石破茂首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領が初の首脳会談を2月 7日に行った。
(略)
最小限の税制改正にさえ消極的な政府の姿勢は理解不能
そもそも、2024年度の日本経済について、日本銀行の審議委員は2024年1月時点で1.2%の経済成長を想定していた。
実際には、2023年後半から個人消費の不調を背景に経済成長にブレーキがかかり、2024年度の経済成長率は0.5%に下方修正されている。2月17日に2024年10〜12月期のGDP統計が発表されたが、同期の個人消費はほぼ横ばいと停滞しており、今後、GDP予想はさらに下方修正される可能性がある。
「円安批判を忖度した日銀の利上げは間違っている」(2月3日配信)で述べたように、2024年7月の日銀による追加利上げを経て、経済成長の停滞が続いているのが実情である。
しかも、日銀は「人手不足の深刻化」という論理転換によって、成長が停滞する中で2回目の追加利上げを2025年1月に行った。この判断は極めて危ういと筆者は考えているが、日銀は追加利上げに前のめりな姿勢をまったく変えていないとみられる。2024年7月11日に最高値を更新してから日本株市場がやや下げ基調となっているのは、日銀の政策姿勢が根本的に変わったことを株式市場が警戒しているためである。
その後、2024年10月の「まさかの石破政権誕生」に日本株市場は再び失望した。石破首相らは「経済は重要」と口では言うが、停滞している個人消費をささえるために、「手取りを増やす」として躍進した国民民主党の政策を完全には受け入れないとみられる。
国民民主党の政策は、ブラケットクリープ(インフレによる物価上昇で、賃金上昇よりも所得税額がそれ以上の比率で上がり、実質所得が目減りする現象)対応の観点から生じる必要不可欠な税制の見直しにすぎず、これが実現しない事情を、筆者は理解できない。
邪推かもしれないが、税金に依存する官僚組織や既得権益のほうが、石破首相にとって重要なのかもしれない。トランプ政権は、政府効率化省(DOGE)を創設することで、肥大化しているという認識のもと、公的部門の役割を見直す対応を行っている。これと同時に減税政策の実現を目指しているわけだが、石破政権はトランプ政権の政策姿勢を見習う余地があるだろう。
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【東洋経済オンラインさんの投稿】
引用元 https://toyokeizai.net/articles/-/858036?utm_source=rss&utm_medium=http&utm_campaign=link_back
石破政権の経済政策に関する報道を目にし、日本経済の今後について改めて懸念を抱かざるを得ないと感じた。経済の停滞が続く中で、政府の対応が後手に回るようでは、国民の生活はますます厳しくなるだろう。特に、個人消費の低迷が続く現状に対して、具体的な対策が見えてこないことが問題だと感じる。
まず、日本銀行の成長予測の下方修正が示すように、日本経済は依然として低迷している。2024年初めには1.2%の成長率が見込まれていたものの、個人消費の伸び悩みが原因で0.5%に引き下げられた。さらに、2024年10月から12月期のGDP統計でも個人消費は横ばいとなっており、成長率がさらに低下する可能性が高い。この状況で政府がどのような経済政策を打ち出すのかが、日本の将来を左右することになるだろう。
しかし、石破政権の経済政策は曖昧で、具体性に欠けているように思える。特に、「地方創生」を掲げながらも、その具体的な施策が見えてこない。地方創生という言葉自体は耳障りがいいが、過去にも多くの政府がこのスローガンを掲げながら、実際には官僚や地方の既得権益に配慮したバラマキ政策に終わるケースが多かった。今回の石破政権の動きも、これまでの延長線上にあるのではないかという疑念を持たざるを得ない。
日本経済の成長には、個人消費の活性化が不可欠だ。しかし、石破政権は「手取りを増やす」として選挙で躍進した国民民主党の提案を完全には受け入れない姿勢を示している。これは、減税政策や税制改革に消極的であることを意味し、結果的に国民の負担が増える可能性がある。ブラケットクリープの問題は、日本において深刻な課題となっている。インフレによって物価が上昇しても、賃金の伸びがそれに追いつかず、税負担だけが増えるという現象が続いている。これに対応しないというのは、国民の実質所得をさらに目減りさせることにつながり、消費の低迷を加速させるだけだろう。
また、日銀の金融政策にも不安を感じる。2024年7月に追加利上げを実施し、さらに2025年1月にも2回目の利上げを行った。この判断は、成長が停滞している経済状況をさらに悪化させる可能性がある。一般的に、利上げはインフレを抑制するために行われるものだが、日本の場合はそもそもデフレから完全に脱却できていない。そのような状況での利上げは、企業の投資意欲を削ぎ、経済成長をさらに抑制する要因となるだろう。
さらに、日銀の利上げによって日本株市場にも影響が及んでいる。2024年7月に最高値を更新した後、日本株市場は下げ基調に転じている。これは、日銀の政策変更が市場にとって予想外だったことを示しており、投資家が警戒感を強めている証拠だ。市場が冷え込めば、企業の資金調達も難しくなり、経済のさらなる停滞を招くことになる。こうした状況の中で、政府が適切な対応を取らなければ、日本経済は長期的な低迷に陥る可能性が高い。
その一方で、アメリカのトランプ政権は政府効率化省(DOGE)を設立し、肥大化した公的部門の見直しを進めている。これに伴い、減税政策を実現しようとしている。石破政権も、このような政策を見習うべきではないだろうか。日本の官僚組織は税収に依存しすぎており、既得権益の維持に重点を置いた政策が目立つ。その結果、経済成長よりも税収確保が優先され、国民の生活が苦しくなっているのが現状だ。
本来であれば、政府は経済成長を促進し、国民の所得を増やすことで税収を確保すべきだ。しかし、石破政権はこの基本的な方針を軽視しているように思える。成長を阻害するような増税や、実質的な手取り減少を引き起こす政策が続けば、消費の低迷はますます深刻化し、日本経済の再生はますます遠のくことになる。
結局のところ、石破政権の経済政策は、国民よりも既得権益を守ることに重点が置かれているように感じられる。地方創生の名のもとに官僚や地方自治体に対する補助金がばら撒かれる一方で、国民の税負担は重くなり、消費の活性化は見込めない。このままでは、日本経済は悪夢のような停滞状態に陥る可能性が高い。
今後、日本が取るべき道は明白だ。まず、ブラケットクリープへの対応を含めた税制改革を進め、国民の手取りを増やすことで個人消費を活性化させることが必要だ。加えて、日銀の金融政策を見直し、過度な利上げによる経済の冷え込みを防ぐべきだ。そして、地方創生という名のもとに行われるバラマキ政策を見直し、真に経済成長を促進する政策へと舵を切ることが求められる。
石破政権が今後、どのような経済政策を打ち出すのか注目したいが、現状のままでは日本経済の先行きは厳しいものになるだろう。国民の生活を守るためにも、政府は既得権益を優先するのではなく、実際に経済を活性化させる政策を早急に実行すべきだと強く思う。
執筆:編集部A