すべての国に対して25%。トランプ大統領が発表した次なる関税は鉄鋼とアルミニウムでした。日本には、どんな影響があるのでしょうか。
■鉄鋼・アルミに関税 日本へ影響は? また新たな関税を発表しました。 トランプ大統領 「我々は敵からも味方からもたたかれてきた。鉄鋼とアルミは外国ではなく、アメリカで製造されるべきだ」
発表されたのは「アメリカに輸入されるすべての鉄鋼製品とアルミ製品に関税25%」「例外はない」としています。 トランプ大統領 「誰も正確に理解できるだろう。例外や除外なしに25%だ。どこから来たかは関係ない。すべての国だ」 日本への影響はあるのでしょうか。 アメリカ鉄鋼協会の統計によりますと、アメリカは去年、世界から2885万トンの鉄鋼を輸入。日本製はそのなかで6番目に多い118万トンです。
先日の日米首脳会談では…。 トランプ大統領 「日本との貿易赤字は1000億ドルを超えているが、解消するつもりだ。非常に早く解消されるだろう」 トランプ大統領は日本との貿易赤字を解消すると発言しています。今回、日本も対象になりそうです。
トランプ大統領は新たな関税についても近く発表すると予告しました。貿易相手国がアメリカ製品にかけている関税をアメリカ側も同じようにかける「相互関税」です。 トランプ大統領 「相互的になるべき時だ。聞いたことがあるだろう、相互的だ。相手が関税をかけるなら、こちらもかける。もし相手が25%なら、こちらも25%。相手が10%なら、こちらも10%。相手が25%より高くするなら、こちらもだ」
■なぜ次々に関税?狙いは? キャノングローバル戦略研究所 峯村健司主任研究員 「トランプ大統領、1期目の時からぶれていないが、関税こそがアメリカの産業を守ると。それによってアメリカの産業を復活することでアメリカをもう1度、偉大にすると、メイク・アメリカ・グレート・アゲインを実現できると完全に信じている」
就任演説では、こんな宣言をしていました。 トランプ大統領 「よその国を豊かにするためにアメリカ国民に課税するのではなく、国民を豊かにするために外国に関税や税金を課す。すべての関税や税金、歳入を徴収するための『外国歳入庁』を設立する。外国からの莫大な金が国庫に入ることになる」 キャノングローバル戦略研究所 峯村健司主任研究員 「その後(外国歳入庁については)具体的なアクションとして出ていない。国内じゃなく、外国からも取るんだというメッセージを入れたかったんだと。パフォーマンスに近いと私は見ている」
そもそも関税を納めるのは輸出する側の外国企業ではなく、輸入業者。アメリカの企業です。 キャノングローバル戦略研究所 峯村健司主任研究員 「例えば(関税が)10%から25%上がったら、その分(輸入)業者の負担が増えます。なので結局、消費者とか問屋さんに薄く広げていく。結果としては、アメリカの消費者なりが負担することにつながる。(関税は)収入の柱にはならない。その分、支払いも増えるので、そこは必ずしもということ」
「関税で国を豊かに」というのは現実的なのでしょうか。
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【Yahoo!ニュースさんの投稿】
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/4506cb5f8e92b6f626dddfdf78c954db3a5b6023
トランプ大統領が発表した鉄鋼・アルミニウムへの関税措置が、日本にも大きな影響を及ぼす可能性がある。この関税は「すべての国を対象に例外なしで25%」という厳しいものだ。日本の鉄鋼業界にとっても無視できない問題であり、政府がどのように対応するのか注目されている。
トランプ大統領は、以前から「アメリカ第一主義」を掲げ、関税政策によって国内産業を守る方針を明確にしていた。今回の決定もその延長線上にある。発表の中で「鉄鋼とアルミは外国ではなく、アメリカで製造されるべきだ」と述べており、国内産業の保護を最優先に考えていることがわかる。
日本の鉄鋼業界にとって、アメリカは重要な輸出先の一つだ。アメリカ鉄鋼協会の統計によると、昨年アメリカが輸入した鉄鋼製品のうち、日本製は6番目に多い118万トンにのぼる。この状況で25%もの関税がかかれば、日本企業の輸出競争力は大幅に低下し、アメリカ向けの輸出が減少する可能性が高い。
この関税措置は、日本だけでなく世界各国にも影響を及ぼす。特に鉄鋼輸出が多いカナダやEU諸国も反発を強めており、今後、報復関税が導入される可能性もある。日本政府はこれまで関税の例外措置を求める姿勢を見せていたが、今回の発表で「例外はなし」と明言されたことで、交渉の余地がほとんどない状況となった。
今回の措置は、単に鉄鋼やアルミの関税にとどまらない。トランプ大統領は、新たな関税政策として「相互関税」の導入も検討していると発言している。これは、貿易相手国がアメリカ製品にかけている関税と同じ率の関税を、アメリカもかけるというものだ。「相手が25%ならこちらも25%、相手が10%ならこちらも10%」というシンプルなルールだが、これが実行されれば、世界の貿易環境は一変するだろう。
問題なのは、関税が必ずしもアメリカの経済にプラスになるとは限らないことだ。関税を支払うのは輸出する外国企業ではなく、輸入業者であり、最終的にはアメリカの消費者が負担することになる。関税によって国内産業を保護する狙いはあるものの、その影響で物価が上昇し、消費が冷え込む可能性もある。実際、キャノングローバル戦略研究所の専門家も「関税はアメリカの歳入の柱にはならず、むしろ消費者の負担が増えるだけ」と指摘している。
トランプ政権のこうした動きに対し、日本政府はどのように対応すべきかが問われている。日本はこれまで自由貿易を重視しており、一方的な関税引き上げに対しては慎重な立場を取ってきた。しかし、今回のように直接的な影響がある場合、日本も何らかの対抗策を講じる必要があるかもしれない。
例えば、日本側もアメリカ製品に対して関税をかけることで対抗するという選択肢が考えられる。実際、EUやカナダはすでにアメリカの関税措置に対して報復関税を検討しており、日本も同様の対応を取る可能性がある。また、日本政府がアメリカとの交渉を強化し、例外措置を求める努力を続けることも重要だろう。
さらに、トランプ政権の強硬な通商政策に対し、日本はEUや他の貿易相手国と連携を深める必要がある。現在、日本はTPP(環太平洋パートナーシップ協定)やEUとの経済連携協定を進めており、こうした枠組みを活用することで、アメリカに依存しない貿易戦略を構築することも求められる。
今回の関税措置は、日本経済にとって決して小さな問題ではない。鉄鋼やアルミは製造業の基盤となる重要な素材であり、その輸出が減少すれば、日本国内の関連企業や雇用にも影響が及ぶ可能性がある。政府は、単にアメリカの動向を見守るだけでなく、具体的な対応策を早急に検討する必要があるだろう。
トランプ政権の貿易政策は、短期的にはアメリカ国内の支持を得るかもしれないが、長期的に見れば、国際的な貿易環境を不安定にし、アメリカ自身の経済にも悪影響を与える可能性がある。日本としては、冷静かつ戦略的に対応し、国益を守るための行動を取ることが求められる。
執筆:編集部B