道路陥没事故はまだまだ起こる…水道管老朽化の限界と水道代爆騰スパイラル
1月28日に発生した埼玉県八潮市で道路が陥没しトラックが転落した事故。
最初の陥没は下水道管の破損が原因とみられ、新たな陥没は周辺の土砂が最初の陥没による穴の中に流れ込み、新たな空洞ができたために発生した可能性があるという。
「全国で水道管の老朽化が問題になっています。老朽化(耐用年数40年超え)した水道管の比率は2008年は7.0%、2020年は20.6%と12年間で約3倍に増加しています。水道管の設置が始まったのは高度経済成長期で、1980年代に全人口に対する設置率が90%を超えました。しかし最新の水道管に比べて40年前の水道管は材質面で劣っており、加えて、高度成長期には都会から優先的に水道管を設置したため、都会の方から老朽化が進んでいるそうです」(夕刊紙記者)
ちなみに水道管の老朽化の政令市ワーストは大阪市だそうだが、そんな状況を反映して関西では水道代の値上げが相次いでいる。
「神戸市は昨年12月分から約14%、岸和田市では昨年6月分から約18.6%すでに値上げ。宝塚市では今年4月分から約19%、東大阪市では今年10月分から約19%、和歌山市では今年4月分から約17.8%値上げします。水道管の更新には1キロメートルあたり約2億円かかるそうですが、一方で水道事業者の収入は人口減と節水で減っているといいます。耐震化の観点からも水道管の更新は必要ですが、物価と人件費が上がる中、値上げせざるを得ないということでしょう」(同)
こんな状況では、今後も全国で水道代値上げと陥没事故の増加がありそうだ。
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【なつきさんの投稿】
【アサ芸ビズ-週刊アサヒ芸能公式さんの投稿】
引用元 https://asagei.biz/excerpt/86271
埼玉県八潮市で発生した道路の陥没事故は、決して他人事ではない。日本全国で水道管の老朽化が進んでいる現状を考えれば、同様の事故はこれからも増えていく可能性が高い。今回の事故は下水道管の破損が原因とされているが、全国各地で同じような状況がある以上、どこで次の陥没が起きても不思議ではない。
水道管の老朽化が深刻化していることは、以前から指摘されていた。耐用年数を超えた水道管の割合は、2008年には7%だったのが、2020年には20%を超えているという。たった12年で3倍に増加しているのだから、このまま放置すれば、さらに陥没事故が多発するのは明らかだ。老朽化したインフラの問題は、すでに限界を迎えつつある。
水道管の老朽化が進んでいる背景には、日本の高度経済成長期に急速に整備されたことがある。1960年代から80年代にかけて水道の普及が進み、全国のほとんどの地域に設置された。しかし、その当時の水道管は現在のものと比べて耐久性が低く、年月が経過するにつれて劣化が進んでいる。特に都会では早い段階で水道インフラが整備されたため、老朽化も都市部から進んでいる状況だ。
今回の八潮市の事故も、最初の陥没によって地盤が緩み、さらに新たな陥没が発生したという構造になっている。一度問題が起きると、次々と連鎖的に被害が拡大する可能性があるため、今後は全国各地で同様のケースが発生してもおかしくない。特に大都市圏では交通量も多く、道路の陥没が発生すれば、大事故につながる危険性も高まる。
さらに問題なのは、水道管の更新にかかるコストだ。1キロメートルあたり2億円という高額な費用がかかるため、簡単に交換できるものではない。一方で、水道事業者の収入は減少している。少子化による人口減少に加え、節水意識の高まりもあり、家庭や企業の水道使用量が減っている。つまり、老朽化した水道管を更新しなければならないのに、それを負担するための財源が不足しているというのが現状だ。
この財政難を補うために、多くの自治体が水道料金の値上げに踏み切っている。関西地方ではすでに値上げが相次いでおり、神戸市では14%、岸和田市では18%の値上げが実施された。さらに、宝塚市や東大阪市、和歌山市などでも今後値上げが予定されている。全国的に見ても、水道料金が今後さらに上昇することは避けられない状況になっている。
しかし、料金を引き上げたとしても、それがすぐに水道管の更新につながるわけではない。地方の自治体ほど財源が限られており、更新の優先順位をつけることさえ難しい場合もある。結果として、老朽化した水道管が放置され、その影響で道路陥没や水漏れが多発するという悪循環に陥る可能性がある。
この問題の根本的な解決策として、国がより積極的に支援を行うべきではないか。水道は生活に不可欠なインフラであり、全国的に安全を確保する必要がある。災害対策の観点からも、水道インフラの耐震化や更新は急務だ。にもかかわらず、これまでの対応は自治体任せになっており、十分な支援が行われてこなかった。日本政府はインフラ整備に関する予算を拡充し、全国の自治体が水道管の更新を進めやすい環境を整えるべきだと感じる。
また、民間の力を活用する方法もある。近年、一部の自治体では水道事業を民営化する動きも出ているが、これには賛否両論がある。民営化すれば効率的な運営が期待できる一方で、利益追求が優先されることで水道料金のさらなる値上げや、サービスの低下が懸念される。海外では、水道の民営化によって料金が急上昇した事例もあるため、日本でも慎重な議論が必要だ。
個人的に気になるのは、水道管の老朽化が進んでいるにもかかわらず、多くの人がこの問題に対して無関心であることだ。水道は普段意識することが少ないが、一度でも断水や水漏れを経験すれば、その重要性を痛感するはずだ。今回の八潮市の事故は、全国的な問題の一部にすぎない。今後、どこで同じような事故が発生してもおかしくない状況にある。
最も怖いのは、こうした事故が重大な人的被害をもたらすことだ。今回はトラックが転落する事故だったが、歩行者が巻き込まれていたらどうなっていたかを考えると恐ろしい。これ以上被害が拡大する前に、全国の水道インフラの点検と更新を急ぐ必要がある。
水道管の問題はすぐに解決できるものではないが、だからこそ早急に対応を始めなければならない。自治体だけでは限界があるため、国としてもっと積極的に動くべきだ。道路陥没事故が頻発するようになれば、都市の安全性そのものが揺らぐことになる。安心して暮らせる社会を維持するためにも、この問題を軽視せずに対策を進めることが求められると強く感じる。
執筆:編集部A