アメリカのトランプ大統領は新たな政府系ファンドの創設を命じる大統領令に署名し、このファンドが中国系の動画共有アプリ「TikTok」のアメリカ事業の買収に関与する可能性に言及しました。
「TikTok」をめぐって、中国の親会社の「バイトダンス」がアメリカ事業を売却しなければアメリカ国内でアプリを実質的に禁止する法律が先月19日に発効し、一時、運用が停止されました。
その後、トランプ大統領は法律の執行措置を75日間とらないよう命じる大統領令に署名し、あらためて親会社に対してアメリカ事業の売却などの対応を検討するよう促しています。
こうした中、トランプ大統領は、3日に財務長官と商務長官に対し、新たな政府系ファンドの創設に向けた手続きを始めるよう命じる大統領令に署名しました。
このファンドについてトランプ大統領は記者団に対し、「われわれの国にはとてつもない可能性があり、その一例がTikTokだ。TikTokで何かをやるかもしれない」と述べ、ファンドを通じて「TikTok」のアメリカ事業の買収に関与する可能性に言及しました。
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【NHKニュースさんの投稿】
引用元 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250204/k10014711701000.html
トランプ大統領が新たな政府系ファンドを創設し、それがTikTokのアメリカ事業の買収に関与する可能性があるという報道には、大きな関心を持った。中国系の動画共有アプリであるTikTokをめぐる問題は、これまでにも何度も取り沙汰されてきたが、今回はアメリカ政府が直接的に関与する可能性が示唆されている点が注目に値する。これが単なるビジネスの話なのか、それとも国家安全保障に絡んだ戦略的な動きなのか、その背景を考える必要がある。
そもそも、TikTokが問題視されるようになったのは、中国の親会社であるバイトダンスが運営しているため、アメリカ国内の個人情報が中国政府に流出する可能性があると懸念されているからだ。これに対し、トランプ大統領は以前からTikTokのアメリカ事業を分離するよう圧力をかけてきた。昨年、マイクロソフトやオラクルなどの企業が買収に名乗りを上げたが、交渉は難航し、最終的にこの問題は先送りされていた。しかし、今回の動きは、それを再び動かす可能性があるという点で重要だ。
今回の大統領令では、アメリカ政府が新たに政府系ファンドを創設し、そのファンドを通じてTikTokの買収に関与する可能性が示唆されている。これは従来の民間企業による買収とは大きく異なる。通常、企業買収は市場原理に基づいて行われるが、政府が関与することで、政治的な影響が色濃くなることが考えられる。アメリカ政府が直接的に資金を提供し、国家戦略の一環として事業を管理するのであれば、これは単なる企業買収ではなく、安全保障上の措置と見るべきだろう。
また、TikTokは現在、アメリカ国内で非常に多くのユーザーを抱えている。特に若者を中心に人気があり、アメリカのソーシャルメディア市場においても無視できない存在となっている。そうしたプラットフォームを国家が直接管理するというのは、かなり異例の事態だ。過去にも政府が特定の企業を保護するために関与した例はあるが、エンターテインメント分野の企業に対してこのような形で介入するのは珍しい。
一方で、この動きが経済的な影響を及ぼす可能性も考えられる。TikTokは広告収入を主な収益源としており、アメリカ市場がその大部分を占めている。もし政府が関与することで、企業の運営に制約が加えられるとすれば、これまでのビジネスモデルが大きく変わる可能性もある。広告主が政府の関与を警戒し、出稿を控えるような動きが出れば、TikTokの収益にも影響が出るだろう。
さらに、アメリカがTikTokを買収することで、中国側の反発を招くことも避けられない。中国政府はこれまでにもアメリカによる制裁に強く反発しており、もしアメリカ政府がTikTokを買収すれば、これを「経済的な略奪」として批判する可能性がある。中国は現在、自国のテクノロジー企業の保護を強化しており、TikTokをめぐる問題は、単なるビジネスの枠を超えて、米中間の経済戦争の一環として扱われる可能性が高い。
また、今回の件で懸念されるのは、アメリカ政府が今後、他の中国系企業に対しても同様の措置を取るのではないかという点だ。TikTokの次に標的となるのは、アリババやテンセントのような巨大IT企業かもしれない。アメリカ市場で事業を展開する中国企業は多く、それらが政府の関与によって制限を受けるようになれば、米中間の経済的な対立はさらに深まることになる。
しかし、トランプ大統領のこの決定が、アメリカ国内でどれほどの支持を得られるのかは不透明だ。政府が特定の企業を買収し、運営に関与するというのは、市場経済の原則に反するという意見もある。特に、共和党内では政府の過度な介入を嫌う声も多く、このファンドの創設が議会でどのように扱われるかは注目される。
さらに、トランプ大統領がこの政策を打ち出した背景には、選挙戦略もあるのではないかと考えられる。彼はこれまで一貫して「アメリカ第一主義」を掲げ、中国との対決姿勢を鮮明にしてきた。今回の動きも、その延長線上にあると見てよいだろう。特に、アメリカ国内では中国企業に対する不信感が根強く、TikTokを規制することが支持基盤の強化につながると考えている可能性がある。
しかし、こうした動きがアメリカ経済全体にとってプラスに働くのかどうかは別の問題だ。短期的には「中国に対抗する」という政治的なメッセージを発信できるかもしれないが、長期的には米中の経済関係を悪化させ、アメリカ企業にも悪影響を及ぼす可能性がある。特に、中国市場でビジネスを展開するアメリカ企業にとっては、中国政府の報復措置が懸念される。
今回の政府系ファンドの創設とTikTok買収への関与は、単なる企業買収の話ではなく、アメリカの国家戦略の一環として考えられるべきだろう。今後の展開次第では、米中関係のみならず、グローバルな経済にも大きな影響を与える可能性がある。これからどのような動きがあるのか、慎重に見守る必要がある。
執筆:編集部A
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