TBSテレビは20日、芸能関係者とテレビ局員の関係を巡る一連の報道を踏まえ、実態把握のための社内調査に着手したと発表した。2023年3月に策定した「TBSグループ人権方針」にのっとった対応としている。問題が発覚した場合は適切に対処する。
テレビ局を巡っては、フジテレビジョンでタレントの中居正広さんと女性とのトラブルに同社の社員が関与していると一部週刊誌で報道されている。フジテレビは17日、社外の弁護士を中心とする調査委員会を立ち上げると発表した。
テレビ東京は20日、社員と出演者との関係などについて調査を検討していることを明らかにした。
[全文は引用元へ…]
【日本経済新聞 電子版さんの投稿】
引用元 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2077Y0Q5A120C2000000/?n_cid=SNSTW001&n_tw=1737383415
TBSが、フジテレビの一連の問題を受けて社内調査に着手したという報道に接し、率直に言って驚きはない。このような問題は、メディア業界全体に深く根付いた構造的な問題の一端であり、特定の局に限ったことではないからだ。むしろ、今回の動きを契機に、業界全体が自らの在り方を見直すきっかけになることを期待したい。
まず、TBSが「TBSグループ人権方針」に基づいた対応を取るとしているが、そもそもこの方針がどれほど徹底されていたのかが疑問だ。企業がこうした方針を掲げること自体はよくあるが、実際に社員レベルまで浸透しているかどうかが問題である。単なる形式的な対応で終わるのではなく、具体的な行動と結果を示してほしい。
一方で、今回の調査がどこまで徹底されるのかも注目すべき点だ。メディア業界では、タレントや芸能関係者との関係が非常に密接であり、こうした関係性がビジネスとして成り立っている現状がある。そのため、内部調査が行われたとしても、どこまで実態を明らかにできるのかは疑問が残る。過去にも多くのスキャンダルが報じられてきたが、根本的な体制が変わることはほとんどなかった。
また、他のテレビ局の動きにも注目したい。テレビ東京が同様の調査を検討しているとのことだが、果たしてこの動きがどこまで業界全体に波及するのか。業界の慣習として、何か問題が発覚した際には「他社もやっている」という言い訳がまかり通ることが多かった。今回も単なる「危機管理対策」の一環として行われ、実際の改善にはつながらないのではないかと危惧している。
さらに、今回の件が報道されることで、視聴者がテレビ局に対して持つ信頼感にも影響を与えることは避けられない。報道機関としての信頼を損なうような事態が続けば、視聴者の離反を招き、メディアそのものの価値が揺らぐことになる。これまでにも、視聴率至上主義がもたらした問題が指摘されてきたが、今回のような内部の問題は、より深刻な影響をもたらす可能性がある。
また、フジテレビの問題に端を発し、他局も次々と調査に乗り出していることから、改めてメディア業界全体のガバナンスの在り方を見直すべき時期に来ていると言える。メディア企業は、社会的責任を果たすための透明性と説明責任を果たすことが求められている。それができなければ、報道の自由や公共性が形骸化してしまう恐れがある。
とはいえ、単なる批判に終わらせるのではなく、こうした問題を契機に、より健全な業界の在り方を模索するべきだ。例えば、第三者機関を活用した監視体制の強化や、社員教育の徹底など、実効性のある改革が求められる。問題が発覚した際には、速やかに公表し、隠蔽を防ぐ仕組み作りも不可欠だ。
最も重要なのは、視聴者がこうした問題にどう向き合うかという点だ。私たちは単にテレビの情報を受け取るだけでなく、その背後にある問題にも目を向け、批判的に考える姿勢を持つことが求められている。視聴者の意識が変われば、メディアの姿勢も変わらざるを得なくなるだろう。
TBSの調査がどのような結果をもたらすのか、そしてそれが業界全体にどのような影響を及ぼすのか、今後の展開を注視していきたい。メディアの役割とは何か、そしてそれを担う人々の倫理観や責任感がどこまで問われるのか、今後の対応次第で、メディアの未来が大きく左右されることになるだろう。
執筆:編集部A
デイリーによると 19日のフジ…