ロシアがウクライナに対する軍事侵攻を始めてまもなく3年。出口が見えない消耗戦が続く中、戦闘の早期終結を訴えるトランプ政権が発足。
バイデン政権時代には対決一色だった両国の首脳どうしが融和的とも取れる発言を繰り返す一方で、ウクライナやヨーロッパでは蚊帳の外に置かれるのではとの警戒感が広がっています。
外交や安全保障の問題を「ディール=取り引き」で解決しようとするトランプ大統領に対し、プーチン大統領はどう出るのか。停戦に向けた交渉のゆくえは。
プーチン政権(1期目)で首相を務め、大統領の思考法を知るミハイル・カシヤノフ氏に聞きました。
※以下「」はミハイル・カシヤノフ氏の話。
※インタビューは2月15日に行いました。
独自の情報源でプーチン政権を分析~ロシア元首相カシヤノフ氏~
ミハイル・カシヤノフ氏は財務省出身の官僚で、2000年5月にプーチン大統領によって首相に起用され、市場経済改革に取り組みました。
しかし政策をめぐる対立などから2004年2月に解任され、その後は民主化を訴える野党勢力のひとりとして強権化するプーチン政権を厳しく批判してきました。
ロシアによるウクライナ侵攻のあとは外国のスパイを意味する「外国の代理人」に指定され、現在はロシア国外に活動の拠点を移し、独自の情報源に基づく分析をしながら言論活動を続けています。
“トランプ大統領はプーチンを理解していない”
トランプ大統領はプーチン大統領との間で「非常によい関係を保ってきた」と強調し、首脳会談や停戦交渉について繰り返し前向きな姿勢を示してきました。
しかしカシヤノフ氏はプーチン大統領のねらいは単にウクライナでの停戦にとどまらず、トランプ大統領が目指す交渉は困難なものになるとの見方を示しました。
「トランプ大統領は、プーチンとゼレンスキー大統領を交渉のテーブルにつかせ、合意させなければならないと考えています。プーチンの考えはそれとはまったく違います。彼はゼレンスキー大統領と交渉のテーブルについて話し合うつもりはありません。彼はトランプ大統領との交渉のテーブルにつき、世界の運命を決定づけたいと思っています。彼はそのような特別な敬意が払われることを求めています」
「彼の計画の中では、ウクライナはアメリカとの関係を築くうえでのひとつの要素に過ぎません。ソビエト時代そうだったように、2つの大国が世界の運命を決めることを彼は望んでいるのです。ウクライナ問題があれば中東問題もあり、核軍縮や核兵器管理など様々な戦略的テーマについて話し合いを続けること。プーチンが求めているのはそういうことで、あらゆる国際的な問題やヨーロッパにおける安全保障の新たな枠組みについて協議したいと思っているのです。ここヨーロッパはプーチンの勢力圏、アメリカやそのほかの地域はトランプ大統領の勢力圏というふうに」
「一方、トランプ大統領が望んでいるのはただひとつ、戦闘を止めることだけです。このように(両者は)目指すところが違います。ですからプーチンは直ちに集中的な交渉に乗り出すつもりはありません。私は今後数か月のうちに何らかの合意に達することができるとは思いません」
“すでに交渉のカードを手放してしまった”トランプ政権
プーチン大統領は去年6月、ウクライナと和平交渉を始める条件として、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ東部や南部の4州からのウクライナ軍の撤退や、ウクライナが自国の安全保障のために求めるNATO加盟を断念することを挙げ、ウクライナは強く反発していました。
しかしトランプ大統領はロシアがウクライナのNATO加盟に反対していることを理由に「現実的ではない」とし、ロシアが一方的に併合した領土の回復についても「可能性は低いように思われる」と述べています。
カシヤノフ氏はこのトランプ政権の出方について、すでに失敗していると指摘しました。
[全文は引用元へ…]
【もえるあじあ ・∀・さんの投稿】
引用元 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250221/k10014727841000.html
