【ニューヨーク=小林泰裕】米実業家のイーロン・マスク氏が率いる投資家グループは10日、対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」を開発したオープンAIに対し、973億7500万ドル(約14・8兆円)で買収提案を行ったと発表した。「マスク氏こそがオープンAIの技術を保護し、発展させる最適な人物だ」と主張している。
発表によれば、マスク氏はオープンAIの経営を管理する非営利団体を買収し、経営権を握る方針だ。サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)がオープンAIの営利企業化を進めている点を批判し、「オープンAIを安全性重視の企業として再構築する」と主張している。
投資家グループにはマスク氏が率いるAI開発企業「xAI」も名を連ねており、買収後にオープンAIと合併させる構想もあるとみられる。買収金額をさらに引き上げることも検討しているとしている。
アルトマン氏は10日、X(旧ツイッター)で「(買収は)お断りだ。むしろ、あなたが望むならツイッターを97億4000万ドルで買収します」とマスク氏に反論した。
マスク氏とアルトマン氏は2015年に共同でオープンAIを設立したが、近年は対立を深めている。
マスク氏が18年にオープンAIの経営から離れた後、アルトマン氏はオープンAIの営利企業への転換を検討するなど営利追求の姿勢を強めている。
マスク氏は、人類のために安全なAIを開発するというオープンAIの理念に共感し、創業当初に数千万ドルを投資するなどの支援を行った。しかし、オープンAIが当初の理念から逸脱した経営を行って欺いたとして、アルトマン氏らを提訴して損害賠償などを求めている。
英紙フィナンシャル・タイムズなどによれば、オープンAIはその非営利団体に対する買収を受け付けておらず、マスク氏の提案の実現可能性は高くないという。むしろ、オープンAIの営利企業への転換を妨害することが目的だとの見方を紹介している。
オープンAIはソフトバンクグループ(SBG)などと共同で1月、データセンターなど米国内のAIインフラ整備に4年で5000億ドル(約76兆円)を投資すると発表した。この計画はトランプ米大統領も支援を表明しているが、トランプ氏の側近であるマスク氏はこの計画の実現可能性に異議を唱えている。
また、オープンAIは今月3日、SBGと折半出資で合弁企業を設立し、日本企業に最先端AIを提供する「クリスタル・インテリジェンス」事業を開始すると発表した。
マスク氏による買収が実現した場合、SBGとの米国での巨額投資や、日本でのサービス展開の計画が変更を迫られる可能性がある。
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【たくママ3号*ˊᵕˋ*さんの投稿】
引用元 https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250211-OYT1T50031/
イーロン・マスク氏がオープンAIに対して約14.8兆円もの巨額買収提案を行ったことが話題になっている。これに対し、オープンAIのサム・アルトマンCEOは「お断りだ。むしろあなたが望むならツイッターを買収します」と、挑発的な反応を見せた。両者の対立は以前から知られていたが、ここまで直接的な対決姿勢を示すとは予想外だった。
オープンAIは当初、非営利団体として設立され、AIの安全性を追求することを目的としていた。しかし、マスク氏が経営から離れた後、アルトマン氏は営利化を進め、多額の資金を集めながらAI開発を拡大してきた。この方針転換に対し、マスク氏は「オープンAIが理念を逸脱した」と批判し、訴訟まで起こしている。
一方、オープンAIはソフトバンクグループと共同で、日本企業向けのAIサービス「クリスタル・インテリジェンス」を立ち上げたばかりだ。また、米国では4年で5000億ドル(約76兆円)を投資し、AIインフラを整備する計画を発表している。これはバイデン政権の支援を受けており、AI業界の主導権をめぐる米国政府の意向も絡んでいる。
このタイミングでの買収提案は、単にオープンAIを取り戻すことだけが目的ではなく、アルトマン氏の進める事業戦略を妨害する意図もあると考えられる。マスク氏はすでに自身のAI開発企業「xAI」を立ち上げており、オープンAIと競争する立場にある。買収が成功すれば、xAIとオープンAIを統合し、AI業界の覇権を握ることも視野に入れているのかもしれない。
ただし、現実的に見れば、マスク氏の買収提案が成立する可能性は低い。オープンAIの非営利団体が買収を受け入れる可能性は低く、主要な投資家もアルトマン氏のもとでの成長を支持している。さらに、米政府や既存の投資家が反対すれば、マスク氏の計画は頓挫するだろう。
マスク氏の狙いは、オープンAIの経営方針を批判することで、AI開発の方向性に影響を与えることかもしれない。AIの安全性を重視する立場を強調することで、アルトマン氏が推し進める商業化路線に対する牽制となる。
この対立がAI業界全体に与える影響は計り知れない。オープンAIの事業が不安定になれば、AI市場全体にも影響を与えかねない。一方で、競争が激化することで、新たな技術革新が促進される可能性もある。
AIの未来を左右するこの争いがどのように決着するのか、今後の動向に注目したい。
執筆:編集部A
BBCによると[翻訳] 日本の…