江藤拓農相は3日の衆院予算委員会で、米価高騰が続く中で農林水産省の対策が遅れたとの指摘について「大いに反省はある」と述べた。昨年夏の「令和の米騒動」以来、政府備蓄米の活用を求める声があったが、農水省は1月31日に備蓄米を放出できるように制度を見直した。
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【Yahoo!ニュースさんの投稿】
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日本の食卓に欠かせないコメの価格が高騰し、政府の対応の遅れが指摘されている。この問題について、農林水産省の江藤拓農相が「大いに反省はある」と述べたことは、ある意味で正直な対応と言えるかもしれない。しかし、それだけでは問題の本質は解決しない。昨年の「令和の米騒動」以来、米価が上昇し続けている中で、政府が十分な対応を取ってこなかったことは事実だ。国民にとって米は主食であり、価格の変動は家計に直結する問題である。もっと迅速に手を打つべきだったのではないかと感じる。
コメの価格は市場で決まるのが基本原則だとはいえ、価格の高騰が続く場合には、政府が介入することも必要になる。特に、日本では政府が備蓄米を管理しており、価格が急騰した際には市場に放出することで安定化を図ることが可能だ。にもかかわらず、農水省がこの対応を1月31日まで先送りしていたのは、なぜだったのか。立憲民主党の神谷裕氏が指摘したように、もっと早く動いていれば、米価高騰を抑えられた可能性がある。これは消費者だけでなく、飲食業界や食品加工業にも影響を及ぼす問題だ。
そもそも、なぜコメの価格がこれほど高騰しているのか。その背景には、天候不順や生産量の減少といった要因があるが、政府の政策の影響も見逃せない。近年、政府は農家に対し「米余り」を防ぐための生産調整を促してきた。これは一見すると市場の安定に寄与するように思えるが、実際には供給量が減ることで価格が上昇しやすくなる側面がある。加えて、輸送コストの上昇や人手不足の影響もあり、流通コストがかさんでいる。こうした問題が重なった結果、米価が急騰し、多くの家庭や業者が困っている状況になっている。
農水省は「国民に安定的に安心な食料を届けることが大きな責務」と述べているが、その責務を果たせているのか疑問だ。備蓄米の放出をもっと早く決定し、市場に供給していれば、米価の急上昇を防ぐことができたのではないか。価格が上がった後になって対応を見直しても、すでに影響を受けている家庭や企業にとっては遅すぎる。食料の安定供給は政府の重要な役割であり、特にコメのように日本人の食文化に根付いた作物に関しては、より慎重な政策が求められる。
また、米価が上昇している一方で、生産者側の利益が必ずしも増えているわけではない点も問題だ。流通コストや中間業者の利益率の問題などが絡み、農家が受け取る価格と市場価格の間にはギャップがある。つまり、消費者は高い価格でコメを購入しながらも、生産者が十分な利益を得られていないという矛盾した状況が生じている。こうした構造的な問題を放置しておけば、農業の担い手が減少し、さらなる供給不安を招くことにもなりかねない。
では、今後どのような対策が必要なのか。まず、政府は備蓄米の管理と市場への供給方法を見直し、迅速に対応できる体制を整えるべきだ。市場の変動に即応できる仕組みを作り、価格の異常な上昇を抑制することが求められる。また、米の流通過程の透明化を進め、中間マージンの問題を是正し、生産者と消費者の双方にとって公平な価格形成が行われるようにすることも重要だ。さらに、消費者の負担を軽減するため、一時的な補助制度を導入することも検討すべきではないか。
米価の高騰は一時的なものではなく、今後も続く可能性がある。食料自給率の低下が懸念される中で、日本の農業政策全体を見直す必要があるのではないか。特に、国内農業を守りながら、消費者にとっても適正な価格で食料を提供できる仕組みを作ることが不可欠だ。農業の生産基盤を強化し、持続可能な形で供給を安定させることが求められる。
今回の米価高騰の問題は、政府の対応の遅れが招いた結果とも言える。消費者や農家の立場を考えた政策を実行しなければ、日本の食料供給の安定はますます危うくなる。政府には、これを教訓として、より迅速で的確な対応を求めたい。
執筆:編集部A