TBS系報道番組「報道特集」(午後5時半)は1日の放送で、芸能界を引退した中居正広氏の女性トラブルをめぐるフジテレビの対応などを特集した。
番組では、10時間超に及んだ同局の会見や、週刊文春が昨年12月26日発売号で、女性が事件当日の会食について「フジ編成幹部A氏に誘われた」としていたものを、その後「中居に誘われた」などと訂正したことを報じた。
その話題の中で、テレビ局で女性の参加する接待文化について「東京のテレビ局の女性社員やスタッフに聞いた」という声を伝えた。
制作会社のスタッフの声としては「居酒屋やカラオケで、男性上司や先輩に肩を抱かれたり、手を握られたり、卑猥(ひわい)なことを耳打ちされることがあった」と報道。同スタッフは一瞬の不快感はあったとした上で「訴える、抗議する、という考えはなかった」とのコメントを報じた。
民放の営業部社員の声としては「スポンサーとの会食で『俺と不倫してくれたら、次もCMを続けるよ』と言われた。ショックだったので男性の先輩社員に相談すると、『お前の腕の見せどころだな』と笑われ、真剣に取り合ってくれなかった」と報じた。
民放社員のアナウンサーの声では、10年以上前の話とした上で「プロデューサーに『一流アスリートを囲む飲み会があるから、アナウンサーで囲んでほしい』とお願いされ、局アナ3人で参加した。キャバ嬢並みの接待を期待され、それに応えられない自分はみじめになり途中退席したが、翌日プロデューサーに怒鳴られ、ショックを受けた」と伝えた。
[全文は引用元へ…]
【日刊スポーツさんの投稿】
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/40670327702d1701cdf4c3bb2b64d0ef16e77137/images/000
報道特集で放送されたフジテレビの対応や、芸能界における女性を取り巻く環境についての報道は、非常に考えさせられる内容だった。特に、テレビ局内での接待文化や女性への扱いについては、以前から指摘されていたものの、改めて実態が報じられたことで、その深刻さが浮き彫りになったように思う。
番組では、中居正広氏の女性トラブルに関する週刊文春の報道や、フジテレビの対応が取り上げられたが、最も衝撃的だったのは、東京のテレビ局における接待文化に関する証言だ。制作会社のスタッフが「男性上司や先輩に肩を抱かれたり、手を握られたり、卑猥なことを耳打ちされた」と語ったことは、業界の暗黙のルールのようなものが今も残っていることを示している。もちろん、そのスタッフ自身は「訴える、抗議するという考えはなかった」と述べているが、それが普通のこととして受け入れられている状況そのものが問題ではないだろうか。
さらに、民放の営業部社員の証言も印象的だった。「スポンサーとの会食で『俺と不倫してくれたら、次もCMを続けるよ』と言われた」という話は、言語道断だ。このような発言が公然と行われ、それを相談した先輩社員にすら笑って流されるというのは、企業としての倫理観が問われる問題だ。こうした事例が一部なのか、それとも業界全体に蔓延しているのかは分からないが、もし多くの女性社員が同じような経験をしているとすれば、非常に深刻な事態である。
また、アナウンサーの証言もショッキングだった。「プロデューサーに『一流アスリートを囲む飲み会があるから、アナウンサーで囲んでほしい』とお願いされ、局アナ3人で参加した」というエピソードは、女性アナウンサーの仕事がどのように見られているのかを象徴しているように思う。彼女たちは本来、報道や番組進行のプロフェッショナルであるはずなのに、単なる接待要員として扱われることに、大きな違和感を覚える。しかも、その場にいられなくなり途中退席した結果、プロデューサーに怒鳴られたというのだから、理不尽さに言葉を失う。
このような話を聞くと、やはりテレビ業界にはまだ古い価値観が根強く残っているのではないかと感じる。もちろん、すべてのテレビ局がこのような環境だとは思わない。しかし、一部の業界関係者の間では、こうした文化が暗黙のうちに続いているのかもしれない。そして、それが「当たり前」のこととして受け入れられているのならば、大きな問題だ。
この問題を考えると、女性の働きやすい環境とは何かを改めて問い直さなければならない。現在、日本では「女性の活躍推進」が掲げられているものの、実際の職場環境がこれでは、女性が安心して働けるとは言い難い。特に、テレビ業界のように影響力の大きな業種でこのような問題があるとすれば、社会全体の風潮にも悪影響を及ぼしかねない。
加えて、こうした問題が公に報じられても、大きな議論にならないことも気がかりだ。本来ならば、テレビ業界が自ら改善策を示すべきところだが、これまでの経緯を見ても、具体的な対策が講じられているとは言い難い。例えば、企業のハラスメント対策として研修を行うことは一般的になっているが、果たしてそれが実際に効果を上げているのかは疑問だ。研修を受けても、実際の現場で同じようなことが繰り返されるのであれば、何の意味もない。
さらに、スポンサーとの関係も重要なポイントだ。営業部の社員が「不倫すれば次もCMを続ける」と言われたように、広告を握る側の人間が圧倒的に優位な立場にあることが、この問題をより複雑にしている。スポンサー企業の中には、倫理観を重視するところも増えてきてはいるが、まだまだ業界全体の意識改革には時間がかかりそうだ。こうした問題がある限り、女性が安心して働ける環境とは言えない。
今回の報道を受けて、視聴者としても、単なる芸能界のゴシップとして捉えるのではなく、日本社会全体の問題として考える必要があると感じた。テレビ業界は多くの人々に影響を与える立場にあるからこそ、健全な職場環境を整えるべきではないだろうか。特に、これからの時代を担う若い世代が、テレビ業界を目指そうとしたときに、こうした問題が障壁になってしまうのは非常にもったいない。
今後、業界全体として透明性のあるルールを作り、女性だけでなくすべての従業員が安心して働ける環境を整えることが求められる。単に「問題がありました」と報じるだけではなく、改善のために何が必要かを議論し、具体的な施策を実行することが必要だ。そうしなければ、同じ問題が繰り返されるだけでなく、テレビ業界そのものの信用も失われかねない。
今回の報道は、テレビ業界における課題を浮き彫りにしただけでなく、日本社会の働き方や価値観についても考えさせられる内容だった。これを機に、業界全体が真剣に改革に取り組むことを期待したい。
執筆:編集部A