産経新聞によると…
財務省のX(旧ツイッター)公式アカウントの投稿に対し、10月27日の衆院選以降、批判的なリプライ(返信)が殺到している。選挙前に比べて返信の数は15倍以上に増え、そのほとんどが「財務省解体」「ザイム真理教」など同省を批判・中傷する内容だ。背景には、国民民主党が打ち出した「103万円の壁」撤廃論に財務省が抵抗を示したことへの批判があると指摘されている。
あまりに過熱…玉木氏「冷静な議論を」
財務省のX投稿に対する返信の数は、データが入手可能な令和4年5月15日から今年10月27日の衆院選までの間、1つの投稿に対して平均65件だった。しかし衆院選後は平均1013件と15.6倍にまで増えた。
あまりの過熱ぶりに、11月14日には財務省出身の玉木雄一郎・国民民主党代表が、自身のXで「冷静かつ建設的な議論」が大切だと呼びかけたほどだ。
こうした事態について、国際大の山口真一准教授(社会情報学)は「衆院選で国民民主党が『103万円の壁』撤廃を前面に打ち出して躍進したが、財務省が抵抗を示した。そのことで、ネットユーザーは批判する敵が明確になった」と指摘する。
財務省のXアカウントでは昨年12月15日、新紙幣の図柄決定を伝える投稿に約2000件の返信があり、いわゆるバズった状態になった。しかし先月の衆院選後は、昨年末の新紙幣図柄決定に匹敵する反応が複数回起きている。
投稿2万件、92%がネガティブな内容
ヤフーのリアルタイム検索で、過去30日間に財務省のXアカウントに向けて行われた返信やメンション付き投稿(相手を指定した投稿)の数を調べたところ、10月27日の衆院選投開票日までは1日あたり100件前後で推移。しかし衆院選後に増え始め、11月14日には2390件にまで膨れ上がった。30日間の返信・メンション付き投稿の総数は約2万件にのぼった。
各中央省庁のXアカウントに対する投稿数を比較すると、財務省が圧倒的に多かった。
また、財務省に向けた投稿のうち、93%にあたる約1万8600件が反論や批判、誹謗中傷などネガティブな内容だった。中央省庁に対するネガティブな投稿の割合は総じて高く、平均は約80%、文部科学省にいたっては97%にのぼった。ユーザーがXを介して官公庁に不満をぶつけている実態が浮き彫りになった。
ハッシュタグ92個、「財務省解体」180件
11月16日午後7時からの24時間の間に、財務省アカウントに返信またはメンション付き投稿された783件の内容を分析すると、「財務省」の次に多く使用された言葉は「解体」だった。全体の34%にあたる270件に含まれ、うち180件では「財務省解体」として使われていた。財政規律に厳格な姿勢を揶揄する「ザイム真理教」は18回登場した。
783件のうち約4割は、複数回投稿したアカウントによるもので、中には24時間で50回以上投稿したアカウントもあった。また、「マラソンツイデモ」というフレーズを使い、他のユーザーを巻き込もうとする投稿もあった。
ハッシュタグは合計で92個使用されており、多くがネガティブな言葉を含むものだった。「#財務省解体」が最も多く、159件で使われており、関連する内容の投稿も10パターンあった。2番目に多かったのは、98件に付けられた「#消費税廃止が最高の経済対策」。ハッシュタグには、財務省の組織に対する不満に加え、税制への根強い不満も表れているようだ。
ネットの極論で「議論しづらくなる」
衆院選をはじめ今年注目された選挙を通じて、インターネットと政治の関係に変化が現れ始めた。7月7日の東京都知事選では、ネット上で人気を集めた石丸伸二氏が165万票を獲得して2位になる「石丸現象」が起きた。11月17日の兵庫県知事選では、ネットで多く取り上げられた斎藤元彦氏が、逆風を跳ねのけて再選を果たした。
山口准教授は「ネットの意見が、マジョリティーの意見を変える盛り上がりを持つようになった。直近の(これらの)選挙は、明確な転換点だ」と分析。一方で「わかりやすい対立は、ネットで拡散されやすいが、政策は中身が問われるもの。ネットの議論が過剰になったり、極論化したりすると、中身のある議論がしづらくなる」と警鐘を鳴らす。(データアナリスト 西山諒)
[全文は引用元へ…]
以下X(旧Twitter)より
【Japannewsnaviさんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20241123-BFKUOEEAKNECRMTYJQ7ZUH2IVY/
みんなのコメント
編集部Aの見解
財務省の公式X(旧ツイッター)アカウントに寄せられる批判的な投稿が急増しているというニュースは、現代の政治とSNSの関係性、そして国民の不満の行き場について考えさせられる出来事でした。選挙後に投稿が15倍以上に増え、しかもその93%がネガティブな内容だという事実は、SNSが一部のユーザーにとって強力な意見発信の場になっていることを示しています。
まず、この状況を引き起こした背景には、「103万円の壁」撤廃論に関する議論が大きく影響しているようです。国民民主党がこの政策を推進する中で、財務省がそれに抵抗しているとの見方が広まり、批判の矛先が同省に向けられました。特に「財務省解体」や「ザイム真理教」という言葉が頻出している点を見ると、単なる政策への不満だけでなく、財務省という組織そのものに対する強い反発があることが伺えます。
このような現象は、SNSが情報拡散の場としてだけでなく、批判や不満の「発散」の場にもなっていることを示しています。インターネットの匿名性や瞬時に広がる特性によって、ユーザーは容易に自分の意見を発信でき、同じ意見を持つ人々と連帯することが可能です。今回のような大規模な反発が生まれたのは、SNSが持つこうした特性が一因でしょう。
しかし、このような状況が健全な議論を阻害しているという側面も見逃せません。批判の多くは感情的であり、政策の内容そのものや問題の背景についての冷静な議論が置き去りにされている印象があります。例えば、「財務省解体」や「ザイム真理教」といったフレーズは耳目を引きやすいですが、それが具体的に何を意味するのかや、どのような解決策を望んでいるのかは明確にされていません。このような極論が拡散されることで、本来深く議論すべき政策の中身が表面的な対立に埋もれてしまう危険性があります。
また、SNSを通じた批判が過熱する中で、政府機関やその関係者に直接的な迷惑が及ぶケースも問題です。今回の財務省アカウントに対する投稿の中には、短期間で何十回も同様の内容を繰り返すアカウントもありました。これにより、本来情報発信や広報を行うべき場が、事実上、誹謗中傷の場と化してしまっている点は看過できません。さらに、政策を担当する職員やその家族への不当な攻撃につながる場合もあり、社会全体で慎重に対応すべき課題です。
一方で、このような反応が生まれる背景には、国民が抱える根深い不満や不信感があることも事実です。消費税増税や社会保障の負担増など、財務省が主導してきた政策が一部の人々にとって受け入れ難いものであった可能性があります。また、政策決定プロセスが不透明であるという認識が不信感を助長している側面も考えられます。これに対して、政府や財務省がどう対応していくかが問われています。
SNS上での反応が過熱する一方で、国民民主党の玉木雄一郎代表が呼びかけたように、「冷静かつ建設的な議論」が求められています。政策に対する批判や不満を表明することは重要ですが、それが単なる感情的な発散に終わるのではなく、具体的な改善策や代替案を模索する方向へつながるべきです。国民一人ひとりが情報を冷静に分析し、感情に流されずに自分の意見を発信する姿勢が必要だと感じます。
さらに、政府側も、こうした批判に対して一方的に拒絶するのではなく、国民との対話を重視するべきです。SNSを活用して政策の背景や意図をわかりやすく説明し、誤解を解消する努力を続けることが重要でしょう。情報の透明性を高め、国民が納得できる形で政策を進めることが、信頼回復の鍵になるはずです。
今回の財務省に対する批判の急増は、SNSと政治の関係が新たな段階に入ったことを象徴する出来事だと言えます。一方で、これが健全な議論や政策改善につながるようにするには、発信者と受信者の双方が責任を持つ必要があります。これからの社会では、インターネット上での議論が政治にどのような影響を及ぼすかを見極めながら、より良い議論の場を作り上げていくことが求められるでしょう。
執筆:編集部A
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