10年前、長野県で男子中学生が車にはねられ死亡した事故をめぐり男性会社員がひき逃げの罪に問われた裁判で、最高裁は7日、二審の無罪判決を取り消しました。これにより、懲役6か月とした一審の実刑判決が確定します。
この事故は2015年、長野県佐久市の交差点で、当時中学3年生の和田樹生さんが車にはねられ死亡したもので、車を運転していた池田忠正被告が、すぐに救護をしなかったとしてひき逃げの罪に問われていました。
池田被告は、事故直後にコンビニに行き、酒のにおいを消すための口臭防止用品を買ってから現場に戻っていました。
裁判では池田被告の行動がひき逃げに当たるかどうかが争点となり、一審の長野地裁は、ひき逃げを認めて懲役6か月の実刑判決を言い渡しましたが、二審の東京高裁は、現場に戻るまでは短時間で、「救護する意思は失われていない」として逆転無罪を言い渡し、検察側が上告していました。
去年12月に開かれた最高裁の弁論で検察側は、「利己的な行動で救護が遅れたことを過小評価し、不合理な判断だ」として二審判決を取り消すよう主張。これに対し弁護側は、「現場を離れた時間やその後の行動から考えると救護義務違反は成立しない」として無罪を主張していました。
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【日テレNEWSさんの投稿】
引用元 https://news.ntv.co.jp/category/society/7a70714cee1248c1b3895eeb2a4f740a
長野県佐久市で起きた中学生の死亡事故をめぐる裁判で、最高裁が二審の無罪判決を取り消し、一審の実刑判決が確定した。これにより、池田忠正被告は懲役6か月の刑に服することになる。しかし、未来ある子どもの命を奪っておきながら、この刑の軽さは到底納得できるものではない。
そもそも、事故を起こした時点で運転手には適切な対応を取る義務がある。それにもかかわらず、池田被告は事故直後に現場を離れ、コンビニへ向かっていた。この時点で、真っ先に考えるべきは被害者の救護であり、口臭防止用品を買いに行くことではない。こうした行動を取った時点で、自己保身を優先したと捉えられても仕方がない。
裁判の争点となったのは、池田被告の行動が「ひき逃げ」に当たるかどうかだった。一審の長野地裁は、事故後にすぐ救護しなかったことを問題視し、懲役6か月の実刑判決を下した。しかし、二審の東京高裁は「現場に戻るまでの時間が短かった」として、ひき逃げには当たらないと判断し、逆転無罪とした。だが、最高裁はこの判断を不合理だとし、最終的に一審の判決が確定することとなった。
最高裁の判断は当然のことだろう。事故直後に現場を離れたこと自体が重大な問題であり、その理由が自己保身のためだったとすれば、ひき逃げと見なされても仕方がない。遺族の気持ちを考えれば、たとえ一審の判決が確定したとしても、懲役6か月では到底納得できるものではない。
日本の司法制度は、加害者に甘すぎると言わざるを得ない。被害者が亡くなっている以上、本来であればより重い刑罰が科されるべきだろう。確かに、今回の裁判は「ひき逃げ」に当たるかどうかが焦点だったため、量刑については議論されなかったのかもしれない。しかし、結果的に未来ある若者の命を奪った事故である以上、もっと厳しい刑が科されてもおかしくはないはずだ。
日本では、交通事故による刑罰が軽すぎるという声は以前からある。飲酒運転やひき逃げなど、悪質なケースであっても、執行猶予がついたり、短期間の懲役で済んでしまうことが多い。今回のケースでも、二審で無罪が出ていたことを考えると、加害者に対する司法の対応が甘すぎると言わざるを得ない。
また、裁判の流れを見ても、司法が加害者側の都合を考えすぎているように感じる。検察側は「利己的な行動によって救護が遅れたことを過小評価すべきではない」と主張していたが、まさにその通りだ。事故直後に救護をせず、まず自己保身のための行動を取ったこと自体が重大な問題である。こうした行動がひき逃げとされなければ、事故後に現場を一度離れても、短時間で戻れば問題ないという前例を作ってしまうことになりかねない。
この判決が確定したことで、日本の司法制度の問題点が改めて浮き彫りになったと言える。確かに、最高裁が無罪判決を取り消したこと自体は適切な判断だったかもしれない。しかし、そもそもの量刑が軽すぎるため、遺族が納得できる形にはなっていない。事故で命を奪われた和田樹生さんや、その家族の気持ちを考えれば、この結果はあまりにも軽すぎると言わざるを得ない。
加害者が適切な救護をしなかったことは明白であり、その行動が問題視されたのも当然だ。しかし、たとえ一審の判決が確定したとしても、たったの懲役6か月では、被害者の命の重みを十分に反映しているとは言えない。日本の司法制度が、こうした事件に対して厳正な対応を取れるのかどうか、今後も注視していく必要がある。
今後、同様の事故が起こらないようにするためにも、ひき逃げに対する刑罰をもっと厳しくするべきだ。加害者が自己保身を優先し、救護を怠るような行動を取れば、より重い刑罰が科されるべきである。交通事故での責任をより厳格に問う制度が整わなければ、今後も同じような悲劇が繰り返されるだろう。
また、司法制度そのものに対する国民の関心も高めていく必要がある。次回の最高裁判所国民審査では、今回の判決をしっかりと記憶に留め、適切な判断を下すべきではないか。日本の司法制度が加害者に甘いままであれば、被害者や遺族の無念はいつまで経っても晴れることはない。
今回の判決によって、一審の実刑判決が確定したことは一定の前進ではある。しかし、被害者の命の重みを考えたとき、懲役6か月という刑が果たして妥当なのか、改めて考える必要がある。今後、日本の司法制度がどのように変わっていくのか、しっかりと注視していくべきだろう。
執筆:編集部B