【ワシントン=大内清】米下院は13日の本会議で、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での利用禁止を可能にする法案を賛成352、反対65の圧倒的多数で可決した。今後、上院で審議される。同アプリを巡っては、中国に個人情報が流出することなどへの懸念から超党派で「安全保障上の脅威」との認識が強まっており、11月の大統領選に向けた論点の一つにもなりそうだ。
法案は、中国共産党に関する下院特別委員会のギャラガー委員長(共和)らが超党派で提出した。ティックトックの親会社「北京字節跳動科技(バイトダンス)」は共産党の管理下にあるとし、同社に米国事業を切り離して非中国企業に売却することを要求。これに応じなければ、同アプリの米国内での配信を禁じるなどとしている。
12日、米ワシントンの連邦議会議事堂前で中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国での利用を禁止する法案に反対する人々(ロイター=共同)
続きを読むティックトックは、中国が利用者データを米国への諜報活動に利用することはできないと主張し、事業売却を否定している。
ティックトックは米国で若者に高い人気がある。利用者の「表現の自由」を侵害する懸念などから禁止には異論も根強く、上院での審議の行方は不透明だ。
11月の大統領選で再選を目指す民主党のバイデン大統領は、選挙活動にティックトックを活用する半面、上院を通過すれば「(成立に必要な)署名をする」と述べ、法案支持の姿勢を見せている。
これに対し共和党のトランプ前大統領は下院採決に先立つ11日、ティックトックを禁止すれば、米IT大手メタが運営する交流サイト「フェイスブック(FB)」を利することになるとして、法案に反対した。トランプ氏は在任中、対中包囲網強化の一環としてティックトック排除を目指していたが、立場を大幅に転換させた形だ。
トランプ氏は、落選した2020年大統領選でメタが「不正に加担した」などと主張し、同社最高経営責任者(CEO)のザッカーバーグ氏を敵視している。
選挙戦では、バイデン氏陣営がトランプ氏について、根拠のない不正主張に固執して対中安全保障を危険にさらそうとしている-などと主張する展開も予想される。
引用元 https://www.sankei.com/article/20240314-LBM4WBSFSJLWPBM4S6M3PVIARU/