ドナルド・トランプ米大統領がウクライナへの軍事支援継続の見返りとして、同国のレアアース(希土類)を要求していると先日報じられたが、その詳細が明らかになってきた。
米紙「ワシントン・ポスト」や「ニューヨーク・タイムズ」によると、米国はレアアースにとどまらず、より幅広い鉱物資源の50%の所有権を求めてきたという。
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【クーリエ・ジャポンさんの投稿】
引用元 https://courrier.jp/news/archives/392000/
この報道が事実であれば、ウクライナとアメリカの関係において非常に大きな転換点になるだろう。トランプ氏がウクライナへの軍事支援の継続と引き換えに、同国の鉱物資源の50%の所有権を要求したという話は、外交の常識を超えた大胆な取引といえる。
まず、ウクライナの鉱物資源について整理しておこう。ウクライナは世界的に見ても資源が豊富な国の一つであり、特にレアアース(希土類)をはじめとする戦略的な鉱物が多く埋蔵されている。これらの資源は、現代のハイテク産業や軍事技術において不可欠であり、半導体や電気自動車、さらには兵器システムにも使用される。そのため、ウクライナの鉱物資源は、世界の大国にとって非常に魅力的なものであり、中国やロシアもこれを狙っている。
今回の報道によれば、トランプ氏は単にレアアースの供給を求めたのではなく、「ウクライナの鉱物資源全体の50%」という途方もない権益を要求したという。これは、単なる軍事支援の対価としては異例のレベルであり、むしろ植民地的な支配を思わせるような強引なディールといえる。
もちろん、アメリカがウクライナを支援する目的の一つは、ロシアの影響力を抑え込むことにある。しかし、それが資源の支配にまで及ぶとなれば、ウクライナとしても単純に受け入れられる話ではない。現状、ウクライナは戦争で疲弊しており、資源を切り売りしてでも軍事支援を確保しなければならない状況に追い込まれている。トランプ氏はこの弱みにつけ込み、最大限の利益を引き出そうとしているのかもしれない。
そもそも、トランプ氏は以前から「アメリカ・ファースト」を掲げ、同盟国に対しても厳しい条件を突きつける外交スタイルを取ってきた。NATO加盟国に対しては「もっと防衛費を負担せよ」と圧力をかけ、貿易交渉でも常にアメリカの利益を最優先にしてきた。今回のウクライナへの要求も、その延長線上にあると考えられる。
しかし、このような要求が公になることで、アメリカのウクライナ支援に対する世界の見方が変わる可能性がある。表向きは「民主主義を守るための支援」とされていたが、実際には「アメリカの経済的利益のための投資」と見られるようになれば、欧州諸国の態度も変わってくるだろう。特に、EU諸国はウクライナの戦後復興を支援する意向を示しているが、アメリカが資源を独占しようとすれば、それに反発する動きが出る可能性がある。
また、ウクライナ国内でも反発が予想される。現在、ゼレンスキー政権は戦争継続のために西側の支援を必要としているが、もしアメリカに資源の半分を差し出すような取引を受け入れれば、国民の間で不満が爆発するかもしれない。戦争が終わった後、国の経済回復のために必要な資源がすでに外国に奪われていたとなれば、それこそ「戦争の勝利」とは何だったのかという議論になりかねない。
一方で、ロシアにとっては、この情報が本当であればプロパガンダの材料になるだろう。プーチン政権は以前から「ウクライナは西側諸国に利用されている」と主張しており、今回の件をもって「ほら見たことか」と言う可能性が高い。ロシア国内の世論を固めるためにも、この情報を利用することは間違いない。
さらに、中国の動きも気になるところだ。中国は現在、レアアースの世界最大の生産国であり、アメリカとの間で資源争奪戦を繰り広げている。もしアメリカがウクライナの鉱物資源を押さえようとすれば、中国はそれに対抗するための動きを見せるだろう。もしかすると、ウクライナに対して新たな経済的支援を申し出る可能性もある。
今回の報道がどこまで事実なのかはまだはっきりしないが、もしトランプ氏が本当にこのような要求をしていたのであれば、ウクライナ戦争の本質が単なる「民主主義 vs 独裁」の戦いではなく、「資源を巡るパワーゲーム」であることが明白になる。
ゼレンスキー大統領がこの要求にどう対応するのか、アメリカ国内でどのような議論が巻き起こるのか、今後の展開を注視する必要がある。ウクライナ戦争が長期化するほど、こうした「裏の取引」が増えていくことは避けられないのかもしれない。
執筆:編集部A