政府が、納税などの義務を怠った外国人の永住許可を取り消せるようにする法案を今国会に提出し、永住権を得た外国人から不安の声が上がっている。「常に強制送還の不安にさいなまれながら暮らすことになる」など危機感を募らせており、識者からは「共生社会に逆行する」との批判も出ている。(池尾伸一)
「パパも送り返されちゃうかもしれないの、と子供に聞かれて胸が苦しくなった」。3月19日、東京・永田町の参院議員会館内で開かれた記者会見で、英国出身の英語教師アダム・ブラウンさんが訴えた。2009年に来日し、日本女性と結婚して配偶者の在留資格を得た後、永住権も得た。だが、新制度に「常に家族崩壊の危険にさらされることになる」と懸念する。
◆在留カードのうっかり不携帯でも
在留期間や就労分野に制限がない永住者は、昨年6月末時点で約88万人。在留外国人の約27%を占める。永住許可を得るには原則、在留が10年以上、就労期間が5年以上に加え、納税を怠っていないなどの条件をクリアする必要がある。
現在でも1年を超す実刑を受けた場合、永住権を失うが、新たな制度では格段に厳しさが増す。法案によると「故意に税金や社会保障の支払いをしなかった」場合や、在留カードの不携帯など入管難民法違反の場合も対象になる。刑罰についても1年以下の懲役でも対象になり、執行猶予がついても除外されない。
駒井知会弁護士は「急病や失業で税や社会保障を払えなくなったケースでも、払う義務をあることを知っていれば法律的には『故意』とみなされる。うっかり在留カードを家に忘れることもありうる話で、相当厳しい法律になる」とみる。
◆命の危険につながるケースも
「うっかり」の結果の永住権剝奪が、命の危険につながる場合もあるとみられる。在日ミャンマー人でつくる労働組合委員長のミンスイさんは2004年に難民申請をしたが認められず、在留特別許可を経て11年前に永住権を得た。母国の軍事政権を非難するデモにも参加しているだけに「送還されたらどうなるか分からない」と言う。
永住者の在留資格の取り消し策は、政府が今国会で成立を目指す技能実習制度に代わる「育成就労」制度の導入や特定技能制度の職種拡大に伴い導入される。両制度を入り口に永住者が増えることが予想されるとし、自民党が永住権許可の「適正化」を求めたのだ。
そこには人手不足に対応する外国人労働者の受け入れを進めるものの、できるだけ永住はさせない、との自民党の思惑が浮かぶ。
岸田文雄首相は一連の制度改革で「日本を外国人から『選ばれる国』にする」という。だが、入管問題に詳しい指宿昭一弁護士は「苦労して永住権を得ても、いつもおびえて暮らさなければならないなら、日本はますます『選ばれない国』になる」と警告する。
永住権 在留期間の制限なく永住できる権利。原則10年以上日本に在留している人に許可される。日本人の配偶者や難民認定された人などは在留期間が短くても許可される。建設、外食などの分野で熟練した技能がある「特定技能2号」の資格で働く外国人も10年以上在留すれば永住権許可の対象になる。政府は、特定技能の職種を運転士や林業などにも拡大する方針。
引用元 https://www.sankei.com/article/20240422-IVY4QF644FIGTAIOSC3IQPI2HA/
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ルール守らないガイジンは出てけよ