「こっちが選べない状態で不快なものを常に流され続け、ステルスでテロ攻撃を受けているみたい」
こう憤りをあらわにするのは、中学1年生と小学4年生の男子2人を子に持つ母親。彼女が不快感を抱いているのが、ネットで表示される性的描写がある広告、いわゆる“エロ広告”だ。
近親相姦を想起させる広告が
母親が見たというとあるゲームの攻略ページ。広告のブロック機能をつけていなかった画面には胸が大きく強調された女性キャラのイラストが…
「ゲームの攻略サイトにはカラーのものがすごく多くて目につく。ゲームの対象年齢には子どもが入っているため『もうちょっとどうにかならないか』というのが正直なところ」(2人の息子の母親)
こちらの家庭では、コロナ禍で家にいる時間が増えたことから子どもがネットにアクセスする機会が多くなったという。時にはこんな、信じられないような広告も…
「19歳の女性が牢獄に入れられ、ひたすら子どもを産まされている近親相姦を思わせるもの。父と娘、教師と生徒などの関係のものも。いち保護者としてはやめてほしい。選べるようにしてほしい」
パソコンやタブレットを使ったICT教育の導入が進む中、こうした“エロ広告”といったホームページ上の不適切な広告に対し、対策を求める声が上がっている。
去年9月には、こども家庭庁のX(旧Twitter)への「青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための政策に関する基本的な計画(以下略)」という投稿に対し「アダルト広告を規制してくれ~本気でいらない。あれ必要な人いるの??」「家庭でのフィルタリングには限界があります」と、規制を求める声が殺到した。
そんな中…
「インターネット上の性的な広告の制限を強化することが必要。誰でも見られてしまうという点では、コンビニの性的な書籍の規制以上に喫緊の問題だ」
こちらは、去年9月に立ち上がった、性的な広告に対する規制を求める署名サイト。発起人は香川きょうさん。きっかけは、自身の子どもが性的な広告を見たことだった。
「自衛だけでは限界がある。『誰にでも見られるような所に性的な広告が出ないようにならないか』という意識を持った。インターネットは個人が一人の空間で見るという特殊性があるため、コンビニよりも周りの目がないという点で危ないと認識している」
1月17日時点で、この署名サイトには7万6000を超える賛同の声が集まっている。集まった声は、こども家庭庁やインターネット広告のガイドラインを作る団体に提出したいという。
「強制力のないものでも良いので、国から提言を出してもらいたい。SNSなどをよく使う方は性的広告への問題意識はあると思うが認識していない方も少なくない。まず多くの人に『そんな問題がある』と知ってもらうところからだ」(香川きょうさん)
“エロ広告”の問題に対し、ノンフィクションライターの石戸諭氏は「スマートフォンを持つ年齢は下がってきており、学校の授業でタブレットを使うケースも増えてきている。もっとしっかり対策する必要がある」と警鐘を鳴らした。
“エロ広告”を巡ってはこんな調査もある。文部科学省の調査によると、エロ広告を含む不適切な広告が学校で使う学習用タブレットに出てくるという相談が6.4%もあるという。
とはいえ対策は一筋縄ではいかない。
文部科学省はこの結果を受けて、フィルタリング設定の見直しや有償のソフトの導入など、不適切な広告の対策を去年から自治体に呼びかけているが、フィルタリング対策ができていない自治体もあるという。
石戸氏は「各自治体の担当者が『これは重要な問題だ』と気づける“感度”があるかという点、そして有償のソフトを自治体や保護者が負担できるのかという点にも課題はある」と指摘した。
さらに、エロ広告対策が難しい理由として「どの省庁が担当するか」という縦割りの問題もある。
子ども家庭庁は取材に対し、「課題の一つとして認識。規制に関しては表現の自由などの観点から慎重な検討が必要であるということも認識しており、必要に応じて有識者などに意見をお伺いしながら検討していきたいと考えている」という見解示した。
投資詐欺などのニセ広告を担当する総務省の情報流通適正化推進室は「現状では特段規制などの話は進んでいない」としている。
石戸氏は「行政の中のエアポケットに落ちてしまっているケースだ。インターネット上の表現の自由に関するものであれば『総務省の主導でよろしく』となるかもしれないが、子どもの話となれば『こども家庭庁でやってよ』、学校でタブレットが…ということなら文科省で…と押し付け合いが始まる。だが、誰かが主導して問題をすくい上げないといけない」と指摘した。
もしこのまま“エロ広告”の問題が解決しなければどうなるのか?
石戸氏は「エロに関する広告は国主導で一律に放逐されてもおかしくない」と警鐘を鳴らした。
「子どもの目に触れないようにしよう、という目的でフィルタリングが必要という話は合意が取りやすいのではないか。これは表現の自由の問題ではない。いきすぎた表現の自由論は『インターネット上でエロを技術的にNGとする』というさらに強力な規制を呼び寄せることになりかねない」
(『ABEMAヒルズ』より)
[全文は引用元へ…]
【ライブドアニュースさんの投稿】
引用元 https://news.livedoor.com/article/detail/27970414/
昨今のインターネット環境における広告表示の問題は、多くの保護者や教育者の間で大きな関心を集めています。特に、子どもが利用するデバイスや学校で使用されるタブレットにおいて、性的な内容を含む広告が表示されるケースが増えているという指摘は深刻です。この問題を目の当たりにすると、親としての立場から強い憤りを感じざるを得ません。
特に印象的だったのは、「ステルスでテロ攻撃を受けているみたい」という母親の言葉です。子どもの学びの場や安全なインターネット利用のための環境が、こうした広告によって汚染されるのは、非常に憂慮すべき事態です。ICT教育の推進によって、子どもたちは早い段階からインターネットに触れる機会が増えていますが、それと同時に適切な対策が整備されていない現状は、問題をさらに深刻化させています。
フィルタリングの導入や有償ソフトの使用といった技術的な対応は一定の効果を発揮するかもしれませんが、全ての自治体や学校がそれを実施できるわけではありません。資金的な負担も課題の一つであり、どのようにしてこの問題に取り組むべきか、行政や関係機関の主導的な動きが求められるのは間違いありません。
加えて、エロ広告が「行政のエアポケットに落ちてしまっている」という指摘には非常に納得させられました。総務省、子ども家庭庁、文部科学省といった複数の機関が関わる問題であるため、担当範囲の不明確さが対応の遅れを招いているのでしょう。このような状況下では、誰かが責任を持って主導する形が求められます。特に子どもを守る観点からは、積極的なアプローチが必要だと感じます。
表現の自由という観点から規制に慎重になる意見も理解できます。しかし、この問題における最優先事項は、子どもたちの健全な成長と安心して学べる環境の確保です。エロ広告が表示されることで、子どもたちの目に触れさせたくない情報が流入するリスクがある以上、適切な規制が必要です。表現の自由は重要ですが、無制限の自由が社会全体に悪影響を及ぼすならば、それは制約されるべきです。
また、この問題が解決されない場合、「さらに強力な規制を呼び寄せる可能性がある」という意見にも共感します。インターネットは多くの可能性を秘めたツールである一方、適切に管理されなければ、社会全体の健全性を損なう可能性もあるのです。
保護者として、また社会の一員として、この問題に関心を持ち続けることが大切だと考えます。私たち一人ひとりが声を上げることで、より良いインターネット環境を実現する一助となるでしょう。そして、行政や企業も一丸となり、この課題に取り組むことを強く求めます。
執筆:編集部A