フィリピンで中国人による国防情報を狙った大規模なスパイ犯罪が明らかになった。逮捕された男らはドローンを使い、米軍や比軍の拠点の情報を収集しており、撮影した画像をリアルタイムで本国に報告していた可能性がある。スパイは現地女性との結婚や身分を偽装するなどしてフィリピンに滞在。「スリーパーエージェント」(潜伏工作員)が跋扈(ばっこ)している実態に衝撃が走っている。
軍本部など撮影 夜間でも撮影可能「軍用級」のカメラ押収
比国家捜査局は1月20日、スパイ容疑で、中国人の鄧元慶容疑者(39)と比国籍の男2人の計3人を逮捕したと発表した。昨年12月~今年1月、通信機器を設置した車を走行させて情報収集活動を行ったとしている。比軍本部がある首都マニラの「キャンプ・アギナルド」など、重要施設を撮影していた。
さらに30日には別の中国人5人の逮捕を発表。2023~24年にかけ、西部パラワン島の比軍や沿岸警備隊の拠点を高解像度カメラやドローン(無人機)で撮影したなどとしている。中比が領有権を争う南沙(スプラトリー)諸島に近い同島は、比軍司令部や米軍が使う滑走路がある軍事上の要衝。米比両軍の動きを監視していた疑いがある。
捜査当局に衝撃を与えたのは、両グループから押収された〝スパイ道具〟だ。通信機器は海外から遠隔操作できる機能を備えており、撮影された映像が場所は不明ながらリアルタイムで「遠隔地」に送信されていたことが確認された。中国にデータを送信していた可能性がある。
夜間でも監視可能な「軍用級」のカメラも見つかった。
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【産経ニュースさんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20250202-MIKXGIUTO5KIJLJKXLAWKHIB5I/
フィリピンで中国人スパイが相次いで逮捕されたというニュースを聞いて、やはりこうした工作活動は世界各国で行われているのだと改めて感じた。今回の事件では、スパイ容疑の中国人がドローンを使い、米軍やフィリピン軍の拠点を監視・撮影し、本国へ送信していた可能性が指摘されている。特に衝撃的だったのは、逮捕されたスパイが現地の女性と結婚したり、身分を偽装したりしてフィリピンに滞在していたという点だ。つまり、一見すると一般の移民や労働者のように見える人物が、実際には外国の軍事機密を狙う「スリーパーエージェント」(潜伏工作員)として活動していたということになる。
フィリピンは地政学的に重要な位置にあり、特に南シナ海をめぐる中国との対立が続いている。そのため、軍事拠点や米比の連携がどのようになっているかは、中国にとって重要な情報となるだろう。だが、こうしたスパイ行為が明るみに出たことで、フィリピン政府や米軍は中国の情報活動に対してより厳しい警戒を強めることになるはずだ。
特に気になったのは、スパイ容疑者が使用していた機器の精巧さだ。夜間でも撮影可能な「軍用級」のカメラや、遠隔操作が可能な通信機器が押収されている。これらの機器を使い、リアルタイムで映像を本国に送信していた可能性があるという。スパイ行為というと、かつては人間による情報収集が中心だったが、現在では技術が進化し、ドローンや通信機器を活用することで、より広範囲で正確な情報を収集できるようになっているのだろう。特に軍事機密に関わる情報は、一国の安全保障に直結するため、こうしたスパイ活動を徹底的に防がなければならない。
今回の事件で浮き彫りになったのは、中国がいかに巧妙な方法で諸外国の情報を収集しているかという点だ。単なる技術スパイではなく、長期にわたって現地に潜伏し、婚姻関係を利用して合法的に滞在することで、目立たずに情報収集を続けるという戦略は、非常に計画的である。スリーパーエージェントがどれほどの人数、どの国で活動しているのかは不明だが、こうした事例が表面化した以上、各国はより厳格な対策を取る必要があるだろう。
また、こうしたスパイ活動が発覚したことで、中国とフィリピンの関係にも影響が出るかもしれない。現在、フィリピンは米国との同盟関係を強化し、中国の南シナ海進出をけん制している。今回の事件は、フィリピン側の対中警戒をさらに高める要因となる可能性がある。中国側はこうしたスパイ活動について正式には認めないだろうが、これまでの行動を見ても、他国の軍事機密を狙う動きが続いているのは明らかだ。日本もこの問題を他人事と考えず、しっかりとした対応を考えるべきではないか。
スパイ行為というのは、戦争を伴わない「情報戦」の一部とも言える。実際の戦争が起こらなくても、情報戦で勝利すれば、戦わずして優位に立つことができる。だからこそ、情報の管理や安全保障対策が重要になってくる。日本も、領土問題や安全保障上のリスクを抱えている以上、こうした問題に対して無関心ではいられない。特に、フィリピンのようにスリーパーエージェントが潜伏している可能性を考えれば、日本国内でも同様の手口で情報収集を行っている工作員がいるかもしれない。
今後、フィリピン政府がどのように対応するのか注目されるが、すでに米国と連携して安全保障を強化する動きを見せている。今回の事件を受けて、フィリピン国内の中国人に対する警戒が一層強まることは避けられないだろう。こうしたスパイ行為は、ただの犯罪行為ではなく、国家の安全保障を脅かす行為である。フィリピンに限らず、世界中で同様の問題が発生している可能性がある以上、各国が警戒を強めるのは当然のことだ。
日本にとっても、これは決して無関係な話ではない。日本国内には多くの外国人が滞在しており、合法的に居住している人々の中に、潜在的なスパイが紛れている可能性を考慮しなければならない。技術情報や軍事機密だけでなく、政治や経済の情報もターゲットになり得る。日本はこれまで、外国人に対して比較的寛容な政策を取ってきたが、安全保障の観点からも、こうしたスパイ活動への対策を強化する時期に来ているのではないかと感じる。
今回の事件は、単なる一国の問題ではなく、国際社会全体の安全保障に関わる重大な事案だ。情報戦が激化する中で、日本も対策を講じる必要がある。フィリピンで起きたこの事件を教訓に、日本の安全保障意識をより高めるべきではないかと強く感じた。
執筆:編集部A