政府は6日、外国人労働者の受け入れに関する制度見直しを議論する有識者会議の初会合を法務省で開いた。「特定技能」制度について、人手不足が深刻な介護、外食、工業製品製造の3分野で外国人の就労を緩和などする案を提示。今春にも入管難民法に基づく分野別運用方針を改正する。
特定技能、外食業の就労緩和 宿泊施設で接客・調理可に―人手不足踏まえ・政府調整
特定技能は、一定の技能を有することを条件に中長期的な在留を認める。国内の労働力不足を受け、外国人材確保を目的に導入された。
介護分野のうち訪問看護サービスは外国人就労の対象外となっているが、研修など一定の条件を満たした場合に従事を認める。外食分野は、風営法の許可を受けた事業者では現在就労できないが、ホテル・旅館に限定して受け入れる。
政府は工業製品製造分野で、受け入れる人材数を増やす方針を決めている。受け入れ体制を強化するため、事業者などによる民間団体を新設し、人材の技能評価試験などの業務を担う。
政府は、「技能実習」に代わる外国人労働者の受け入れ制度「育成就労」の運用ルールを検討する有識者懇談会も開催。示された素案では、賃金が高い都市部に外国人材が集中することを防ぐため、地方企業の受け入れ人数枠を大都市圏より拡大する案が盛り込まれた。
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【時事ドットコムさんの投稿】
引用元 https://www.jiji.com/jc/article?k=2025020600917&g=pol
外国人労働者の受け入れ拡大がまた進められようとしている。今回は介護分野の訪問介護や外食産業、工業製品製造の分野で外国人の就労がさらに緩和されるという。政府は「人手不足の解消」を理由にしているが、これは根本的な解決策になっているのだろうか。
介護業界の問題は、単なる人手不足ではなく、待遇の悪さにある。低賃金、過酷な労働環境、将来性の見えない状況が、国内の労働者を遠ざけている。そこに外国人労働者を投入すれば、賃金がさらに抑えられ、結果的に日本人の介護士はますます減少するだけではないか。本来であれば、介護報酬を上げ、働く人々が安心して生活できる環境を整えるべきだが、政府はその方向には向かわず、安価な労働力を海外から調達しようとしている。
特に訪問介護は、利用者の自宅でサービスを提供するため、言語能力や文化的な理解が重要だ。介護の現場では、利用者が話す言葉を正確に理解し、細かなニュアンスを汲み取ることが求められる。外国人労働者がどこまで対応できるのか、大きな疑問が残る。人材を確保すること自体は必要かもしれないが、それが本当に質の向上につながるのか、慎重に考えるべきだ。
一方で、外食分野や工業製品製造分野でも外国人労働者の受け入れが拡大される。外食業界では、ホテル・旅館の飲食部門に限り、外国人が就労できるようになるという。しかし、すでに多くの飲食店で外国人スタッフが増えており、コミュニケーションの問題や接客レベルの低下が指摘されている。特に観光業では、日本ならではの細やかな接客が求められるが、これが維持できるのか不安視される。
工業製品製造の分野では、受け入れ体制を強化するための民間団体を新設し、人材の技能評価試験を担うという。つまり、日本人の技能者を育成するよりも、外国人を導入しやすくする制度を整えるということだ。これは国内の技術者不足をさらに深刻化させる恐れがある。長期的に見れば、日本人の職人が減り、技術力の低下につながる可能性が高い。
さらに、今回の制度改正では、都市部への外国人労働者の集中を防ぐため、地方企業の受け入れ枠を広げる方針も示された。地方の人手不足は確かに深刻かもしれないが、それを外国人労働者で補うことが本当に持続可能な解決策なのか疑問だ。そもそも、地方の雇用環境を改善し、日本人が働きたいと思えるような職場を作ることが優先されるべきではないか。
政府の方針を見ていると、「人手不足だから外国人労働者を増やせばいい」という短絡的な発想ばかりが目立つ。だが、問題の本質は「なぜ人手が集まらないのか」という点にある。その理由を無視して、ただ外国人労働者を増やせば、一時的に穴埋めはできても、根本的な解決にはならない。
日本は本当にこの方向に進んでいいのだろうか。介護、外食、製造業と、次々に外国人労働者を増やす施策が打ち出されているが、その影響を十分に検証したのか疑問が残る。安易な労働力の輸入に頼るのではなく、まずは日本国内の労働環境の改善に力を入れるべきだ。政府は外国人労働者を受け入れる前に、日本人が働きやすい環境を作ることを最優先に考えるべきではないだろうか。
執筆:編集部B