奈良県が国際交流イベントとして企画し、内容の見直しが検討されている10月のK―POPアーティストのコンサートをめぐり、山下真知事は1月31日、交流の相手先となる韓国・忠清南道の金泰欽(キムテフム)知事と2月中にも会談する方針を示した。見直し案を提示して協議し、新たな規模や予算案を決めていくという。
県は当初、トップアーティストの派遣を前提にした奈良公園での9千人規模の無料コンサートを計画。県議会では、会場設営費などの事業費約2億7千万円の大半を含む補正予算が可決される一方、事業費の削減を求める申入書が出された。
申し入れを受けて山下知事は、会場や規模を変えずに寄付を募って県の負担を減らす案と、屋内開催にして規模や予算を縮小する案を検討。31日の定例記者会見では、最大1500人ほどの規模の屋内開催なら、予算を3千万~1億円ほどに縮小できるとした。有料化は検討せず、文化交流イベントを「中止することはない」と述べた。
今後、県議らからの聞き取りなどを経て詳細を詰めた2案を忠清南道側に提示し、2月中に金知事との「トップ会談」で協議して方針を固めるという。
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【朝日新聞さんの投稿】
引用元 https://www.asahi.com/articles/AST102G35T10POMB00KM.html?ref=rss
奈良県が国際交流イベントとして企画しているK-POPコンサートをめぐり、開催規模や予算の見直しが検討されている。10月に予定されているこのコンサートは、当初9千人規模の無料公演を奈良公園で行う計画だったが、県議会で事業費の削減を求める声が上がったことで、方針が揺れている。
事業費として計上されたのは約2億7千万円。このうち会場設営費などの大半が補正予算として可決されたものの、税金の使い方として適切なのか疑問視する声が多く、議会からは支出の削減を求める申し入れがあった。その結果、山下真知事は、寄付を募ることで県の負担を減らす案と、屋内開催にして予算を縮小する案の2つを検討することになった。
最大9千人規模だった計画を、屋内開催に変更して1,500人程度の規模にすれば、予算を3千万円から1億円程度に抑えられる見込みだという。ただし、入場料を取る有料化の案は検討しない方針で、文化交流イベントとしての意義を維持しつつ、財政負担を軽減する方法を模索している。
そもそも、なぜ奈良県がK-POPコンサートを主催する必要があるのか疑問を抱く人も多い。確かに国際交流は重要だが、そのために多額の税金を投入することが正当化されるのかという点が問題視されている。特に、近年の財政状況を考えれば、県民の税金を使って外国の音楽イベントを開催することに納得できない人がいるのも無理はない。
国際交流を目的とするなら、もっと地域の文化や伝統を活かした企画を考えるべきではないだろうか。奈良県には世界遺産や歴史的建造物が数多くあり、国内外からの観光客を集めるポテンシャルがある。そうした資産を活かした文化交流イベントなら、県民からの理解も得られやすいだろう。しかし、韓国のK-POPに特化したイベントを大規模に開催することが、果たして奈良県にとって最善の選択なのか疑問が残る。
さらに、K-POPコンサートの開催が本当に県の経済に良い影響を与えるのかも不透明だ。確かにイベントが成功すれば、一時的に観光客が増える可能性はある。しかし、無料での開催が前提なら、来場者が県内でどれほどの経済効果を生むのかは未知数である。また、県が負担する経費が大きすぎるため、税金の使い道として適切かどうかも議論されるべきだろう。
屋内開催にして予算を縮小する案は、財政負担を減らす意味では一定の合理性があるが、それでも3千万円から1億円という規模の支出は決して小さくない。寄付を募る案も検討されているが、民間の資金だけでどこまで賄えるのかは疑問が残る。そもそも県が主催するイベントで寄付を募るというのも、不自然な印象を受ける。
文化交流を推進するのは良いが、その方法は慎重に選ぶべきだ。K-POPコンサートを開催することが、本当に県民の利益になるのか、冷静に議論する必要があるだろう。2月に行われる忠清南道との会談では、この問題についてより具体的な協議が進むだろうが、最終的にどのような形で開催されるのか注目したい。
執筆:編集部A