神奈川県で一番水道料金が高いと言われる町が揺れています。
町長は1年ほど前の選挙戦で水道料金の値下げを公約に掲げて当選しましたが、その後値上げすべきだという考えを表明し、話が違うと困惑する町民もいます。
おととし11月、神奈川県の真鶴町長選で初当選を果たした、前横須賀市議の小林伸行町長(49)。
「小林のぶゆきのすぐやる5大事業 1.水道代を値下げします!」
公約で真っ先に掲げていたのは、神奈川県一高いとされてきた「水道代の値下げ」です。
しかし、当選から1年余り経った今年には…。
小林町長 「値上げに踏み切らざるをえなくなった。いわば追い込まれたというのが正直なところ」
真鶴町は人口6500人余りの小さな町です。大きな河川がなく水資源に乏しいため、隣接する自治体から生活用水を購入しています。
小林町長 「(Q.『水道料金を下げる』が一番の公約ですよね?)見通しが甘かったと言われれば言い訳のしようがない。基本料金については、下げられるだろうと思って公約に掲げた」
町長は「水道料金の改定」を提案。公約にも掲げた基本料金は引き下げます。
小林町長 「水量を使わない単身の高齢者はむしろ値下げになるようにして。2割強の方、水量が少ない方は値下げです」
一方、使った水量に応じてかかる従量料金は引き上げます。全体の水道料金としておよそ2割値上げする方針です。
小林町長 「7割以上の方に値上げを強いることになります」
近隣の自治体と比べ、倍近く高い水道料金が引き上げられるとあって、住民からは戸惑いの声も上がっています。
[全文は引用元へ…]
【Yahoo!ニュースさんの投稿】
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/0342f5b19d4e2d2ba75889b918dbdbc7251e1e74
真鶴町の水道料金問題が波紋を呼んでいる。町長選で「水道代の値下げ」を公約に掲げて当選した小林伸行町長が、就任から1年あまりで「値上げに踏み切らざるを得ない」と表明したのだ。選挙時の公約と真逆の結果になったことに、町民からは「話が違う」と困惑する声が上がっている。
そもそも、真鶴町は水資源が乏しく、隣接する自治体から生活用水を購入している。そのため、もともと水道料金が高く、神奈川県内でもトップクラスの高さだった。それを踏まえて、町長選では「水道料金を下げる」と約束し、多くの町民がその公約を信じて投票した。しかし、ふたを開けてみると、基本料金は一部引き下げられるものの、従量料金が引き上げられ、結果的に7割以上の町民が負担増となる形に変更された。
町の財政状況が厳しいことは以前から分かっていたはずだ。老朽化した水道管の交換が必要で、漏水が多発している状況もあった。耐震性のある水道管への置き換え率が神奈川県平均では70%を超えているのに対し、真鶴町ではわずか2%しか進んでいないという現状を考えれば、インフラ整備が最優先課題であることは明白だった。それにもかかわらず、「値下げ」を公約として掲げたのは、あまりにも見通しが甘すぎたと言わざるを得ない。
町長は「見通しが甘かったと言われれば言い訳のしようがない」と認めているが、公約を掲げた以上、結果として町民を裏切ることになった責任は重い。政治家が公約を守れないならば、責任を取るべきではないのか。「じくじたる思い」と言うだけでは済まされない問題だ。
また、住民の負担が大きくなることへの配慮も足りていない。例えば、4人の子どもを育てる家庭では「電気代より水道代のほうが高い」と悲鳴を上げている。実際、電気代が約1万1000円なのに対し、水道代は1万4000円にのぼるという。この負担がさらに増えるとなれば、生活への影響は計り知れない。飲食店経営者も「水道代が20%上がると、繁忙期には2万円を超える可能性がある」と不安を口にしている。もはや、生活インフラとしての水道の役割を果たせるのかどうか、疑問すら湧いてくる状況だ。
さらに、問題なのは値上げの進め方だ。町長は当初、3月議会に料金改定案を提出するとしていたが、19日に突如として「議論が熟していない」として提出を延期した。こうした後手後手の対応が、町政への不信感を高めているのは間違いない。
町民の納得を得るには、まず情報をしっかり開示し、議論を尽くすことが不可欠だ。値上げの必要性があるならば、その理由を明確に示し、代替案を検討すべきだった。しかし、今回の対応は「最初に安易な公約を掲げ、結局実行できなかった」という形に終わってしまった。町民の信頼を取り戻すには、今後の町政運営において、より透明性を持った説明と実行力が求められるだろう。
一方で、今回の件を通じて、選挙時の公約のあり方についても考え直す必要がある。公約を守れないならば、それは単なる「選挙対策の口約束」にすぎない。政治家には、有権者に対して誠実であることが求められる。単に当選するために耳障りの良いことを言うのではなく、現実的な施策を提示し、その実行可能性を十分に検討する責任があるはずだ。
この問題をどう収束させるのか、町長の今後の対応が問われる。少なくとも、町民の信頼を失ったままでは、町政の安定は望めない。透明性を持った説明と具体的な改善策を示すことが求められる。
執筆:編集部B