山あいの“1億円トイレ”に村民が憤り「あの規模でこの値段はおかしい」…なぜ作った?村長に聞くと「村の良さをアピールする狙い。特別に高かったとは思わない」
奈良県の山あいに設置されている公衆トイレ。驚くのは建設にかかった費用で、なんと約1億円です。住民からは「これが1億円?」「高額すぎる」と憤りの声が上がっています。
奈良県東部、三重県との県境にある御杖(みつえ)村。人口1300人あまりの小さな村です。 閑静な山あいの国道沿いに物議をかもしている建物があります。去年2月に完成した村の公衆トイレです。男女の個室トイレが1台ずつ。バリアフリー対応で、オムツの交換台も設置されています。一見、普通の公衆トイレに見えますが、“問題”となっているのはその建設費用です。 (村民)「そんなにお金をかけますかね、トイレに」 (村民)「みんな『1億円トイレ』と言っています」 このトイレ、かかった費用は駐車場の整備なども含め約9500万円で、一部の村民からは『1億円トイレ』と揶揄されています。 道路を挟んで隣にはくみ取り式の古いトイレがありましたが、村は新たに作ることにしました。費用は10年かけて返済する「過疎債」で賄い、その7割は国からの地方交付税で補い、3割は村が負担します。一部の住民は「高すぎる」と抗議を続けています。 (村民)「あの規模でこの値段というのはちょっとおかしい。これが1億円近くもするかと」 (村民)「『ドブにお金を捨てた』と言ったら言い過ぎなんですが、もっと観光施設の充実を図るほうが有意義にお金を使ってもらえたのではないかなと」
完成後も非難の声が上がるトイレ。なぜそこまでして作ったのか、村長に聞いてみました。 (御杖村 伊藤収宜村長)「『伊勢本街道』という旧道があるんですが、これがちょうど(村内では)西の入り口、このトイレを設置した場所から始まるんですね。御杖の良さをアピールする、また、休憩してもらって村の中を楽しんで散策してもらえるようにと」 村の東西に走る伊勢本街道。奈良県と三重県の伊勢神宮を結ぶ街道です。トイレは街道沿いの御杖村の西の入口に設置されました。トイレの利用者に村をアピールする狙いがあり、観光スポットを紹介するパンフレットが置かれています。
では、トイレの利用者はどれくらいいるのでしょうか。取材した平日の昼間には、村民や旅行者など、1時間で10人ほど利用し、駐車場には多くの車が止まる時間もありました。
(鳥取県から伊勢へ旅行する人)「山道なのでどこにトイレがあるかわからないけれども、通り道の見やすいところにあったので、(トイレが)あってよかったです」 中には、旅行会社の添乗員の姿も。伊勢本街道を歩くツアーを企画しているといいます。 (ツアーガイド)「伊勢本街道を歩くには途中トイレがないので。今も下見をしていて、ここのトイレを利用させてもらおうかと思って」 (添乗員)「山の中はきれいなトイレが少ないので、ありがたいと思いますね」 2月のツアー実施に向けて、休憩場所を探しているといいます。一方、気になることもあるようです。 (ツアーガイド)「トイレは1個ずつしかないの?30人くらい来るから、できたらもう少し3つくらいあったら…。男子も時間かかるな」 (添乗員)「そうですね。見てしまったらみんな行きたくなりますもんね」 確かに、この場所にトイレのニーズはあるようです。
ただ、“問題のトイレ”から車で少し走ってみると、1.7kmほど離れたところに別のトイレがありました。御杖村と隣の曽爾村の伊勢本街道周辺には、問題のトイレとは別に5か所のトイレが設置されています。その費用はというと、最も近い曽爾村のトイレは約20年前(2004年度)に作られたものですが、1170万円ほど。御杖村の東側にあるトイレは2011年に整備され、駐車場もあわせて約2000万円でした。 問題のトイレは費用に用地の取得費約700万円や駐車場やベンチなどの整備費1600万円なども含んでいますが、それでもなぜ、トータル約1億円という高額になったのでしょうか。 (御杖村 伊藤収宜村長)「村の木材を使いたい、県産材を使いたいということで設計させていただいています。使った材料・コンセプト、そういうところからいきますと、『特別に高かった』というように思っているわけではございません」
