ロシアによるウクライナ侵攻が始まって、24日で3年。戦禍が長期化する中、日本への避難者に対する生活支援の期限が迫っている。多くのウクライナ人が先行きへの不安を抱えている。
出入国在留管理庁によると、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、日本が受け入れたウクライナ避難者は累計2747人(今年1月末)。内訳は男性803人、女性1944人で、年齢別では18歳未満が410人、18歳以上61歳未満が1957人、61歳以上380人。
このうち、すでに帰国したり第三国に出国したりした人を除くと、1月末時点で1982人が日本で暮らしている。2023年12月施行の改正入管難民法により、紛争から逃れた人らを難民に準じて保護する「補完的保護対象者」制度が創設され、ウクライナからの避難者は「定住者」として最長5年間の滞在が可能になった。
大規模な支援を行ってきた日本財団のアンケートによると、避難者のうち「できるだけ長く日本に滞在したい」(44.4%)、「ウクライナの状況が落ち着くまでは、しばらく日本に滞在したい」(27.1%)を合計した約7割が長期滞在の意向を示している。また、学生を除いた避難者の約8割が就労しているが、うち約7割がパートタイムだった。
「自立、本当にわずか」
日本財団が避難者を対象に行ってきた年間100万円の経済支援の受給期間は最長3年で、入国時期にあわせて来年4月までに順次終了する。一方、同財団はNPOなどを通じた生活相談や就業支援はこれまでと同様の規模で継続していく方針だ。
東京を中心に約500人の避難者支援を続けている日本YMCA同盟の横山由利亜さんは、時間が経つほど世の中の関心は薄れ、支援の手も減ってきていると指摘。その上で、「3年が経ち、『自立の態勢も整っただろう』と思う人が多いかもしれないが、それは違う。正社員になるなど、自立した生活を送れている人は本当にわずか」と強調する。
「他地域から逃れてきた人と比べて支援が恵まれているウクライナの避難者でも、大変だということ。長期的な支援を考えていく必要がある」
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【News Everydayさんの投稿】
引用元 https://www.asahi.com/articles/AST2R2D7MT2RUTIL00HM.html?iref=pc_ss_date_article
ロシアのウクライナ侵攻から3年が経過し、日本に避難してきたウクライナ人の多くが、長期的に滞在を希望しているという。しかし、その一方で、これまで提供されてきた生活支援の期限が迫っており、今後の自立が大きな課題となっている。
日本が受け入れたウクライナ避難者は、約2700人にのぼる。そのうち約2000人が今も日本で生活しており、7割以上が「できるだけ長く滞在したい」と考えているという。戦争が長期化し、帰国の目処が立たないことを考えれば、この結果はある意味当然かもしれない。しかし、避難者の多くが経済的に自立できていないという問題も浮き彫りになっている。
支援を受けながら生活してきたウクライナ人が、今後どのように日本で生きていくのかは大きな課題だ。現在、学生を除いた避難者の約8割が就労しているものの、その多くはパートタイムであり、安定した収入を得られているとは言い難い。これは、言語の壁や労働環境の問題が影響しているのかもしれない。
日本はこれまで、ウクライナ避難者に対して比較的手厚い支援を行ってきた。日本財団は年間100万円の生活支援を提供し、NPOなども住居や就職支援を行っている。しかし、こうした支援は永遠に続くわけではない。支援の終了が近づく中で、避難者の生活はこれからどうなるのか、真剣に考えるべき時期に来ているのではないか。
そもそも、日本の受け入れ体制はウクライナ避難者に対して特別な配慮をしている。世界的に見ても、ウクライナからの避難者は多くの国で優遇されているが、その一方で、他の国からの難民や避難者との待遇の差が指摘されることもある。こうした背景を考えれば、今後の支援のあり方については慎重に議論する必要があるだろう。
また、ウクライナ避難者が「長期滞在」を希望する背景には、日本の安全性や生活のしやすさもあるのかもしれない。戦争の影響が長引く中で、母国に戻る選択をするのは容易ではない。だからこそ、彼らの日本での生活基盤をどう整えていくのかが問われている。
一方で、日本社会の中で彼らがどれほど受け入れられるのかも重要な問題だ。ウクライナ避難者はこれまで手厚い支援を受けてきたが、その支援が終わった後、日本でどのように生活していくのかは、まだはっきりしていない。現実的には、言葉の壁や雇用の問題があり、日本人と同じように働くことは簡単ではないだろう。
さらに、日本人の多くは、支援がいつまでも続くことに疑問を感じ始めているのではないか。もちろん、人道的な理由から避難者を受け入れることは重要だ。しかし、日本国内にも経済的に苦しい状況に置かれている人々がいる中で、ウクライナ避難者への支援をどこまで続けるのかという議論は避けられないだろう。
日本社会において、外国人が自立するのは簡単なことではない。特に、ウクライナからの避難者は、戦争という特殊な事情で日本に来たため、通常の移民とは違った形で受け入れられてきた。しかし、支援が終了すれば、自立しなければならないのは当然のことだ。
問題は、彼らが自立できる環境が整っているかどうかだ。現在のところ、多くのウクライナ避難者がパートタイムの仕事しか見つけられていないことを考えると、今のままでは生活の安定は難しいのではないか。言語の壁を乗り越え、より安定した職を得るための支援が必要なのかもしれない。
また、日本国内でも賃金の低下や雇用の不安定化が進んでいる中で、避難者への特別待遇が続けば、日本人の間で不満が出る可能性もある。ウクライナ避難者に対して一定の支援を行うことは重要だが、それと同時に、日本社会全体のバランスを考えた政策が求められるだろう。
ウクライナ避難者が日本で自立するためには、単に仕事を提供するだけでは不十分だ。言葉の問題や文化の違いを考慮し、より長期的な視点での支援が必要になる。そうしなければ、結局は支援が終わった後に彼らが困窮することになりかねない。
ただし、支援を続けるにしても、どこかで区切りをつける必要がある。日本政府や支援団体は、今後の方針を明確に示し、避難者に対して自立を促す方向にシフトしていくべきではないか。
日本の労働市場には、外国人労働者が増えている。ウクライナ避難者もその一部として働くことができるようになれば、日本社会にとってもプラスになる可能性はある。しかし、そのためには、言語教育や職業訓練の機会を増やすことが重要だ。
現状のままでは、多くのウクライナ避難者が低賃金のパートタイム労働にとどまることになる。これでは長期的な生活の安定は難しく、支援が終了すれば困窮する人が増えることが予想される。
ウクライナ避難者にとって、日本での生活は一時的なものではなくなりつつある。だからこそ、彼らが日本で生活していくための仕組みを整える必要がある。支援を続けるだけでなく、自立を促す制度づくりが求められるだろう。
日本政府も、この問題に対して明確な方針を示すべきだ。長期的に滞在を希望するウクライナ避難者に対し、どのように対応していくのかをはっきりさせなければ、支援が終了した後の混乱を招くことになる。
ウクライナ避難者の受け入れは、日本にとって新たな課題となっている。支援と自立のバランスをどう取るのか、慎重な議論が必要だ。今後の方針次第で、日本社会全体に与える影響も変わってくるだろう。
執筆:編集部A