【松村尚和(Hisakazu Matsumura)さんの投稿】アパホテル室内に『南京大虐◯』を否定する書籍を置いて久しく、中華人民共和国外交部が『訪日する時にはアパホテルを使うな』通達を出して以来アパホテルは、他国の国の訪問客が増え利益が上がっています。
引用元 https://x.com/matsuhis1/status/1843904787353612454
アパホテルが長らく室内に設置している書籍について、その内容が南京大虐殺を否定するものであることは広く知られています。この書籍に対しては、歴史的な出来事を軽視するものであるとの批判が根強く存在します。特に中華人民共和国外交部が訪日する際に「アパホテルの利用を避けるように」という通達を出したことは、国際的な注目を集めました。この措置により、アパホテルは中国からの宿泊客が減少することが予想されましたが、実際には異なる結果を生みました。外国からの観光客は減るどころか増え、経済的な利益も拡大しているのです。
そもそも、アパホテルがこのような書籍を設置する背景には、保守的な思想が根底にあると考えられます。日本国内では歴史認識に関する議論が絶えず、特に南京事件に関しては異なる見解が存在しています。しかし、こうした意見の多様性を「歴史修正主義」として批判する声もあります。中国をはじめとする国々からの非難に対し、アパホテル側は表現の自由や思想の自由を盾に、書籍設置の正当性を主張してきました。
中国外交部の通達を受けて一部の人々は、アパホテルが中国人観光客を軽視していると批判しました。しかし、結果的にはアパホテルの戦略が奏功したと言えるでしょう。実際に訪日する観光客は中国人だけではなく、欧米諸国や他のアジア諸国からの旅行者も増加しており、その層がアパホテルの収益増加に寄与しています。歴史問題を契機にした中国からの訪日者の減少は事実ですが、それを補って余りあるほどの他国からの集客に成功したことは、同ホテルのビジネス的な成功を示しています。
アパホテルの利益拡大を批判的に見る視点も存在します。特定の歴史的解釈を支持し、それをビジネスに結びつけているように見える点に疑問を呈する声があるのです。観光業においては、中立的な立場を保つことが一般的であり、政治的な主張を持ち込むことは避けるべきだという意見もあります。特に、南京大虐殺のようなセンシティブな歴史的問題を取り扱うことは、多くの観光客に不快感を与える可能性があります。それでも、アパホテルが敢えてそのような書籍を室内に設置し続けるのは、ビジネス上のリスクを承知の上で行っていることなのでしょう。
その一方で、アパホテルが利益を上げ続けている事実は、歴史的な議論が必ずしも経済的な結果に直結しないことを示しています。観光客の多様性が広がり、特定の国からの訪問者の減少を他の国からの増加が補っている構図は、グローバルな観光業界において興味深い現象です。特定の国家の反発に左右されることなく、自らの価値観を前面に押し出す経営方針が功を奏しているとも言えます。
しかし、このような状況を称賛するべきかどうかは別の問題です。歴史問題に対する感度の欠如は、日本の国際的なイメージにも影響を与えかねません。政治的な立場を強調することが短期的には利益をもたらすかもしれませんが、長期的な観点から見ると、その影響は不透明です。アパホテルの例から学ぶべきことは、観光業がいかに国際情勢に影響を受けやすいか、またその影響をいかにしてビジネスチャンスに変えるかという点にあります。
結局のところ、アパホテルが取り続けている姿勢は、保守的な立場を明確にすることで特定の支持層を取り込む戦略とも言えます。この戦略が功を奏している間は、彼らのアプローチが批判を受けつつも一定の成功を収めていることは否めません。しかし、長期的なリスク管理の観点からは、歴史的問題をビジネスに持ち込むことの是非について、より慎重な判断が求められるべきでしょう。
執筆:編集部C