広告収入の減少で業績が悪化しているフジテレビに対し、番組の制作会社で作る団体が番組の休止や変更に伴う補償などを求めていることについて、フジテレビの清水賢治社長は、制作会社の経営に影響が及ばないよう最大限、配慮したいという考えを示しました。
フジテレビの親会社のフジ・メディア・ホールディングスは、先月30日、ことし3月期の通期決算についてコマーシャル見合わせの影響で最終的な利益が前の期より73%減って98億円になるという見通しを発表しています。
コマーシャル収入の落ち込みが続けば、フジテレビ単体の通期決算が最終赤字となる可能性もあるという見方も出ていて、制作会社など取引先の企業が懸念を強めています。
このうち東京や大阪などのテレビ番組の制作会社、およそ120社が加盟するATP=「全日本テレビ番組製作社連盟」は、先月30日付けで、レギュラー番組の通常予算や本数の確保に加えて、番組の休止や変更に伴う補償を求めるなどとする要望書を提出しました。
これについてフジテレビの清水社長は7日朝、記者団に対し「ATPの加盟社だけでなく、フジテレビの制作に携わる制作会社などにはなるべく影響が及ばないようにということを一番の方針としている。最大限の配慮はできるようにということでやっている」と述べ、制作会社の経営に影響が及ばないよう最大限、配慮したいという考えを示しました。
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【NHKニュースさんの投稿】
引用元 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250207/k10014715621000.html
フジテレビの番組休止や変更に伴う補償問題は、テレビ業界の構造的な課題を浮き彫りにしている。テレビ局の業績が悪化すれば、その影響を直接受けるのは制作会社であり、番組制作に携わるスタッフたちだ。しかし、現在の日本のテレビ業界では、制作会社はテレビ局の下請けという立場に置かれ、番組の休止や変更があっても補償を受けることができないケースが多い。今回、ATP(全日本テレビ番組製作社連盟)がフジテレビに対して補償を求める要望書を提出したことは、制作会社の立場を改善するための一歩となるかもしれない。
フジテレビの業績悪化の主な要因として、広告収入の減少が挙げられる。フジ・メディア・ホールディングスは、2024年3月期の通期決算で最終利益が前年比73%減の98億円になると発表しており、広告収入の落ち込みが続けばフジテレビ単体での最終赤字も現実味を帯びてくる。かつてのフジテレビは「楽しくなければテレビじゃない」と言われ、視聴率でも業界トップを走り続けていた。しかし、現在は視聴者のテレビ離れが進み、インターネットや動画配信サービスの台頭によって、テレビ業界全体が厳しい状況に置かれている。特に、スポンサー企業がテレビCMにかける予算を削減し、インターネット広告へとシフトしていることが、テレビ局の経営を圧迫している。
こうした状況の中で、制作会社がフジテレビに補償を求めるのは当然のことだ。番組の制作には多額の費用がかかり、スタッフの人件費や撮影・編集費用などが発生する。しかし、番組が急に休止や変更になると、制作会社はこれらのコストを回収することができなくなる。特に、制作会社はテレビ局と契約を結んでいるものの、その立場は弱く、番組が打ち切られても補償を受けることができない場合が多い。これは、制作会社がテレビ局に依存しているため、強く主張できないという現実があるからだ。
フジテレビの清水社長は、「制作会社の経営に影響が及ばないよう最大限配慮する」と述べているが、具体的にどのような対応を取るのかは不透明だ。例えば、番組が休止された際に一定の補償金を支払う制度を導入するのか、それとも別の番組制作の仕事を提供するのか、詳細は明らかになっていない。単なる「配慮する」という発言だけでは、制作会社にとって安心材料にはならない。
日本のテレビ業界では、制作会社の立場が非常に弱いという問題が以前から指摘されてきた。制作会社はテレビ局の意向に従わざるを得ず、契約内容もテレビ局側に有利なものになっているケースが多い。番組が好調ならばテレビ局が利益を得るが、番組が不調だったり休止になったりした場合のリスクは制作会社側に押し付けられるという構造になっているのだ。このため、制作会社の経営は不安定になりがちで、番組が打ち切られた途端に資金繰りが悪化することも珍しくない。
一方で、テレビ局側にも言い分はあるだろう。広告収入が減少している中で、制作会社に補償を支払うことができるのかという問題だ。現在、テレビ局はYouTubeやNetflixといった動画配信サービスとの競争にさらされており、広告主もネット広告に予算を振り分けるようになっている。テレビCMの効果が以前ほど期待できなくなっているため、広告収入は減少する一方だ。このような状況では、制作会社の要望に応えることは難しいかもしれない。
しかし、それでも制作会社をないがしろにすれば、優秀なスタッフやクリエイターがテレビ業界から離れていくことになる。近年、テレビ局に代わってNetflixやAmazon Prime Videoなどの動画配信サービスがオリジナルコンテンツを制作し、成功を収めている。これらのサービスでは、制作会社やクリエイターに対して適正な報酬を支払い、自由度の高い制作環境を提供している。このため、テレビ局に不満を持つ制作会社やクリエイターが、動画配信サービスに流れていくという現象が起きている。もし日本のテレビ局が制作会社を大切にしなければ、今後さらに人材流出が加速し、テレビ業界の衰退を招くことになるだろう。
フジテレビが本気で制作会社を守るつもりならば、一時的な補償だけでなく、長期的に制作会社と共存できるビジネスモデルを構築する必要がある。例えば、テレビ局と制作会社の間でより公平な契約を結ぶことや、制作会社のリスクを軽減するための支援制度を設けることが考えられる。また、テレビ局自身がYouTubeや動画配信サービスを積極的に活用し、新たな収益源を確保することも重要だ。
いずれにせよ、フジテレビの経営危機は、制作会社だけでなく、テレビ業界全体の未来にも影響を与える問題だ。広告収入に依存する従来のビジネスモデルが限界を迎えている今、テレビ局は新しい収益モデルを模索しなければならない。もしそれができなければ、今後もテレビ業界の衰退は避けられず、制作会社も巻き添えを食うことになるだろう。フジテレビがどのような対応を取るのか、今後の動向を注視したい。
執筆:編集部A
日刊スポーツによると 政治ジャ…