宗教上の理由から火葬を望まないイスラム教徒のために宮城県が土葬墓地の建設を計画し、波紋を広げている。県庁には県民らから問い合わせが約1200件寄せられ、多くは反対の声という。村井嘉浩知事は将来の人口減少や人手不足を外国人で補うためとして、「批判があってもやらなければならない」と譲らず、着地点は容易に見つかりそうにもない。
「住民の理解がなければ実現しない、非常にセンシティブな案件だ」
19日の県議会。自民党・県民会議の佐々木賢司氏はこう疑問を投げかけた。
村井氏は「現在行っている調査で、外国人だけでなく日本人にも土葬希望者がいると分かった」と説明。その一方で「市町村や地域住民の理解は重要だ。課題の整理や解決策を丁寧に検討して判断する」と述べた。
問題の発火点は、昨年12月23日の定例記者会見。村井氏は土葬墓地の計画について問われ、「街中に造るのは簡単にいかないので、適地を調べている」と計画を認めた。
村井氏はそのうえで、イスラム教徒を念頭に「多文化共生社会と言いながら(墓地に)目が行き届いていないのは、行政としてはいかがなものかと思う。批判があってもやらなければならない」と明言した。
建設計画に対し、県庁にはこれまでに約1200件の問い合わせが寄せられ、多くは反対や懸念の声という。
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【T.Mさんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20250220-6NLUF5QBOJOMXHQF3QVYTGR7NA/
宮城県の村井嘉浩知事が進めるイスラム教徒向けの土葬墓地計画が、県民の間で大きな議論を呼んでいる。宗教的な理由で火葬を望まない人々のために、県が土葬墓地の整備を検討しているというが、県庁にはこれまでに約1200件の問い合わせが寄せられ、多くは反対や懸念の声だという。村井知事は「批判があってもやらなければならない」と明言しており、この計画を推し進める意向を示しているが、一方で「市町村や地域住民の理解は重要」とも述べており、調整は容易ではない状況だ。
日本では古くから火葬が一般的であり、現在もほぼ100%に近い割合で火葬が行われている。これは、国土の狭さや公衆衛生の観点から火葬が合理的だとされてきたためだ。しかし、世界的に見れば土葬の文化を持つ国も多く、特にイスラム教では土葬が宗教的義務とされている。グローバル化が進み、日本に住む外国人が増えていく中で、こうした宗教的配慮が求められるのは理解できる。
しかし、地元住民の中には「日本の文化や風習にそぐわない」「環境面の問題が心配」といった不安を抱く人も少なくない。特に、宮城県は東日本大震災の被災地でもあり、自然災害が多い地域だ。地盤の問題や地下水の汚染などに対する懸念も強く、土葬墓地の建設がそれらにどのような影響を与えるのか、具体的な説明が求められている。また、将来的に墓地が拡大していく可能性も考慮すると、今後の土地利用の問題とも密接に関わってくるだろう。
一方で、多文化共生の観点から考えると、外国人住民が増えていく中で、彼らの宗教的慣習を尊重する必要があるという意見もある。村井知事は「多文化共生社会と言いながら、墓地に目が行き届いていないのは行政としていかがなものか」と述べており、外国人労働者の受け入れ拡大を見据えた対応の一環として、この計画を進めたい考えのようだ。しかし、多文化共生を進めるためには、地域住民の理解と協力が不可欠であり、十分な説明や議論が行われなければ、さらなる反発を招く可能性がある。
また、土葬墓地の建設が先例となり、今後他の地域でも同様の計画が進められる可能性もある。そうなった場合、日本各地で同じような議論が起こることが予想される。火葬が主流の日本で、土葬を認めることがどのような影響をもたらすのか、慎重に考える必要があるだろう。
さらに、環境面での影響についても懸念がある。日本は降水量が多く、地下水の利用も盛んであるため、土葬による地下水汚染のリスクが指摘されている。土葬の適切な管理がされなければ、衛生問題にも発展しかねない。こうした懸念に対し、行政がどのように対応するのか、具体的な方針が示されるべきだろう。
村井知事は「現在行っている調査で、外国人だけでなく日本人にも土葬を希望する人がいると分かった」と述べている。確かに、日本国内でも火葬が義務付けられているわけではなく、伝統的な埋葬方法として土葬を望む人が一定数いることは事実だ。しかし、それをどのような形で実現するのか、また地域住民の合意をどう得るのかが最大の課題となるだろう。
この問題は、単なる賛成・反対の二元論では解決できない。行政は、地域住民の不安や懸念を真摯に受け止め、十分な説明と対話を重ねながら、慎重に進める必要がある。感情的な対立を避け、合理的な議論を重ねることが求められるだろう。
執筆:japannewsnavi編集部B