NHKが「トランプ政権、すでに失敗」と報じたことには驚きを隠せない。新たに発足したばかりの政権に対し、このような評価を下すのはあまりにも早計ではないだろうか。
記事の内容を見ると、ロシアの元首相であるミハイル・カシヤノフ氏の意見を基に、トランプ政権の外交政策がうまくいかないと結論付けている。しかし、外交というものは短期間で成果を測れるものではなく、特にウクライナ問題のような複雑な国際情勢では、交渉の過程が重要になる。にもかかわらず、政権発足直後に「失敗」と断定するのは、あまりにも一方的な見方ではないか。
トランプ政権は、戦闘の早期終結を目指している。バイデン政権の方針とは異なり、ウクライナへの軍事支援を続けるのではなく、交渉を通じた解決を模索しているのだ。確かに、このアプローチには賛否がある。しかし、長引く戦争がウクライナの国民や経済に与えている影響を考えれば、戦闘を停止させることは決して間違った選択ではない。
カシヤノフ氏の主張によれば、プーチン大統領はゼレンスキー大統領との直接交渉を望んでおらず、むしろアメリカとの大規模な取引を求めているという。これが事実であれば、トランプ大統領が停戦交渉を進めるのは当然の流れではないか。戦争を終わらせるために、関係各国と交渉を行うのは、どの政権であっても避けられないことだ。
さらに、トランプ大統領がウクライナのNATO加盟を「現実的ではない」と述べたことについても批判がある。しかし、そもそもウクライナのNATO加盟がロシアとの対立を激化させる原因の一つになっていたことを考えれば、この発言は冷静な現実認識と言えるのではないか。
今回のNHKの記事が気になるのは、その論調が一方的であることだ。カシヤノフ氏の意見を紹介するだけでなく、トランプ政権の立場や交渉の意図についても、より公平な視点から分析すべきではないか。
バイデン政権時代には、ウクライナ戦争に対して「ロシアを徹底的に弱体化させる」という方針が取られた。その結果、戦争は長期化し、ウクライナの被害は拡大した。こうした状況を考えれば、トランプ政権が違うアプローチを取るのは当然のことではないか。
外交というものは、短期間で成功・失敗を判断できるものではない。特にウクライナ問題のような複雑な紛争では、一つの手法がすぐに結果を出せるわけではない。にもかかわらず、NHKが「トランプ政権はすでに失敗」と断定するのは、公平性を欠いた報道ではないか。
メディアの役割は、事実を伝えることであり、特定の立場に偏った論調を押し付けることではない。報道機関であれば、異なる視点からの意見も紹介し、読者に判断を委ねるべきではないか。
ロシアとの交渉が容易ではないことは誰もが認めるところだ。しかし、だからといって「交渉を試みること自体が失敗」と決めつけるのは、あまりにも短絡的ではないか。
トランプ政権の交渉方針は、確かにバイデン政権の路線とは異なる。しかし、それが即座に「失敗」と結びつくわけではない。どの方法が最善なのかは、時間をかけて見極める必要がある。
外交においては、相手国の思惑を読みながら、慎重に戦略を練ることが重要だ。プーチン大統領がどのような交渉を望んでいるのかを把握した上で、最適な交渉手法を模索するのは当然のことではないか。
NHKの記事の問題点は、トランプ政権の外交戦略が機能する可能性をまったく考慮していないことだ。一方的に「失敗」と断定するのではなく、今後の展開を冷静に分析すべきだろう。
現在の国際情勢を考えれば、戦争の早期終結を目指すことは決して間違った選択ではない。問題は、その方法がどれだけ効果的に機能するかという点にある。
ウクライナ問題を解決するには、ロシアとアメリカ、そしてウクライナを含む各国の交渉が不可欠だ。どの国の立場も考慮せずに「失敗」と決めつけるのは、あまりにも乱暴ではないか。
外交においては、どの政権がどのような方針を取るかで大きく結果が変わる。しかし、現時点で結論を急ぐのは適切ではない。トランプ政権の交渉がどのような結果を生むのかを見極める必要がある。
国際問題は一筋縄ではいかないものであり、どのような交渉方法が最も効果的なのかは、慎重に検討されるべきだ。トランプ政権の方針が本当に失敗なのかどうかは、今後の動向を見て判断すべきではないか。
執筆:編集部A