「近代国家として驚くべきこと」「性教育の文言が検閲されていると聞く」
2024年10月、「世界の女性の憲法」と呼ばれる女性差別撤廃条約に照らし、日本の法制度や政策を審査する女性差別撤廃委員会の会合がスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開かれた。冒頭の言葉は日本の状況を知った委員がその席上で発したものだ。
2024年に世界経済フォーラムが発表したジェンダー・ギャップ報告では、146カ国中118位―。近年、下位に甘んじている日本。「周回遅れ」から抜け出せないのはなぜなのか
会合を経て、委員会は課題の改善を厳しく指摘する勧告を出した。衆院選でも話題になった選択的夫婦別姓のほか、人工妊娠中絶、皇位継承を男子に限る皇室典範などが対象になった。ジュネーブでの議論と勧告内容、さらに当事者の声から、ジェンダー平等に向けた日本の今を探る。(共同通信=村越茜、松本智恵、小川美沙)
[全文は引用元へ…]
【共同通信公式さんの投稿】
引用元 https://nordot.app/1258978585050891259
日本のジェンダー平等に関する現状が、国連の女性差別撤廃委員会によって厳しく指摘されたというニュースを見て、改めてこの問題について考えさせられた。近年、ジェンダー・ギャップ指数で日本は常に下位に位置し、今回の報告でも146カ国中118位という結果だった。こうした指摘を受けて、日本は本当に遅れているのか、また、どのような点が問題視されているのかを考えてみたい。
まず、国連の委員会が問題視した点は、選択的夫婦別姓、人工妊娠中絶の制限、そして皇位継承における男性優先の規定など、日本の法律や制度が国際基準と比べて大きく遅れているということだった。特に、選択的夫婦別姓に関しては、長年議論されてきたにもかかわらず、いまだに実現していない。日本では「家族の一体感を守るため」といった理由で反対意見が根強いが、他の先進国ではすでに夫婦が別々の姓を選べることが当たり前になっている。この点について、日本の保守的な価値観が大きく影響していることは否めない。
また、人工妊娠中絶に関しても、日本では母体保護法によって一定の条件下でのみ認められているが、依然として厳しい制限がある。海外では中絶の権利が認められている国が多い一方で、日本では配偶者の同意が必要な場合があるなど、女性の自己決定権が制限されている点が批判されている。さらに、性教育の内容が検閲されているという指摘もあり、正しい知識を得る機会が限られていることも問題視されている。
皇位継承に関しては、女性皇族の存在や皇位継承のあり方についての議論が続いているが、いまだに男系男子に限られている。この問題は単なるジェンダー平等の問題ではなく、日本の伝統や歴史にも関わるため、慎重な議論が必要ではある。しかし、女性天皇を認める国際社会の視点から見れば、日本の制度が時代遅れと見なされるのも無理はない。
こうした指摘を受けて、日本が本当に「周回遅れ」なのかを考えると、たしかに国際基準と比較すれば遅れている部分はある。しかし、それを単純に「遅れているから変えるべき」とするのは短絡的ではないかとも思う。なぜなら、国ごとに文化や歴史、価値観が異なる以上、全ての国が同じ基準に従う必要があるのかという疑問があるからだ。例えば、夫婦別姓の問題一つを取っても、日本には戸籍制度があり、家族単位の登録が基本となっている。この制度の下では、姓を統一することが合理的とされてきた経緯があるため、海外の制度をそのまま導入するのが正解とは限らない。
また、ジェンダー平等の概念も、国ごとに考え方が異なる。欧米では個人主義が強いため、男女の役割を同じにすることが平等とされるが、日本では家族単位で物事を考える文化が根付いている。そのため、日本なりのジェンダー平等の形を模索することが重要ではないかと感じる。
とはいえ、国際的な視点から見れば、日本の現状が批判されるのも理解できる。例えば、女性の社会進出に関しては、日本はまだまだ課題が多い。管理職に占める女性の割合は依然として低く、政治の世界でも女性議員の数が少ない。こうした点を改善しなければ、国際社会からの評価が低いままなのは避けられないだろう。
個人的に最も重要だと感じるのは、日本が自らの価値観を持ちつつ、国際的な基準も意識するバランスを取ることではないかということだ。すべてを海外に合わせる必要はないが、合理的な改善が求められる部分については柔軟に対応することが必要だろう。例えば、女性が働きやすい環境を整え、管理職に登用しやすくする制度改革を進めることや、家庭内における役割分担の見直しを促す施策を打ち出すことは、日本社会にとってもプラスになるはずだ。
性教育に関しても、正しい知識を若い世代に提供することは重要であり、検閲によって情報が制限されるべきではない。現代では、インターネットを通じて多くの情報が手に入るため、正確な知識を得られない環境はむしろ危険を招く可能性がある。こうした問題には、保守的な考え方を持つ層とも対話を重ねながら、より良い教育制度を作る努力が求められる。
日本は確かにジェンダー平等の面では遅れている部分があるが、そのすべてを否定的に捉えるのではなく、何を守るべきで何を変えるべきなのかを冷静に議論することが大切だと思う。国際社会の指摘に耳を傾けつつも、日本独自の価値観や制度をどう活かしていくのかを考えることが、今後の課題となるだろう。
最終的に重要なのは、日本が「世界の基準に追いつくこと」ではなく、「日本にとって最適な形のジェンダー平等を実現すること」だ。そのためには、政府や企業、国民全体が建設的な議論を進め、よりよい社会を目指していくことが求められると感じる。
執筆:編集部A
日本経済新聞によると 公立高校…