1980年代生まれが20歳になった2000年あたりから、性の売買に抵抗のない女性が急増したという。 その後、現在のように性風俗関連の仕事をポジティブに捉える女性が本格的に増えたのが、2008年のリーマンショックで雇用が本格的に壊れてからのこと。90年代までは性を売る行為は“転落の象徴”であり、大多数は「そこまで落ちたくない」という意識がまだ根強かったものの、リーマンショック以降は「自分の才能や技術に対して、男性客が安くはないお金を払ってくれている」、「誰にも頼らずに生きているのだから、私は平均的な女性と比べても勝っている。むしろ上層にいる」という意識が女性たちに見られたという。2000年代以降は友人の紹介や、求人サイトを通じて自分の意思で応募をしたり、繁華街でスカウトされたりと、「多くの女性が性風俗にポジティブに足を踏み入れている」とある。
その結果、「国内の風俗で思うように稼げない人が増えている」と話すのは、性風俗で働く女性を対象にした無料の生活・法律相談事業を行うNPO法人「風テラス」理事長の坂爪真吾さんだ。坂爪さんによれば、国内の風俗店が増加した結果、そこで働く女性も増え、需要と供給のバランスが崩れていることで、風俗の低価格化に拍車がかかっているという。さらにネットを通じ、誰もが風俗の求人情報にアクセスしやすくなった影響もあり、「風俗の仕事以外でも十分に稼げる人たちが、風俗業界に入ってくるようになった」傾向も見られている。 「ここ20年ほどで、国内の風俗の単価はぐっと下がり、以前のように誰もが稼げる仕事ではなくなってきています。それでも一般社会での昼職よりは稼げるとあって、育ちも良く学歴もあってコミュニケーション力も高いような人が、風俗業界に次々と入ってくるようになりました。ネットで“自分の地域名+高収入”などで求人を検索すると、デリバリーヘルス(デリヘル)などの風俗の仕事が多数ヒットします。こうして誰もが簡単に風俗の仕事にアクセスできるようになったのも、流入が増えている要因の一つでしょう。競争が激化するなかで、稼げる層と稼げない層の二極化が生まれています。特に後者の人にとって、高額な海外出稼ぎの案件は、リスクがあったとしても飛びつきたくなるのかもしれません」(坂爪さん)
坂爪さんは、海外出稼ぎに行く女性について「黄金期を経て、稼げなくなったアラフォー女性が、海外に目を向けているのでは」とも推察する。1999年に改正風営法が施行されて以降、現在に至るまで都市部を中心に無店舗型のデリヘルが急速に発展するが、2000年代初頭はまだ店舗型風俗店、いわゆる箱ヘルが主流だったこともあり、今よりずっと歓楽街に活気があった。今のアラフォー世代は、そうした2000年代初頭に20歳前後だった世代で、年齢的に最も稼げる時期と活気ある時代とが重なったいわば“黄金期”を過ごした世代でもある。 「しっかり稼げた黄金期を過ごした世代で、“昔ほど稼げなくなったけど、収入は下げたくない”という人が、今海外に目を向けているのではないでしょうか」(同) 確かに、日本の性風俗マーケットは“18歳から24歳前後がもっとも稼げる年代”とも言われるくらい、年齢至上主義の世界であることは紛れもない事実だ。筆者の感覚としても、海外出稼ぎを考える女性たちは、性風俗の仕事を前向きに捉え、日本でも一定の“成功体験”を持ったうえで、「もっと稼ぎたい」「もっと成功したい」と考える傾向があるように感じた。もっとも話を聞いた女性たちに限っては、「稼げなくなったから」というよりは、「日本でも一定稼げているけど、もっと稼ぎたいから」という理由が多かった。 自身も風俗業界で働いた経験を持ち、性風俗業で働く人々を支援する当事者団体「SWASH」メンバーの要友紀子さんは、こう話す。「性風俗業の日本人女性が海外に出稼ぎに行く動きは、10年ほど前から少しずつ見られています。彼女たちは日本で稼げなくて生活に困っているというよりは、日本でもある程度稼いでいた人たちが、“より稼ぎたい”と本気で稼ぎに行っている。だから精神的にも相当タフで、行動力のある人が多い印象です」 昨今は風俗業界でもオンライン面接が多くなり、国内のみならず、海外の店で働く場合も、リモートで手軽に面接が受けられる。セックスワークの場合、現地の言葉がそこまで話せなくても、仕事を得ることができるのもハードルを下げる要因の一つだろう。 もちろん、性風俗の仕事に抵抗感を持ちながらも、何か事情があって従事せざるを得ない人も多くいる。性風俗業の女性からの法律相談を受けている前出の坂爪さんによれば、生活費や学費の支払い、借金の返済などの理由でやむをえずこの仕事を選んだ、という相談者の女性が多いという。相談者にはホスト狂いの女性も多く、「溜まったツケの返済に困っている」「返す気はあるのだが、お金がなくて返せない」という相談が毎週のように寄せられているという。 相談者の借金額は50万~300万円であることが多いが、なかには500万円を超えるツケを抱えている人もいる。返済に困った女性の中には、ホストから「海外で稼ぐという手段がある」と持ちかけられ、借金返済のために出稼ぎに行く例も見られる。 「ホストクラブで女性にお金を使わせ、借金を作らせて、風俗の仕事を紹介するという一連の流れができてしまっている。既に風俗の仕事をしている女性には、“自分の知っているお店のほうが、今よりもっと稼げるよ”と誘導する。女性を紹介したホストには、キックバックで紹介料などが入る仕組みで、こうしたサイクルによって一種の経済循環が生まれているとも言えます」(坂爪さん)
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/84c0d019c84d7d7a84b4f8e07472929c890d91d8?page=3
みんなのコメント
- なんか落ちたよな日本
- 病気もらって 年取ったら相手されない。
- 何歳までやれるのかしらね?
- で、梅毒になると…
- 好きにしたらいい。少なくともおれには汚く見えるから、抱きたいとはおもえんがな
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