【小野寺まさるさんの投稿】
引用元 https://www.vill.shimukappu.lg.jp/shimukappu/index.html
北海道の中心部に位置する占冠村は、リゾート地として知られるトマムを抱えた地域だ。雄大な自然に囲まれたこの村は、冬にはスキー客、夏には避暑地として観光客を迎え入れる。しかし、ここ数年で村の人口構成が大きく変わり、ついに全人口の36.6%が外国人となったという。この変化は、日本の地方にとって何を意味するのかを考えてみたい。
占冠村はもともと人口の少ない村であり、高齢化と人口減少が進んでいた。しかし、トマムリゾートの開発が進み、観光業が活発になるにつれ、外国人労働者や移住者の数が増え始めた。特に、ホテルや飲食業に携わる人々の多くが外国人であることが影響している。
外国人が増えること自体は決して悪いことではない。観光地として発展するためには、労働力の確保が必要であり、日本人だけでは人手が足りないという現実もある。しかし、村の人口の3分の1以上が外国人になるというのは、単なる「国際化」とは別の問題をはらんでいるように思う。
まず、地域の文化やコミュニティの維持が難しくなる可能性がある。少子高齢化が進む日本では、地方の小さな村ほど過疎化が深刻だ。そこに外国人が増えることで、地元の人々の暮らしが大きく変わることも考えられる。外国人が日本のルールをしっかりと理解し、地域社会に溶け込んでくれれば問題ないが、そうでない場合、生活のリズムや価値観の違いが摩擦を生むこともある。
また、言語の壁も無視できない。観光業において英語や中国語を話せるスタッフがいることはメリットかもしれないが、村の住民が日常生活の中で外国語を使わなければならない状況になるのは負担だろう。公共の場での案内や役所の手続きなど、日本語だけでは対応できなくなることも考えられる。
治安の面でも懸念がある。もちろん、すべての外国人が問題を起こすわけではない。しかし、観光客が増えれば、それに伴うトラブルも増えるのは避けられない。例えば、ゴミの分別ルールが守られなかったり、日本のマナーに馴染みのない人が騒音トラブルを起こしたりすることもある。そうした問題が増えれば、地元住民の不満が蓄積していくことになる。
さらに、外国人労働者が増えることで、地元の日本人の雇用がどうなるのかも気になるところだ。観光業は人手不足が続いているため、外国人労働者を受け入れることは必要かもしれない。しかし、その結果として日本人が働きづらくなるような環境になれば、本末転倒ではないか。特に地方では、安定した雇用の確保が重要な課題であり、外国人労働者が増えすぎることで、日本人の仕事が奪われるような状況になっていないか注視する必要がある。
また、外国人の増加に伴い、住居の確保や生活環境の整備も求められる。リゾート地として発展するのは良いことだが、外国人労働者が増え続けると、一時的な滞在者向けの住宅だけでなく、長期的に住むためのインフラ整備も必要になる。公共サービスが追いつかず、住民の負担が増えることになれば、地元の人々にとっては歓迎できない状況だろう。
一方で、占冠村が外国人にとって魅力的な場所になっているのも事実だ。日本の地方には、過疎化による衰退が避けられない地域も多い。その中で、外国人が多く住み、観光業を支えているというのは、新しい形の地域活性化のモデルともいえる。しかし、そのバランスをどう取るのかが課題になってくるだろう。
例えば、外国人労働者を増やすだけでなく、日本人の若者がこの地域に移住しやすくなるような政策を進めることも重要だ。観光業に従事する人だけでなく、定住する日本人が増えなければ、村全体の文化や伝統が守られなくなる可能性がある。
外国人観光客や労働者の受け入れは、日本の地方にとって避けられない流れだ。しかし、それが行き過ぎてしまえば、日本の良さが失われることになりかねない。占冠村の変化は、地方の未来を考える上でのひとつの事例として注目すべきだろう。
執筆:編集部A
小西洋之氏のnoteによると …