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「求人難」が114件(同96.5%増)、「人件費高騰」が104件(同76.2%増)、「従業員退職」が71件(同69.0%増)で、いずれも最多を更新した。特に、無理な賃上げで人件費上昇に耐えきれなくなった倒産が増えており、適正な価格転嫁など収益強化への投資・支援が急務になっている。
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小・零細企業はもともと資金力が脆弱で賃金ベースが低く、それだけに大手や中堅企業の賃金水準、福利厚生に並ぶのは容易でない。また、年々、従業員の採用や引き留めが難しくなっており、人手不足で受注機会を喪失し、業績回復が遅れる悪循環に陥りやすくなっている。 過剰債務の解消が先送りされ、円安で物価高にも見舞われている中小・零細企業の賃上げには、既存ビジネスモデルからの早期転換とそれを支える支援が急務になっている。
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【Yahoo!ニュースさんの投稿】
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/9628fbf553ee63b8fbf37d1bdfd8ed09ba2ddfb8
賃上げは本来、労働者にとって喜ばしいものであり、生活の向上につながる。しかし、企業側の視点に立つと、その負担は決して軽いものではない。特に資金力の乏しい小規模・零細企業にとって、賃金の引き上げは経営の存続に関わる問題となる。大企業や中堅企業と異なり、十分な内部留保もなく、利益率も限られる中での賃上げは、結果として経営の悪化を招きかねない。
今回のデータでは、「求人難」が前年同期比96.5%増、「人件費高騰」が76.2%増、「従業員退職」が69.0%増と、いずれも最多を更新したという。これらの数字は、無理な賃上げがもたらす経営への圧迫が、企業の存続を揺るがしていることを示している。確かに賃上げそのものは労働者にとって重要だが、企業が持続可能な形でそれを実現できる環境が整っていなければ、結果として企業倒産が増え、雇用自体が失われることになる。
特に、日本の中小企業は従来から資金調達が難しく、利益率も低いため、大企業のようにスムーズに賃上げを進めることは容易ではない。賃金が上がれば、当然ながら価格転嫁が必要になる。しかし、日本の市場は価格競争が激しく、中小企業が簡単に価格を引き上げることはできない。結局、経営を圧迫し、倒産を招くケースが増えているのが現状だ。
また、無理な賃上げによる影響は、単に人件費の増加だけにとどまらない。賃金を上げられない企業は、優秀な人材の確保が難しくなり、既存の従業員も待遇の良い会社へ転職する傾向が強まる。結果として、人手不足による受注機会の損失、さらには業績の低迷につながる悪循環が発生してしまう。企業が安定して存続できなければ、従業員の雇用も守れないという現実を考慮する必要がある。
さらに、現在の経済環境も中小企業にとって厳しい状況を作り出している。円安による輸入コストの上昇、原材料価格の高騰、エネルギーコストの増加など、企業の負担は増すばかりだ。こうした状況下での賃上げは、適正な価格転嫁ができなければ、企業の収益を圧迫し、経営難に直結する。政府や行政が企業に賃上げを求めるのであれば、そのための支援策も併せて講じる必要があるだろう。
特に、現行のビジネスモデルのままで企業が賃上げを続けることには限界がある。新たな事業分野への進出や、業務の効率化を進めることが求められるが、それには時間と資金が必要だ。企業が変革を進めるためには、税制優遇や助成金などの支援策を充実させることが不可欠だろう。
現実的に考えれば、すべての企業が一律に賃上げできるわけではない。賃上げの必要性を否定するわけではないが、それを強制するような風潮が広がれば、結果として企業の倒産が増え、雇用が失われるという本末転倒な事態を招く。労働者にとって重要なのは、賃金の上昇だけでなく、安定した雇用の確保でもある。そのバランスを取るためには、企業の経営環境を改善し、無理のない形で賃上げが進められるような施策が求められるのではないだろうか。
現状を見る限り、政府や経済界は賃上げを推進する方向にあるが、現実的な経営の視点を考慮しなければならない。企業に無理な負担を強いれば、その影響は労働者にも及ぶ。理想と現実の間にあるギャップを埋めるためには、慎重な議論と適切な支援策の構築が不可欠である。
執筆:編集部A