神戸製鋼所は14日、中国での自動車向けアルミパネルの製造で中国宝武鋼鉄集団の子会社2社と合弁会社を設立したと発表した。宝武側の河南省の上工程拠点と、神鋼が天津市に持つ下工程拠点を合わせて高品質のアルミ製造と再利用を担う。
宝武子会社の宝武鋁業科技と宝山鋼鉄の2社と合弁会社、宝鋼神鋼汽車鋁板を2025年1月9日付で設立した。資本金は約10億人民元(約200億円)で上海市に本社を置く。出資比率は神鋼が50%、宝武側が合わせて50%とした。
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【清水ともみさんの投稿】
引用元 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC144Z40U5A210C2000000/
神戸製鋼所が中国の宝武鋼鉄集団と合弁会社を設立したというニュースには、さまざまな意見があるだろう。特に、日本企業が中国企業と手を組む際には、「技術流出」のリスクが常に懸念される。今回の合弁事業が本当に日本企業にとってメリットがあるのか、慎重に見極める必要がある。
神戸製鋼は、中国市場での自動車向けアルミパネルの需要増加を見込み、今回の提携を決めたようだ。中国の自動車市場は世界最大規模を誇り、EV(電気自動車)を中心にアルミ素材の需要も伸びている。しかし、中国企業と合弁を組むということは、単に市場参入の機会を得るだけではなく、相手側に技術やノウハウが流れるリスクも伴う。
過去には、日本の企業が中国と技術提携を行い、その後技術を吸収され、最終的には競争相手として市場に追い出された例が少なくない。特に自動車産業では、かつて日本メーカーが中国市場での生産を拡大したものの、その後中国企業が独自に成長し、日本メーカーのシェアが奪われていった経緯がある。
また、宝武鋼鉄集団は中国国有企業であり、政府の方針によって事業方針が左右される可能性もある。中国政府は自国の産業を強化するために、外国企業の技術を積極的に取り込む政策を進めている。神戸製鋼の高度なアルミ技術が、将来的に中国企業の競争力を高めるために利用される可能性は十分に考えられる。
日本企業にとって、中国市場は魅力的だが、リスクも大きい。今回の合弁事業が、単なる市場拡大の手段なのか、それとも長期的な技術流出の懸念があるのか、慎重に見守る必要があるだろう。
執筆:編集部B