【松毬珈琲極東支店さんの投稿】
引用元 https://x.com/fen7121/status/1891454166129684793
「5G防護ネックレス」なるものをアリエクスプレスで購入したら、逆に放射線を発していたという話には、思わず驚かされる。もはや何を防護しているのかわからないどころか、むしろ健康を害するリスクがあるのではないか。
まず、「5G防護ネックレス」とは一体何なのか。5Gの電磁波は人体に影響を与えるという懸念が一部で広まったことから、それを防ぐためのグッズが市場に出回るようになった。中には、科学的根拠のない「電磁波カット」製品も多く、これらは本当に効果があるのか疑問視されていた。しかし、今回の件は「効果がない」どころではなく、「逆に危険」という衝撃的な展開を迎えている。
なぜ放射線が出ているのかという点を考えてみると、この手の製品には「トルマリン」「ゲルマニウム」「テラヘルツ鉱石」など、健康に良いとされる鉱石が含まれていることが多い。中には、微量の放射線を発する鉱石もあり、「マイナスイオンを放出する」などの理由で採用されることがある。しかし、放射線が人体に影響を与えるレベルだった場合、それはもう健康グッズどころではなく、単なる「有害物質」と言ってもいいだろう。
実際に、海外ではこの手のネックレスやブレスレットが放射性物質を含んでいたケースがあり、欧州では販売が禁止された例もある。2021年にはオランダの規制当局が、「量子ペンダント」と呼ばれる製品から放射線が検出され、使用を控えるよう警告を出したことがある。こうした例を見ると、今回の「5G防護ネックレス」も同様の問題を抱えている可能性が高い。
そもそも、5Gの電磁波が人体に悪影響を与えるという科学的な証拠は乏しい。WHO(世界保健機関)やICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)などの専門機関は、現在の5G技術が人体に危険を及ぼすレベルの放射線を発していないと結論付けている。にもかかわらず、ネット上では「5Gが危険」という情報が拡散し、それを恐れた人々が「防護ネックレス」のような製品を購入するのだから、何とも皮肉な話だ。
このような怪しい商品が簡単に手に入るのは、海外の通販サイトならではの問題でもある。アリエクスプレスのようなプラットフォームでは、品質管理が不十分なまま販売されている製品が多く、消費者自身が注意しなければならない状況にある。特に、健康に関わる製品については、安全性が確認されていないものを身につけるのは非常にリスクが高い。
今回のケースでは、「放射線が出ている」との報告があるが、具体的にどのレベルなのかが気になる。微量の放射線なら自然界にも存在するが、それを日常的に身につけることで累積的な影響がどうなるのかは不明だ。もし、ガイガーカウンターなどで測定し、基準値を超える放射線量が検出されたのであれば、それは間違いなく危険なレベルと言えるだろう。
また、この問題が単なる個別のケースなのか、それとも同じ製品が広く流通しているのかも気になる。仮に多くの人が同じような製品を購入し、知らず知らずのうちに被曝していたとしたら、これは大きな社会問題になる可能性もある。
こうした事態を防ぐためには、消費者自身が「安全な製品を見極める目」を持つことが重要だ。「健康に良い」「電磁波を防ぐ」「特別なエネルギーを発する」などの曖昧なフレーズには警戒し、科学的な根拠があるのかどうかを確認する習慣をつけるべきだろう。
また、通販サイト側も安全基準を厳しくする必要がある。特に、健康に関わる製品については、一定の検査をクリアしたものだけが販売されるような仕組みを作らなければ、今回のような問題は今後も繰り返されるだろう。
今回の「5G防護ネックレス」の件は、まさに「不安ビジネス」の象徴とも言える。科学的な根拠のない恐怖を煽り、それを防ぐと称する製品を販売する商法は、昔から存在する。今回のケースが特に悪質なのは、「防護」のはずが逆に「有害」だったことだ。
消費者は、何かを信じる前に、それが本当に理にかなっているのかをしっかり考える必要がある。「○○を防ぐ」と謳っている製品ほど、疑ってかかるべきだ。もし、その製品が何かを「防ぐ」どころか、「害を及ぼしている」としたら、本末転倒もいいところだ。
今回の件が話題になったことで、少しでも多くの人が「怪しい健康グッズ」に対して疑問を持つきっかけになればいいと思う。自分の健康を守るためには、正しい情報を得ることが何よりも大切だ。
執筆:編集部A