テレビ番組などの制作会社が加盟する全日本テレビ番組製作社連盟(ATP)は12日、一連の報道をめぐるフジテレビの状況を受けて、福浦与一理事長(IVSテレビ制作社長)らが取材に応じた。
ATPは12日付で、「テレビジョンの信頼回復に向けて」と題した声明を発表。「ATPの歩みを振り返れば、民放番組の制作現場から日本のコンテンツ産業を支える製作会社の多くのトップクリエイターを輩出できた事は誇りでもあります。私たちは放送局のイコールパートナーとして、テレビ業界の信頼回復に取り組む所存です。共に切磋琢磨できる環境のなかでこそ、良質なコンテンツ製作が可能だと確信しています」としている。
この声明では「制作現場から、あらゆる差別やハラスメントを撲滅する」という宣言も行っているが、荻原伸之理事(ジッピー・プロダクション代表取締役)は「もしかしたら他局でもこういう問題が起きたかもしれない。そういう時に、自分たちがきちんと襟を正してやっていかないといけないということを、会員社、テレビ番組に携わるクリエイターに対して周知していきたい」と意図を語った。
フジテレビは各局の中でいち早く、製作会社が100%著作権を持つことを認める契約を結んだ局だといい、福浦理事長は「我々としては大変感謝している部分でもあるので、尽力してフジテレビの体質改善のお手伝いをしていきたいと思います」と言及。
「楽しくなければテレビじゃない」というキャッチコピーを掲げた80年代から、バラエティを中心に躍進してきたフジテレビ。萩原理事は「個人的に、今回の事案と番組の内容や精神というのは、全く違うのではないかと思うので、そこは切り離して考えたいと思います。企業風土やガバナンスの問題が指摘されていますが、それを改革することによって、“フジテレビらしさ”がなくなってしまうというのは、僕は避けてほしい。お互いに良いものを作っていこうという気持ちは一緒なので、そこだけは履き違えないようにしていきたいと思います」とし、これまでのフジテレビとの仕事について、「現場は非常に楽しくやっているので、“フジテレビは嫌だ”という声は聞こえてこないです」と実態を語った。
一部では、タレントに頼りすぎる制作姿勢が今回の問題の根底にあるとする声もあるが、萩原理事は「そういう番組作りの現場はないと思っています」と強調。「クリエイターが汗をかいて、“この人が一番面白く見えるにはどうすればいいのか”、“この人にこういうボールを投げたら面白く打ち返してくるんじゃないか”ということの積み重ねによって番組ができていると思います」と力説した。
一方で今回の騒動を受け、福浦理事長は「出演者の方と長い付き合いになれば、仲がより深くなっていく中で、一定の距離をきちんと保って仕事をしていかなければいけないなと改めて感じました」と語っている。
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【めがてつさんの投稿】
引用元 https://news.mynavi.jp/article/20250212-3127659/
番組制作社連盟が「信頼回復へ尽力する」と発表したニュースを見て、改めて日本のテレビ業界の現状について考えさせられた。フジテレビをはじめとする民放各局は、近年、視聴者の信頼を失いつつあると言われているが、その背景には何があるのだろうか。萩原理事の「フジテレビらしさがなくなるのは避けてほしい」という発言も気になるところだ。そもそも「フジテレビらしさ」とは何なのか、そしてそれは本当に視聴者が求めているものなのだろうか。
フジテレビはかつて、独自のエンターテインメント路線で多くのヒット番組を生み出し、一世を風靡していた。バラエティ番組の面白さや、ドラマの話題性など、他局とは一線を画す存在感があった。しかし、近年では視聴率の低迷が続き、コンテンツの質も低下していると言われることが多い。テレビ離れが進む中で、視聴者が求めるものとフジテレビが提供するものとの間にズレが生じているのではないか。
一方で、フジテレビに限らず、日本のテレビ業界全体が同じような問題を抱えているのも事実だ。SNSの普及により、情報を得る手段が多様化し、もはやテレビだけが情報の発信源ではなくなった。さらに、ネットニュースやYouTubeなどの台頭により、若い世代はテレビよりもインターネットを主な情報源とする傾向が強まっている。こうした状況の中で、テレビ業界はどう信頼を回復し、視聴者を引きつけることができるのだろうか。
一つの大きな課題は「報道の公平性」だ。視聴者がテレビに不信感を抱く理由の一つに、偏向報道が挙げられる。特定の政治的立場に偏った報道が目立ち、公正な報道が求められているにもかかわらず、一部のメディアは特定の勢力を擁護するような報道を続けている。そのため、視聴者はテレビの報道を信用できなくなり、より中立的な情報を求めてインターネットに移行しているのではないか。
また、番組制作においても問題が多い。過去にはやらせ問題や、視聴率を稼ぐために過激な演出を取り入れるなど、視聴者を裏切るような事例がいくつもあった。こうした不祥事が続くことで、視聴者はますますテレビを信頼しなくなり、結果的に業界全体のイメージが悪化してしまった。
信頼回復には何が必要なのか。まず第一に、視聴者のニーズをしっかりと把握し、それに応える番組作りをすることが求められる。かつてフジテレビがヒット番組を連発していた時代は、視聴者の期待を超えるエンターテインメントを提供できていた。しかし、現在は視聴率の低迷を打開するために、安易に話題性のあるテーマに飛びついたり、ネットの流行に乗ろうとする姿勢が目立つ。視聴者はそんな浅はかな企画をすぐに見抜くため、結果的に「また同じような番組か」と飽きられてしまうのだ。
さらに、番組制作の現場環境も改善する必要がある。今回の発表では「現場は非常に楽しくやっている」というコメントがあったが、それが本当ならば、なぜここまでテレビの質が低下してしまったのか疑問だ。もし本当に楽しく番組作りができているなら、その結果が視聴者にも伝わるはずであり、視聴率の低迷も起こらないのではないか。もしかすると、制作側の自己満足に陥っているのではないかという懸念もある。
テレビ業界が本当に信頼を回復するためには、視聴者との対話が欠かせない。SNSを活用し、視聴者の意見を積極的に取り入れるなど、よりオープンな姿勢を持つことが必要だ。これまでのように、一方的に情報を発信するだけでは、時代の流れについていけない。視聴者の声を反映させながら、より良いコンテンツを作り上げていくことが求められる。
今後、フジテレビを含む日本のテレビ業界がどのように変わっていくのか、注目していきたい。単なる視聴率回復ではなく、本当の意味での信頼回復が実現できるのか。そのためには、従来のやり方を見直し、新たな視点で番組作りをしていく必要があるだろう。
執筆:編集部A