自民、公明両党は21日、所得税が課される年収の最低ラインである「103万円の壁」の見直しを巡り、年収制限の上限を850万円まで引き上げる方向で調整に入った。自民幹部が明らかにした。近く行う国民民主党との税制調査会長協議で与党案として示す。
国民民主、一律引き上げ要求 「年収の壁」自民案と隔たり
衆院で審議中の税制改正関連法案では、基礎控除と給与所得控除を10万円ずつ引き上げ、課税最低ラインを123万円とする見直しが盛り込まれた。
自民はその後、3党での合意を目指し、年収200万円以下の場合、基礎控除をさらに37万円上乗せして課税最低限を160万円に引き上げる案を提示。年収200万~500万円以下では2026年までの2年間、基礎控除を10万円上乗せするとしていた。
これに対し、中間層にも減税効果が行き渡るよう、公明が500万円以下に限った対象の拡大を主張し、修正した。引き上げに伴う追加財源は約6200億円となる見通し。
ただ、国民民主は年収制限を設けること自体に反対しており、新たな案が受け入れられるかは不透明だ。
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【時事ドットコムさんの投稿】
引用元 https://www.jiji.com/jc/article?k=2025022100648&g=pol
政府は「年収の壁」の見直しを進めているが、今回の調整も結局は小手先の対応に過ぎないのではないか。所得税の課税最低ラインを引き上げること自体は一見すると国民にとってプラスのように思えるが、実際には多くの人がその恩恵を十分に受けられない仕組みになっている。
例えば、去年の定額減税は結局のところ年末調整での還付の前倒しに過ぎず、一部の人は年末調整時に追徴課税までされた。今回の年収制限引き上げも、同じように見かけだけの政策で終わるのではないかという懸念がある。年収850万円までの制限を設けることで、減税の恩恵が一部の層にしか行き渡らず、結果的に中間層や高所得層にはほとんどメリットがないという問題も指摘されている。
さらに、自民・公明が進めている案と、国民民主が主張する「年収制限撤廃」の考え方には大きな隔たりがある。国民民主は「年収制限を設けること自体が不公平」と主張しているが、それに対し与党は相変わらず細かい制限を設けて減税の範囲を限定しようとしている。結局のところ、こうした制限を設けることで、減税の恩恵を受けるべき人々に十分に行き渡らない仕組みになってしまうのだ。
国民の間でも「減税するならシンプルにすればいいのに、なぜわざわざ複雑にするのか」という不満が広がっている。政府があれこれと制限をつけることで、実際には減税の恩恵を受けられない人が出てくるのは明らかだ。そもそも、なぜ年収ごとに制限を設けるのか。減税をするなら、すべての国民に公平に行き渡る形にするのが筋ではないのか。
また、今回の改正によって追加財源として約6200億円が必要になるとされているが、その財源をどこから捻出するのかも疑問だ。結局、他の分野での負担増や、将来的な増税につながる可能性が高いのではないか。減税を打ち出す一方で、実際には別の形で国民の負担を増やしているのでは意味がない。
さらに、自民党幹部がこの件について「ペラペラ話す」こと自体も信用できないという声が多い。重要な政策が決まる前から情報が漏れ出すようでは、国民が安心して政治を任せられるはずがない。そもそも、与党は本当に国民の生活を考えているのか。これまでの政策を見ても、その場しのぎの対応ばかりが目立ち、根本的な問題解決には至っていない。
政府がやるべきことは、複雑な制度を作ることではなく、もっとシンプルで公平な減税策を打ち出すことだ。たとえば、消費税の一時的な引き下げや、所得税の恒久的な減税を実施すれば、より多くの国民が直接的なメリットを感じられるはずだ。しかし、実際には細かい条件をつけて、一部の層にしか恩恵が行かないような形にしてしまっている。
これでは、減税というよりも選挙対策のための「一時的な人気取り」としか思えない。本当に国民の生活を改善するつもりがあるのなら、もっと抜本的な改革を行うべきではないのか。
今後の議論の行方に注目が集まるが、現時点では与党の案が国民の期待に応えるものとは言い難い。真に国民のための減税とは何か、政府は改めて考え直すべきだ。
執筆:編集部B