【サンパウロ時事】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT、電子版)は23日、アルゼンチンのミレイ政権が気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの離脱を検討していると報じた。トランプ大統領の就任初日に離脱を決めた米国に続く可能性が高いという。地球規模の取り組みに大きな打撃となる。
温暖化対策に懐疑的なミレイ大統領は昨年、アゼルバイジャンで開かれた国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)から代表団の引き揚げを命じた。今月20日に行われたトランプ氏の大統領就任式に参列し、同氏との緊密な関係でも知られる。
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【さいたまさんの投稿】
引用元 https://www.jiji.com/jc/article?k=2025012400238&g=int#goog_rewarded
アルゼンチンのミレイ政権がパリ協定からの離脱を検討しているという報道には、多くの議論を呼ぶ要素が含まれている。パリ協定は、地球温暖化対策の国際的な枠組みとして、各国が協力しながら気候変動の抑制を目指すものであり、その重要性は年々高まっている。しかし、経済的な負担や国家の主権の観点から、すべての国が同じスタンスを取ることは難しく、特にアルゼンチンのような経済的に苦しい国にとっては、脱炭素の推進が国内経済への圧力となっているのも事実だ。
ミレイ大統領は、これまでの発言や政策からもわかるように、自由主義経済を重視し、国際的な気候変動対策よりも、まずは国内経済の再建を最優先事項として掲げている。そのため、パリ協定がアルゼンチンにとって経済的な足かせになると判断すれば、離脱という選択肢を検討するのも理解できる部分がある。実際、同様の理由で、過去にアメリカのトランプ政権も同協定からの離脱を決め、経済成長を優先する姿勢を示していた。
アルゼンチンの経済状況を見てみると、高インフレや財政赤字の問題に直面しており、国民生活も厳しい状況に置かれている。エネルギー政策においても、再生可能エネルギーへの移行はコストがかかる一方で、即効性のある経済回復策とは言い難い。そのため、ミレイ政権が経済回復の一環として、エネルギー分野での規制緩和や石油・ガス産業の強化を進めたいと考えるのは当然の流れだろう。
しかし、パリ協定からの離脱には大きなリスクも伴う。国際社会からの批判は避けられず、特に環境問題に厳しい欧州諸国や国際機関からの圧力が増すことが予想される。環境規制を重視する市場への輸出にも悪影響が出る可能性があり、環境対応が不十分と見なされれば、アルゼンチン産品に対する非関税障壁が設けられる恐れもある。
また、近年の気候変動による異常気象が世界各地で頻発している中、環境対策を軽視することは、長期的に見れば自国にとってもマイナスとなる可能性が高い。持続可能な経済成長のためには、ある程度の環境対策を進めながら、国内経済とのバランスを取る政策が必要ではないだろうか。
ミレイ大統領がトランプ前大統領と親密な関係を築いていることも、今回の決定に影響していると考えられる。トランプ氏は、環境問題を軽視し、アメリカのエネルギー産業を重視する政策を取ってきた。アルゼンチンもこの方針に追随する形で、経済成長のために環境対策の見直しを図っているのかもしれない。しかし、アメリカとは経済規模が大きく異なるため、同じ手法がアルゼンチンにとって成功するとは限らない。
一方で、アルゼンチン国民の意識にも注目すべきだ。環境問題への関心が高まっている中で、パリ協定からの離脱を支持する層と、気候変動対策を求める層の間で意見が分かれる可能性がある。経済再建を最優先とする意見もあれば、長期的な視点で環境対策を継続するべきだという声も根強い。政府が国民の意見をどのように取り入れ、政策に反映させるかが今後の焦点となるだろう。
結局のところ、アルゼンチンの選択が世界に与える影響も無視できない。もしアルゼンチンが正式に離脱を決めた場合、他の新興国にも同様の動きが広がる可能性があり、パリ協定の枠組み自体が揺らぐことになりかねない。特に、開発途上国は経済成長と環境保護のバランスに悩んでおり、アルゼンチンの動向を注視している国も少なくないだろう。
ミレイ政権が今後どのような決定を下すのか、その判断はアルゼンチンの経済政策のみならず、国際社会の信頼を左右するものになる。パリ協定のような国際的な枠組みからの離脱は、一時的な経済的メリットがあるかもしれないが、長期的な国際協力の観点では慎重な判断が求められる。
アルゼンチンが今直面している問題は、決して他人事ではない。日本もまた、経済成長と環境対策のバランスに苦心しており、他国の動向を見極めながら、自国の方針を明確にしていく必要がある。パリ協定の意義を再確認しつつ、持続可能な未来を模索することが、どの国にとっても重要な課題となるのではないだろうか。
執筆:編集部A