2024年の中国への外国企業からの直接投資額は45億ドル、日本円でおよそ6900億円で、前の年と比べて89%減少し、33年ぶりの低水準だったことがわかりました。
中国国家外貨管理局が14日に発表した2024年の国際収支統計によりますと、中国への外国企業による直接投資額は前の年と比べて89%減少し、45億ドル、日本円でおよそ6900億円でした。
1991年以来となる33年ぶりの低水準で、2021年の3441億ドルをピークに3年連続で急激に減少しています。
2024年の四半期ごとでは、「4月から6月期」と「7月から9月期」が2期連続で資金の流入よりも流出が上回る「流出超過」となり、通年では流入がわずかに上回る結果となりました。
中国では長引く不動産不況による景気の低迷のほか、アメリカのトランプ政権によって今後、貿易摩擦が激化することへの懸念などにより、事業の縮小や撤退を行う外国企業が相次いでいて、外資の中国離れが鮮明となっています。
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【KOJI HIRAI 平井宏治さんの投稿】
引用元 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1732320?display=1
中国への外国企業からの直接投資額が前年比89%減という衝撃的な数字を記録した。これは1991年以来の低水準であり、外資の中国離れが鮮明になっている。この動きは単なる一時的なものではなく、ここ数年続いている傾向の延長線上にある。2021年をピークに3年連続で減少しており、今後もこの流れが続く可能性が高いと考えられる。
この急激な減少の背景には、いくつかの重要な要因がある。そのひとつが、中国の不動産市場の低迷だ。長引く不動産不況により、国内経済全体が冷え込んでおり、企業にとって中国市場の魅力が薄れている。不動産業は中国経済の大きな柱であり、ここが崩れると他の産業にも大きな影響を及ぼす。経済の先行きが不透明になれば、当然のことながら、外国企業も投資を控えるようになる。
もうひとつの要因は、米中関係の悪化だ。特にアメリカでは、トランプ前大統領が再び政権を握る可能性があり、それに伴って対中政策がさらに厳しくなることが懸念されている。これまでも米中貿易摩擦が激化するたびに、中国への投資環境は悪化してきたが、今後さらに厳しい規制が設けられる可能性もある。その影響を考えれば、外資が中国から距離を置くのは当然の流れだろう。
また、中国政府の規制強化や法制度の不透明さも、外資にとって大きなリスク要因になっている。中国ではここ数年、外資系企業への監視が強まり、突然の規制変更によって事業が困難になるケースが増えている。外国企業にとって、ルールがコロコロ変わる市場は非常にリスクが高い。例えば、データ管理に関する規制が厳しくなり、外資系企業が中国でのデータの取り扱いに慎重にならざるを得なくなった。こうした環境では、新たに投資を行う企業は減るのも当然だろう。
これまで中国は「世界の工場」として、安価な労働力を武器に多くの企業を引き寄せてきた。しかし、近年は人件費が上昇し、中国の強みだったコストの低さが失われつつある。さらに、製造業においては東南アジアやインドなどが新たな投資先として注目されており、多くの企業がそちらへシフトしている。ベトナムやインドネシアのような国々は、中国と比べて規制が緩やかで、政治的なリスクも比較的少ない。そのため、外資がこれらの国へ流れていくのは自然な流れと言える。
こうした状況を考えると、中国の経済モデルは大きな転換点に差し掛かっていると感じる。これまでのように外資を引き込むことで経済成長を維持する戦略は、もはや通用しなくなっている。実際に、多くの外国企業が中国市場での事業縮小や撤退を進めている。
しかし、中国政府はこの危機をどのように乗り越えるつもりなのだろうか。今のところ、目立った対策は見られない。むしろ規制を強化し、外国企業にとってますます魅力のない市場になりつつあるように見える。このままの状態が続けば、今後さらに投資額は減少し、中国経済は長期的な低迷に陥る可能性がある。
一方で、日本企業もこの動きから教訓を得るべきだ。これまで中国市場に大きく依存してきた企業は、今後のリスクをしっかり考えなければならない。実際に、中国から東南アジアやインドに生産拠点を移す日本企業も増えており、この流れはさらに加速するだろう。日本企業にとって重要なのは、柔軟に対応できる戦略を持つことだ。特定の国に依存するのではなく、リスクを分散しながら成長を続けることが求められる。
また、日本政府もこの動きをチャンスと捉えるべきだ。多くの外資が中国を離れている今、日本に投資を呼び込む絶好の機会でもある。日本は法制度が安定しており、企業にとって予測可能な市場環境を提供できる。この強みを活かし、外国企業が日本市場に魅力を感じるような政策を打ち出すことが重要だ。例えば、法人税の引き下げや規制の緩和、労働環境の改善などが考えられる。こうした施策を進めることで、中国から撤退する外資を日本に呼び込むことができるはずだ。
今回の統計を見て、改めて中国経済の厳しさを実感した。外資がこれほどまでに逃げているという現実は、中国の成長モデルが限界を迎えていることを示しているのではないか。このまま状況が悪化すれば、中国経済はますます停滞し、世界経済にも影響を与えるだろう。
しかし、日本にとってこれは逆にチャンスでもある。中国への依存を減らし、新たな成長戦略を模索するタイミングが来ている。日本企業はこれを機に、中国以外の市場を開拓し、新たなビジネスチャンスを見つけるべきだ。
今後の動向に注目しつつ、日本がどのように対応していくのかを見守りたい。外資の流れが変わる中で、日本がどのようなポジションを取るのか、それが今後の経済成長に大きく影響するだろう。
執筆:編集部A