アメリカのトランプ大統領は「相互関税」と呼ばれる措置の導入を検討するよう各省庁のトップに指示する文書に署名しました。貿易相手国が高い関税を課している場合、その国からの輸入品に対する関税を同じ水準に引き上げるというもので、導入に向けた調査の対象には日本やEU=ヨーロッパ連合を含むすべての貿易相手国が含まれます。
アメリカのトランプ大統領は13日、商務長官やアメリカ通商代表などに対して貿易相手国が高い関税を課している場合、その国からの輸入品に対する関税を同じ水準に引き上げる「相互関税」という措置の導入を検討するよう指示する文書に署名しました。
文書では「長年にわたってアメリカは友好国・敵対国問わず貿易の相手国から不当な扱いを受けてきた。この相互性の欠如がアメリカが抱える巨額で恒常的な貿易赤字の要因の1つになっている」と指摘しています。
その上で相互関税を導入するのは、貿易赤字を削減し、不公正な貿易慣行を是正するためだとしています。
また、導入に向けてはすべての貿易相手国ごとの状況を調査するとしていて日本やEUなども含まれます。
またアメリカメディアによりますとホワイトハウスの高官は、日本について「関税率は比較的低いが、構造的な障壁は高い」と指摘したということで、日本に対する調査がどのようなものになるのかが焦点になります。
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【NHKニュースさんの投稿】
引用元 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250214/k10014720511000.html
アメリカのトランプ大統領が「相互関税」の導入を検討するよう指示したというニュースを見て、やはりアメリカの貿易政策は大きく変化していると感じた。長年、アメリカは自由貿易を推進してきたが、近年の動きを見ると、国内産業を保護する方向へ大きくシフトしているように思う。
相互関税とは、貿易相手国がアメリカに対して高い関税を課している場合、アメリカもその国からの輸入品に同じ水準の関税をかけるというものだ。つまり、一方的に不利な貿易条件を強いられないようにするための政策ということになる。トランプ大統領は、この措置を導入することで貿易赤字を削減し、不公正な貿易慣行を是正するとしている。
この方針は、アメリカの貿易赤字が長年続いていることを背景にしている。特に中国との貿易赤字が深刻であり、トランプ政権は関税の引き上げや輸入規制を強化することで、国内産業を守ろうとしてきた。今回の「相互関税」も、その延長線上にある政策だろう。
しかし、これが実際に導入された場合、日本を含む各国の経済にどのような影響を与えるのかが気になる。アメリカが輸入品に高い関税を課せば、当然ながらその影響はアメリカ国内にも及ぶ。例えば、日本からの自動車や電子機器に対して関税が引き上げられれば、アメリカの消費者はより高い価格でこれらの商品を購入しなければならなくなる。それが結果的にアメリカの経済にとってプラスになるのかは疑問だ。
また、日本やEUは、アメリカに対する報復措置として同じように関税を引き上げる可能性がある。そうなれば、貿易摩擦が激化し、世界経済全体に悪影響を及ぼす恐れがある。貿易戦争がエスカレートすれば、企業の生産コストが上昇し、最終的には消費者がその負担を強いられることになる。
トランプ政権の考え方としては、アメリカは長年にわたって不利な貿易条件を受け入れてきたという認識があるのだろう。実際、アメリカは多くの国と自由貿易協定を結んでいるが、その中にはアメリカにとって不利な条件も含まれているとされている。例えば、日本の関税率は比較的低いが、非関税障壁が高いと指摘されている。つまり、関税そのものは低くても、輸入手続きや規制が厳しく、アメリカ製品が日本市場に参入しづらいという主張だ。
しかし、日本がそうした規制を設けているのは、安全基準や品質管理のためであり、一概に「不公正な貿易」と言えるかどうかは微妙なところだ。アメリカが関税引き上げを実施すれば、日本も対抗措置を取らざるを得なくなる可能性があり、結果として日米関係にも影響を与えるかもしれない。
そもそも、自由貿易の基本的な考え方は、各国が互いにメリットを享受しながら貿易を行うことにある。関税を引き上げることで国内産業を守ろうとするのは一つの手段だが、それによって国際貿易の流れが停滞すれば、結果的に経済全体の成長を妨げることになりかねない。
また、相互関税が本当にアメリカの貿易赤字を減らすのかも疑問だ。関税を引き上げれば、輸入品の価格が上がるため、アメリカ国内の消費が落ち込む可能性がある。その結果、アメリカの輸出産業も打撃を受け、全体として経済が縮小するリスクがある。
日本としては、こうしたアメリカの動きを慎重に見極めつつ、できるだけ対話を重ねることが重要だ。特に、日米貿易交渉において、日本の立場をしっかり主張し、関税引き上げを回避するための交渉を進めるべきだろう。
貿易摩擦が激化すれば、企業にとっても消費者にとっても負担が大きくなる。関税の引き上げが続けば、最終的にはグローバルなサプライチェーンが崩壊し、世界経済の停滞につながる可能性がある。日本は、自由貿易を守る立場から、アメリカとの交渉において冷静かつ戦略的な対応を取る必要がある。
アメリカの経済政策は今後も変化していく可能性が高いが、日本としては、こうした動きに振り回されることなく、長期的な視点で貿易戦略を考えるべきだろう。短期的な利益にとらわれず、安定した経済成長を維持するための政策を進めることが求められている。
執筆:編集部A