外国にルーツを持つ子どもたちがアイデンティティーを確立するうえでは、親の母語を学ぶことが大事だとされています。一部の公立高校で母語を必修科目としている大阪府の取り組みを取材しました。
大阪府東大阪市の府立布施北高校。昨年12月、フィリピンにルーツを持つ3年生3人がフィリピン語(タガログ語)の授業を受けていた。本を音読し、間違えるとフィリピン出身の先生が正す。3人の間では普段はタガログ語で話をするが、本を読むのは古い表現などがあって難しいという。
続きを読む女子生徒のラモス・ジョセルさんは小学5年で来日した。家で母親とはタガログ語で話すが、弟らとは日本語だ。「タガログ語をだんだん忘れていってしまう」と言うと、中学2年で来日した男子生徒が「たまに何言ってるか分からない」とからかい、互いに笑った。
大阪府は2001年度から、一部の府立高校に日本語が十分できない生徒の入学枠を設け、現在8校ある。この枠で入った生徒は、日本語学習とともに、週2時限ほどの母語学習が必修となる。
大阪はもともと在日コリアンが多く、朝鮮半島の言葉や文化を学ぶ課外活動が盛んだった。差別や偏見を恐れる子たちの自尊心を高める狙いだ。
80年代以降は大阪でもアジアなどから新たに来日する家族が増えた。学校側は子どもたちが日本社会に早く溶け込めるよう、「家庭でもなるべく日本語を使って」と指導することもあった。
引用元 https://www.asahi.com/articles/ASS2W3PZSS2QULFA00Z.html