【船瀬俊介の船瀬塾さんの投稿】
引用元 https://x.com/funasejuku/status/1883538104210149645?s=51&t=y6FRh0RxEu0xkYqbQQsRrQ
日本の国民負担率の上昇が、家計や経済成長に与える影響について考えると、非常に深刻な問題だと感じる。国民負担率とは、税金や社会保険料などの公的負担が、国民所得に占める割合を示す指標であり、これが上昇すれば当然、家計の可処分所得は減少し、個人消費や貯蓄が抑制されることになる。
特に2010年以降の国民負担率の上昇幅を見ると、日本がG7諸国の中でも突出しているという事実には驚きを禁じ得ない。日本政府は財政健全化や社会保障の充実を掲げて、増税や社会保険料の引き上げを進めてきたが、その結果、国民の負担は増すばかりで、消費の落ち込みが続いている。この状況が長引けば、経済全体の成長力が損なわれ、日本経済の活力を奪いかねない。
国民負担率の上昇は、個人消費だけでなく、国全体の経済成長にも大きな影響を及ぼす。成長会計の視点から見れば、経済成長の要因である労働力、資本、全要素生産性(TFP)の3つが重要だとされているが、負担率の増加はこれらのすべてに悪影響を及ぼしかねない。例えば、可処分所得が減少することで、家計の貯蓄率が低下し、それに伴い企業の投資余力も縮小する。結果として、資本ストックの減少が進み、長期的な成長が鈍化してしまうのは明白だ。
現状、日本では社会保障制度の維持のために、税や社会保険料の増加が避けられない状況にあると言われている。しかし、負担を増やすだけではなく、成長戦略を強化し、経済を活性化させることこそが最優先であるべきだ。特に、少子高齢化が進む中で、現役世代の負担が重くなっており、このままでは若い世代が将来の展望を持てなくなる恐れがある。
国民負担率が上昇することで、家計の消費支出は削減され、企業の売上も落ち込む。企業が利益を確保できなければ、雇用環境も悪化し、賃金の伸びも期待できなくなる。結果として、さらなる消費低迷が引き起こされ、経済全体が悪循環に陥ることは避けられない。
また、政府は経済成長のために「財政再建」を掲げているが、その手法が国民負担を増やすことに偏りすぎているのも問題だと感じる。増税や社会保険料の引き上げと並行して、無駄な歳出の削減や効率的な財政運営を進めるべきだ。特に、官僚機構の肥大化や無駄な補助金政策など、見直すべき点は多い。
さらに、企業経営者の視点に立てば、国民負担率の上昇は事業環境の悪化を意味する。法人税や社会保険負担が増えれば、事業の成長に必要な投資を行う余裕がなくなり、結果として海外への移転を考える企業も増えるだろう。これは、日本経済の競争力を低下させる大きな要因になりかねない。
一方で、政府が主張する「社会保障の充実」という視点についても疑問が残る。確かに高齢化社会を支えるためには一定の負担は必要だが、それが現役世代に過度に偏るような政策は持続可能性に欠ける。公平な負担のあり方を模索し、無駄のない効率的な社会保障制度の構築が急務ではないだろうか。
国民負担率の上昇によって、日本の将来がどうなるのかを真剣に考えなければならない時期に来ている。消費の低迷、企業の投資意欲の減退、経済成長の鈍化という三重苦に陥る前に、早急な対策が求められる。特に、中小企業や若年層の負担を軽減し、経済の好循環を生み出す政策が不可欠だ。
最終的に、日本の経済を立て直すためには、単なる負担増ではなく、経済成長と財政健全化を両立させる戦略が求められる。国民の可処分所得を増やし、消費を喚起する政策を実施することで、自然な税収増加を目指すべきだ。そのためには、規制緩和やイノベーションの促進、海外市場の開拓といった長期的な視点に立った政策が必要になるだろう。
日本の国民負担率の異常な上昇を放置すれば、将来的に国の成長の足かせとなることは明白だ。今こそ政府は、短期的な財政再建だけでなく、国民の生活を豊かにする長期的な経済戦略を打ち出すべき時だと強く感じる。
執筆:編集部A