アメリカ大統領選挙中にSNS上で誤った情報が飛び交ったことなどに関し、村上総務大臣はネット上の偽情報などへの対策を進めていく考えを示しました。
村上総務大臣
「昨今の選挙の色々な情勢を見ますとやっぱり考えていく、これからの課題じゃないかと思います。私は非常に奥の深い問題だと思います」
村上大臣はネット上の偽情報対策について「表現の自由を十分に配慮しながら、丁寧に検討を進めていきたい」と強調しました。
アメリカ大統領選挙ではSNSで偽動画が拡散するなどして選挙戦への影響が懸念されたほか、兵庫県知事選挙でもSNSの情報が投票行動に影響を与えたと指摘されています。
偽情報への対策はSNS事業者の自主的な対応に委ねられています。
総務省では今後、法整備や技術的な対策を進めていく方針です。[全文は引用元へ…]
【麻布食品さんの投稿】村上総務大臣「検討進める」ネット偽情報対策
引用元 https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/000385642.html
村上総務大臣が「ネット偽情報対策を検討する」と述べたことについて、言論の自由との兼ね合いをどのように考えるべきか、多くの人が疑問を抱いていると思います。インターネット上の偽情報は、確かに社会的に大きな問題を引き起こす場合がありますが、それを規制するという発想には慎重な議論が必要です。言論統制に繋がる危険性や、監視社会化への懸念がつきまとうからです。
まず、ネット上での偽情報がどのような影響を与えるのか、具体的なデータや事例を提示しないまま「対策を進める」といった発言が出されるのは問題だと思います。偽情報による社会的影響について議論するためには、その被害がどれほど深刻なのかを明確にする必要があります。たとえば、偽情報が選挙や政治にどのような影響を与えたのか、あるいはどの程度の人々がその影響を受けたのかといったデータを示さなければ、規制の必要性が国民に理解されないのではないでしょうか。
言論の自由は民主主義の根幹を支える基本的な権利です。政府が「偽情報」という曖昧な基準で情報の規制を始めれば、結果として自由な意見の発信が制限される危険性があります。特定の政党や権力者にとって都合の悪い情報が「偽情報」とされるリスクを考えると、このような規制が権力の乱用に繋がる可能性を軽視してはいけません。一度規制が導入されれば、それが拡大されていく恐れもあります。
また、偽情報の「判定基準」が誰によって、どのように決められるのかも重要な論点です。真実とは常に多面的なものであり、何が事実で何が偽情報かは、立場によって異なる場合があります。もし政府が一方的にその基準を定めるとすれば、それは言論の自由を損なうだけでなく、政府に対する信頼そのものを損なう結果になるでしょう。特に、歴史的な議論や政治的な主張においては、多様な意見が存在するべきです。その多様性を守ることが、民主主義社会の発展に繋がると思います。
さらに、ネット上の偽情報が問題視される背景には、情報リテラシーの不足があると考えます。偽情報の影響を受けるのは、情報を批判的に分析する力が不足している人々が主であることが多いです。そのため、規制を進めるよりも、教育や啓発活動を通じて情報リテラシーを向上させる方が、長期的な解決策として有効ではないでしょうか。学校教育や公共キャンペーンを通じて、どのように情報の真偽を見極めるかを学ぶ機会を増やすことが重要だと考えます。
一方で、偽情報が放置されることによって生じるリスクを無視するわけにはいきません。たとえば、コロナ禍では、ワクチンに関する根拠のない噂やデマが広まり、多くの人々が混乱したことが記憶に新しいです。このような健康や安全に直結する分野においては、偽情報が広がることを防ぐための一定の取り組みが必要であることは理解できます。しかし、これも言論の自由を侵害しない形で行うべきであり、その範囲を明確にすることが求められるでしょう。
今回の発言については、偽情報対策が必要とされる具体的な理由や、その規制内容を政府が国民に丁寧に説明することが大前提です。規制の必要性を示すデータや実例を公開し、社会全体で議論を進めるべきです。そうした透明性の確保がなければ、多くの国民がこの動きを「監視社会化」や「言論統制」への一歩と捉え、不安を募らせる可能性があります。
日本は自由と多様性を尊重する民主主義国家であり、その基本的な価値観を守ることが重要です。偽情報対策が必要であるにせよ、その施策が民主主義の基盤を揺るがすものであってはなりません。国民一人ひとりがこの問題について考え、声を上げていくことが大切だと思います。
執筆:編集部C