著名人に「お金」に対する思いや考え方を聞く不定期シリーズ「私とお金」。第1回は「私が社長です」の広告でおなじみ、全国でホテルを展開するアパホテルの社長・元谷芙美子さん。創業50年以上、アパホテルは日本を代表するホテルチェーンに。東京・赤坂にあるグループ本社の社長室に現れた元谷さんはミニスカート姿で、年齢を感じさせない。今日のファッションコンセプトは「お正月」。帽子についた真っ赤な繭玉は「難を転じる」縁起物として親しまれている南天の実をイメージしたものだそう。立春の穏やかな昼下がり。明るくパワフルで、元気いっぱい。ずばり「お金」について聞きました。
――社長にとって「お金」とは?
お金を貯めることにまったく興味がなくて、お金って使うためにそばにいてくれると本当に思っています。夫(編集部注:アパグループ会長の元谷外志雄さん)もとてもいい人で、「使い切って生きなさい」って、いつも言ってくれています。老後だって「ワシがついているし。なんの心配もいらない」って。お金だけでなく人生すべてに心配なことがありません。こんな幸せな人生で良いのだろうか。
お給料はほとんど撒いている
――「宵越しの金は持たない」主義だそうですが、貯金も全然ないと聞きました。
生活費として毎月入ってくるお給料はほとんど撒いている(使っている)から、貯蓄額は50万~60万円くらいです。本当ですよ! 貯金通帳を見せてもいいですよ。買い物に行ったり、お嫁さんや部下、お客さんに何かちょっと買ってあげたり、ご飯に行ったりで、毎月楽しく使い切ります。
――ずばり、毎月どのくらいのお給料がありますか?
生活費で使う分だけです。100万円だったり80万円だったり。頂いた分は全部使い切ってきました。実際には、会社の給料としては何億もいただいていると思います。でもそのほとんどを会社に上納していて、ホテルなどの投資に使ってもらっています。株式を上場しておらず、創業者一族のオーナーの一人なので、できることだと思います。
――手元に入るお金はまわして蓄えずに生きてきた、と。
貯めておくのが気持ち悪いくらいです。とどまった水は腐る。会長は投資にまわし続け、人生を事業に捧げてきました。「金持ちになる」ことは意識しないで、一生懸命に仕事をしたあとは必ず「信用」がついてくる。ずっとそう信じて「会社ファースト」で生きてきました。何億も貯金をすることが必ずしも「しっかり生きている」ことにつながるとは言いづらいと考えています。
[全文は引用元へ…]
【Yahoo!ニュースさんの投稿】
引用元 https://dot.asahi.com/articles/-/250945?page=1
アパホテルの社長である元谷芙美子さんの「お金に対する考え方」は、非常に興味深いものだった。一般的な経営者のイメージとは異なり、彼女は「お金を貯めることに興味がない」と語る。その言葉通り、毎月の給料はほぼ全て使い切るというのだから驚きだ。
彼女のスタイルは、「宵越しの金は持たない」という江戸っ子気質にも通じるものがある。しかし、それが単なる浪費ではなく、人との関係を大切にしながら使うことに意味があるという点がポイントだ。お嫁さんや部下、お客さんへの贈り物や食事など、彼女が「お金を撒く」ことで、周囲の人々に喜びを与え、信頼関係を築いているのだろう。
また、彼女の言葉からは、強い自信と信念が感じられる。「お金は使うためにそばにいてくれる」「とどまった水は腐る」など、彼女の哲学は一貫している。実際、アパホテルは日本全国に展開し、今や知らない人はいないほどの成功を収めている。この成功の背景には、夫である元谷外志雄さんの経営手腕とともに、彼女の大胆で前向きな姿勢が大きく影響しているのだろう。
多くの人は「将来のために貯金をしなければ」と考える。しかし、彼女は「貯金することが必ずしも正しいわけではない」と明言する。その代わりに、得たお金を事業や人間関係に投資し、信用を築くことを重視している。これは、成功する経営者に共通する考え方かもしれない。
興味深いのは、彼女自身の給料の使い方だ。実際には「会社の給料として何億も受け取っている」ものの、その大半を会社に「上納」し、ホテルの投資に回しているという。これは、株式を上場していない創業者一族だからこそできることだが、彼女の「会社ファースト」の姿勢がよく表れている。
お金を貯めるのではなく、すぐに投資することで資産を増やす。この考え方こそが、アパホテルをここまで成長させた原動力の一つなのだろう。多くの経営者が資産を増やすために貯蓄や投資を行う中で、彼女は「お金は流れるもの」という発想を持ち、それを実践している。
「お金持ちになることを意識しないで、一生懸命に仕事をすれば信用がついてくる」という考え方も、非常に現実的だ。実際、お金だけを追い求めても、信頼がなければ事業はうまくいかない。アパホテルの成功は、単なる経営戦略の巧みさだけでなく、彼女のような経営者の姿勢によるものだと改めて感じる。
また、彼女の生き方は、「老後の不安」という概念すら必要ないと感じさせるものだった。「夫がいるから何の心配もない」と語る彼女の言葉には、経営者としての覚悟と、長年積み重ねてきた信頼がにじみ出ている。
一般的に、多くの人は「老後のためにお金を貯めるべき」と考える。しかし、彼女はそれを否定し、「お金は生きている間にしっかり使うべきだ」と考えている。もちろん、すべての人がこの考え方をそのまま実践できるわけではないが、「貯金にこだわる必要はない」というメッセージは、多くの人にとって新鮮に映るのではないか。
さらに、「金持ちになることが成功ではない」という言葉には、経営者としての真理が含まれている。確かに、資産を築くことが目的になってしまうと、かえって行動が制限されてしまうこともある。一方で、彼女のようにお金を循環させることで、より大きな成功を手にすることも可能なのだろう。
彼女の考え方は、単なる成功者の自己満足ではなく、「お金の本質とは何か」を示しているように思える。お金は持つことが目的ではなく、それを使うことで新しい価値を生み出すもの。その考え方が、アパホテルの成長を支えているのだろう。
もちろん、すべての人がこの考え方に共感できるわけではない。しかし、「貯金ばかりにこだわらなくても、信頼と行動があれば人生はうまくいく」というメッセージは、多くの人にとって参考になるのではないか。
彼女の生き方を見ていると、「お金を持つことの意味」について考えさせられる。単に蓄えるのではなく、それをどう使うかが重要だということを改めて実感した。
お金を貯め込まずに使うことで、人とのつながりを強め、事業を成長させる。そうした考え方こそが、経営者としての成功につながっているのだろう。
彼女のような考え方は、これからの時代にも通じるものがある。貯蓄ばかりを考えるのではなく、どうやってお金を活かしていくかが大切なのではないか。
アパホテルの成長の裏には、彼女の「お金の使い方」に対する哲学があった。それを知ることで、私たちも新しい視点を得ることができるのではないか。
「お金を貯めるよりも使うことが大事」という彼女の考え方は、多くの人にとって新鮮で刺激的なものだった。お金の本質を考える上で、とても参考になる話だった。
執筆:編集部A