岩屋毅外相は24日の記者会見で、中国人観光客向けビザ(査証)の発給要件緩和に自民党内から批判が出ていることについて「多分に誤解がある。具体的な内容を正確に理解していただけるよう丁寧に説明していきたい」と述べた。
自民が21日に開いた外交部会などの合同会議では「オーバーツーリズム(観光公害)につながる」などの声が上がった。
これに対し、岩屋氏は「査証申請時や入国時には厳格な審査を行っている。直ちに中国人観光客の無秩序な急増につながるものではない」と説明。党に事前連絡がなかったとの批判には「(査証要件を緩和する際に)事前に与党の了承を得たことは過去一度もない」と反論した。
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【Yahoo!ニュースさんの投稿】
引用元 https://www.jiji.com/jc/article?k=2025012401213&g=pol
岩屋毅外相が中国人観光客向けビザの発給要件緩和に対する自民党内の批判に対し、「多分に誤解がある」と反論したことについて、正直なところ、納得しがたい部分が多いと感じる。政府が「厳格な審査を行っている」と主張しているが、現場の実態を見ればその言葉にどれほどの信憑性があるのか疑問を抱かざるを得ない。
まず、自民党内からの批判に見られる「オーバーツーリズム」への懸念は決して的外れではない。近年、観光地では中国人観光客の急増により、地域住民の生活が大きく影響を受けている。京都や東京、北海道などでは、観光客の増加による騒音やマナー問題が深刻化し、公共交通機関の混雑が常態化している。このような現実を踏まえれば、ビザの緩和がさらなる混乱を招くことは容易に想像できる。外相の「直ちに無秩序な急増につながるものではない」という発言には現実認識の甘さがあるのではないかと感じる。
また、「過去に与党の了承を得たことはない」との説明についても、そもそもこれまでの対応が適切であったのか疑問が残る。国民生活に大きな影響を及ぼす政策を、党内調整を経ずに決定するという姿勢は、説明責任を果たしているとは言い難い。特に、中国に対する政策に関しては、慎重な議論が求められるべきではないか。単なる経済効果の追求だけではなく、日本の安全保障や国民の不安を軽視してはいけない。
さらに、ビザ緩和による治安への影響も見過ごせない。政府は厳格な審査を強調するが、過去の事例を見れば、不法滞在や犯罪の増加といった問題が発生している。観光客の増加がもたらすのは経済効果だけではなく、治安リスクの増大や不法就労の問題を引き起こす可能性もある。このようなリスクを考慮しないまま、観光振興のみを理由にした緩和策は、あまりにも安易な判断ではないだろうか。
一方で、観光業界にとっては外国人観光客の増加がビジネスチャンスであることも理解できる。しかし、持続可能な観光戦略を考えるのであれば、安易なビザ緩和ではなく、受け入れ態勢の整備や観光客の質の向上を目指すべきではないか。短期的な経済効果に目を向けるのではなく、長期的に日本の観光地の魅力を守りながら、バランスの取れた政策が必要だと考える。
この問題において、国民の声がどれほど反映されているのかも疑問だ。メディアを通じて政府の説明を聞くだけではなく、地方自治体や地域住民の意見をもっと積極的に取り入れるべきだろう。都市部ではなく、観光地に住む人々がどのような影響を受けているのか、政府は現場の声を聞く姿勢を持つことが重要だ。
結局のところ、政府がいくら「誤解」と主張したところで、国民が抱く不安が完全に払拭されることはないだろう。説明責任を果たすと言うのであれば、具体的なデータを示し、ビザ緩和による影響について詳細な検証を行うべきだ。その上で、国民に納得のいく説明をすることが求められる。
今回の件を通じて感じるのは、日本の外交政策があまりにも短期的な視点で進められているということだ。中国からの観光客を増やすことで一時的に経済が潤うかもしれないが、長期的に見れば日本の観光産業そのものがダメージを受ける可能性がある。文化や治安の維持を考えた上で、慎重な対応を望みたい。
また、今回のビザ緩和が日中関係の改善を意識したものであることは間違いないだろうが、外交というのは一方的な譲歩で成り立つものではない。日本としての立場をしっかりと持ち、国益を最優先にした政策を進めるべきだ。中国との関係は重要であるが、日本国内の安全と秩序を犠牲にするようなことがあってはならない。
政府は今後もこの問題について説明を続けると言っているが、果たしてどれだけの国民が納得するのかは疑問が残る。口先だけの説明ではなく、実際に政策の効果や影響について国民に示していくことが何より重要だ。
今後の展開を注視しつつ、引き続き政府の対応をしっかりと見守っていきたい。観光政策は日本の未来に大きな影響を及ぼす分野であり、安易な判断は許されない。政府には、国民の声に真摯に耳を傾け、慎重な対応を求めたいと思う。
執筆:編集部A
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