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【Yahoo!ニュースさんの投稿】
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/31d0c4e1c88cb8aa9e6cb6b11b1be5534b122099?page=1
奈良県御杖村の“1億円トイレ”が物議を醸している。男女1つずつの公衆トイレに約9500万円もの建設費がかかったことに対し、村民の間では「さすがに高すぎる」と不満の声が上がっている。村側は「村の良さをアピールするため」と説明しているが、果たしてこの費用は妥当だったのだろうか。
このトイレが設置されたのは、奈良県と三重県を結ぶ伊勢本街道の西の入り口。村長によると、「訪れた人に休憩してもらい、村の魅力を知ってもらうことが目的」だという。確かに、観光地ではトイレの整備は重要だ。しかし、問題となっているのはその費用である。
周辺のトイレと比較すると、このトイレの異常な高さが際立つ。たとえば、1.7km離れた曽爾村の公衆トイレは約20年前に建てられたもので、その費用は約1170万円。御杖村内の別のトイレも、駐車場を含めて約2000万円で整備されている。それに対し、今回のトイレはその5倍以上の費用がかかっているのだ。
なぜ、ここまで高額になったのか。その理由の一つとして挙げられているのが、「地元産の木材の使用」だ。村長によると、「村の木材を使い、県産材を活用したことが特徴」とのこと。しかし、それが本当に1億円近くの価値に見合うものだったのかは疑問だ。
村民の間では、「素材にこだわりすぎて失敗した例ではないか」との声も出ている。確かに、地元産のヒノキを使うことで村のPRにつながるという考えは理解できる。しかし、その結果、肝心のトイレの機能性が犠牲になってしまっては本末転倒だ。
さらに、このトイレには男女1つずつしかない。利用者からも「30人くらいのツアーで来たら足りない」「せめて3つくらいは必要だったのでは」といった指摘が出ている。せっかく1億円近くかけるなら、もう少し実用性を考慮するべきだったのではないか。
実際、平日昼間の取材時には1時間で10人ほどが利用し、駐車場には複数の車が止まっていた。決して利用者が少ないわけではないだけに、なおさら「なぜこの仕様になったのか」と疑問が湧く。
このトイレの建設費用は、「過疎債」と呼ばれる自治体向けの借入金で賄われており、その7割は国からの地方交付税で補填され、残りの3割を村が負担する。しかし、「国からの補助があるから」といって、不必要に高額なものを作っていいわけではない。税金は全国の国民が負担しているものであり、慎重な使い方が求められるはずだ。
村長は「特別に高かったとは思わない」とコメントしているが、本当にそうだろうか。過去に他の自治体でも、観光用の施設や公園の整備に巨額の税金が投じられた例はある。しかし、その多くが「費用対効果が見合わない」と批判されている。このトイレも、同じような問題を抱えているのではないか。
村の魅力を発信し、観光客を呼び込むための施設整備は重要だ。しかし、それにはコストパフォーマンスの観点も必要だ。もし同じ1億円を使うのであれば、トイレを増設する、観光施設を充実させる、地元産品の販売所を設けるなど、より多くの人に利益をもたらす使い方もあったはずだ。
ネット上でも、「村長がズレている」「とても1億円には見えない」「高額すぎる」といった批判の声が相次いでいる。中には「ヒノキをやめて、3つずつ設置したほうが良かったのでは」との建設的な意見も見られた。
観光地にきれいなトイレがあること自体は歓迎すべきことだが、問題はそのコストと利便性のバランスだ。今回のケースでは、そのバランスが崩れてしまっているように見える。
今後、このトイレがどの程度観光客の誘致に貢献するのか、そして村の経済にどのような影響を与えるのかが注目される。もし期待された効果が得られないのであれば、税金の使い方について改めて議論が必要になるかもしれない。
執筆:編集部B
時事通信によると 石破茂首相は…