[ワシントン 7日 ロイター] – ヘグセス米国防長官は7日の国防総省職員に対する訓示で、これまで米軍内で推進されてきた多様性を目指す取り組みを改めて強く非難した。
ヘグセス氏は「軍の歴史上、最も愚かなフレーズは『われわれの多様性こそ強さだ』であると思う」と語り、自身の任期中は誰でも公正に処遇するつもりだと付け加えた。
国防総省における多様性・公平性・包摂性(DEI)の推進について分断をもたらすと主張するヘグセス氏は、就任後すぐさまこれらの取り組みを廃止。「黒人歴史月間」など特定の人種や性別の権利を祝福する行事に関しても、戦友同士思いやる心を阻害し、作戦遂行を脅かすとして取りやめた。
ヘグセス氏は「われわれの強さは、経歴や成長環境、性別、人種にかかわらず、共通の目的にある」と強調した。
一方でヘグセス氏は、米軍のアフガニスタンにおける失敗やロシアのウクライナ侵攻、イスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃などによって、世界が認識する米国の強さが揺らぎ、国際情勢の不安定化リスクが増大しているとの見方を示した。
ヘグセス氏は「米国の強さが完全ではないとの認識に伴って混乱が起きている。だからわれわれは抑止力を再構築することを目指す」と述べた。
またヘグセス氏は、今週開催される北大西洋条約機構(NATO)国防相会合で他の加盟国に防衛費拡大と防衛産業基盤の強化を訴えると発言。2021年に米軍が混乱のうちにアフガン撤退に動いた経緯を検証し、説明する責任を果たしていくと約束した。
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【ロイターさんの投稿】
引用元 https://jp.reuters.com/world/security/YFCMIVQV6RLFJFHYCJ6GYCHFDQ-2025-02-10/?taid=67a9939b88e6430001f137a1&utm_campaign=trueAnthem:+New+Content+(Feed)&utm_medium=trueAnthem&utm_source=twitter
ヘグセス米国防長官が「多様性こそ強さ」という考えを否定し、米軍内の多様性推進の取り組みを撤廃すると明言したことは、大きな話題となっている。特に、彼が「このフレーズこそ軍の歴史上最も愚かな表現」とまで言い切ったのは、これまでの米軍の方針を根本から覆すものだ。彼の発言は単なるスローガンの批判にとどまらず、米軍が直面する現実的な問題を浮き彫りにしている。
そもそも軍隊とは、国の安全を守るための組織であり、個人の多様性を尊重する場ではない。軍が最優先するべきは、いかに効率的に戦力を維持し、敵に対して圧倒的な抑止力を持つかという点にある。それにもかかわらず、近年の米軍は「多様性・公平性・包摂性(DEI)」の名のもとに、戦闘能力とは関係のない要素を重視するようになっていた。
例えば、特定の人種や性別を優遇するような制度が導入されたり、「黒人歴史月間」などのイベントが軍内部で行われたりしていたが、ヘグセス長官はこれらが「戦友同士の結束を乱し、作戦遂行を阻害する」と指摘している。これは、まさに軍が本来の目的を見失い、政治的な意図によって運営される危険性を示しているのではないだろうか。
確かに、社会全体では多様性の尊重が重要かもしれない。しかし、軍隊という組織においては、それよりも団結や規律、共通の目標に向かって動くことが最優先されるべきだ。ヘグセス長官の発言は、その基本に立ち返るものであり、米軍の強さを取り戻すためには必要な方向転換だと考える。
近年、米軍の戦闘能力に疑問を抱く声が増えている。アフガニスタンからの撤退が混乱を招いたことや、ロシアのウクライナ侵攻、ハマスによるイスラエル奇襲といった国際的な出来事を見ると、米国の軍事的影響力が揺らいでいるのは明らかだ。こうした状況の中で、軍の内部が「多様性を重視する」方向にばかり進めば、ますます戦闘能力が低下し、国防に支障をきたす恐れがある。
ヘグセス長官が指摘するように、「米国の強さが完全ではないと認識されることが、国際的な混乱を引き起こす」のであれば、抑止力の再構築は急務だ。軍隊は戦うために存在し、その力が弱まれば、それを見た敵対国が攻勢に出るのは必然である。
また、彼が「経歴や成長環境、性別、人種にかかわらず、共通の目的こそが強さの源」と述べた点は、極めて本質的な考え方だ。国を守るために集まった兵士たちは、個人のバックグラウンドではなく、軍の任務を遂行する能力によって評価されるべきであり、それ以外の要素が戦力に影響を与えてはならない。
これまでの「多様性重視」路線は、むしろ不公平を生んでいたのではないか。例えば、人種や性別による優遇措置があることで、実力のある兵士が正当な評価を受けられなかったり、士気が低下したりする可能性がある。軍という組織においては、あくまで能力や実績が重視されるべきであり、出自やアイデンティティを過剰に考慮する必要はない。
さらに、ヘグセス長官が北大西洋条約機構(NATO)の国防相会合で防衛費の拡大や防衛産業の強化を求める姿勢を示したことは、米国が本気で軍事力を立て直す意思を持っていることを示している。近年の欧州やアジアの情勢を見れば、軍備増強は避けられない問題であり、特に米国は世界の安全保障において重要な役割を果たす国である。
こうした動きは、日本にとっても重要な意味を持つ。日本もまた、長年「多様性」「平等」「人権」といった言葉に縛られ、軍事力の強化を後回しにしてきた。しかし、世界の情勢が変わる中で、安全保障を真剣に考えなければならない時期に来ている。
ヘグセス長官の発言は、単なる米軍の内部改革にとどまらず、日本を含む西側諸国全体の軍事政策に影響を与える可能性がある。日本もまた、自国を守るためにどのような軍事体制を構築すべきか、冷静に議論するべきだろう。
この決断がどのような結果をもたらすかはまだ分からないが、少なくとも米軍が「多様性」ではなく「強さ」を重視する方向に舵を切ったことは、国家防衛の観点から見れば正しい判断と言える。軍隊の役割は、政治的なイデオロギーを反映することではなく、純粋に国防のために機能することにある。それを再認識させたヘグセス長官の方針は、今後の米軍のあり方を大きく変えることになるだろう。
執筆:編集部A