【パリ=三井美奈】ドイツ連邦議会は1月28日、すべての不法移民を「国境で追い返せ」と求める動議を採択した。
2月の総選挙を前に、保守系最大野党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が提出。政界で極右扱いされる「ドイツのための選択肢」(AfD)の支持を得て可決させた。「タブー破り」の右派連携に左派は反発し、CDUのメルケル元首相も異例の批判声明を出した。
CDUのメレツ党首は動議提出にあたり、「外国人、特に難民申請者の犯罪は深刻な問題だ。欧州連合(EU)は機能不全の状態にある」と発言。EUルールより、ドイツの安全確保を優先すべきだと訴えた。
EUは国際条約に沿って、「難民申請しようとする移民を追い返してはならない」という原則をとる。だが、動議は国内の治安にかかわる場合、例外が認められると正当化している。
ドイツでは22日、南部アシャッフェンブルクで難民資格を得られなかったアフガニスタン人の男が、刃物で2人を刺殺する事件が起きたばかり。メルツ党首は中道左派、社会民主党(SPD)のショルツ首相の移民政策を「生ぬるい」と批判しており、強硬な動議で違いを示そうとした。CDU・CSUは現在、支持率30%で首位に立ち、メルツ氏は次期首相の最有力候補とみなされている。
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【産経ニュースさんの投稿】
引用元 https://www.sankei.com/article/20250131-2KKEAHFNBNM27GTIR7HZ7HRHEI/
ドイツ連邦議会が「不法移民を国境で追い返す」とする動議を可決した。これはドイツ国内における移民政策の大きな転換点となる可能性があり、各国でも注目されている。保守系最大野党であるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が提出し、「ドイツのための選択肢(AfD)」の支持を得て成立した。これに対して、左派勢力やメルケル元首相が強く反発しているが、果たしてこれは「極右的な政策」と言えるのだろうか。
まず、国家として不法入国者を追放するのは、当然の措置である。法治国家である以上、入国のルールを破った者に対し、相応の対応を取るのは何らおかしなことではない。それを「極右的」と非難するのは、むしろ法の公平性を無視する姿勢とも言えるだろう。正規の手続きを経て入国した移民と、不法に入国し居座る者を区別し、前者を保護し後者を排除するのは、国家の主権を守るためにも必要不可欠だ。
また、今回の動議提出に至った背景には、ドイツ国内での移民犯罪の増加がある。つい先日も、難民認定を受けられなかったアフガニスタン人がドイツ国内で2人を刃物で刺殺する事件が発生した。こうした状況が続けば、ドイツ国民の安全は損なわれ、国家としての秩序も揺らぐことになる。CDUのメレツ党首が「EUは機能不全であり、ドイツの安全を最優先すべき」と発言したのも、こうした現実を踏まえてのことだろう。
一方で、この動議には法的拘束力はない。つまり、実際に不法入国者の排除が進むかどうかは、今後の政治の動き次第ということになる。しかし、これがドイツ国内の世論に大きな影響を与えることは間違いない。CDU・CSUは現在、支持率30%でトップを走っており、次期総選挙での勝利が現実味を帯びている。そうなれば、今後はより強硬な移民政策が打ち出される可能性が高い。
ドイツでは長らく移民政策に対する議論が続いてきた。特にメルケル政権時代には「難民歓迎政策」が推進され、多くの移民が流入した。しかし、その結果として、移民による犯罪の増加や社会保障費の増大、労働市場への影響といった問題が次々と顕在化した。こうした現実を前にして、ドイツ国民の中には「もうこれ以上、移民を受け入れるべきではない」という声が高まっているのも当然の流れだ。
また、EU全体としても移民政策を見直す動きが出始めている。これまで、EUは「難民申請をしようとする移民を追い返してはならない」という原則を堅持してきたが、各国の事情によっては例外が認められるべきだという主張が強まっている。特に、フランスやイタリア、スウェーデンなどでは移民による治安悪化が深刻な問題となっており、EU全体としても「移民政策の見直し」が現実的な課題になりつつある。
その中で、ドイツがこのような動議を可決したことは、今後のEUの政策にも影響を与える可能性がある。ドイツはEU最大の経済大国であり、その政策はEUの方向性を決定づける重要な要素となる。もしドイツが今後、不法移民排除の方針を明確に打ち出せば、他のEU加盟国もこれに追随する形で、移民政策の厳格化を進めることになるだろう。
また、今回の動議を巡る政界の反応にも注目すべき点がある。ショルツ首相は「許しがたい行為」と批判し、メルケル元首相も「AfDを多数派に引き込むのはよくない」と異例の声明を出した。確かに、AfDは移民排斥を訴える政党であり、過去には極端な発言が問題視されたこともある。しかし、だからといって「不法移民の排除=極右的政策」と決めつけるのは短絡的ではないか。むしろ、移民問題が深刻化する中で、与野党を超えて現実的な解決策を議論することの方が重要なはずだ。
特に、CDU・CSUは伝統的な保守政党であり、極端な政策を掲げる政党ではない。それでも今回、AfDの支持を得て動議を可決したという事実は、ドイツ国内の世論が「もはや移民問題を無視できないレベルに達している」ことを示している。
この流れは、今後、他の欧州諸国にも波及する可能性が高い。すでにイタリアやフランスでは移民制限の強化を求める声が強まっており、ドイツの動きがさらなる影響を与えるかもしれない。
不法移民の問題は、単なる人道的な課題ではなく、国家の安全や経済にも大きく関わる重要なテーマである。今回のドイツ連邦議会の動議可決は、移民政策の大きな転換点となる可能性があり、今後の動向に注目する必要がある。
執筆:編集部B
小西洋之氏のnoteによると …